大阪大学のロゴ 外国語学部(2) 和文英訳 大阪大学 2014
大阪大学 2014年度 前期日程 · 英語

外国語学部(2) 和文英訳
解答と解説

「限られた価値観と想像力」を扱う和文英訳です。差がつくのは、「限られた世界しか知らない」という条件から、他者の生活を想像できず、自分の基準だけで判断する傾向までを一続きの因果として示すことです。日本語の抽象名詞を英単語一語に置き換えるだけでは、原文の因果や対比が見えなくなります。そこで、how節・what節を使い、誰が何を感じ、何がどのように変わるのかを具体的にします。標準解では平易な語を選び、原文の限定・推量・時制も残しました。各segmentで日本語と英語を対応させ、最後に訳し落としがないかを一文ずつ確かめてください。

難易度 ★★★★ 目安 22分 和文英訳 テーマ 限られた価値観と想像力
1

問題

外国語学部(2) 次の日本文を英訳しなさい。

かぎられた世界,かぎられた価値観しか知らなければ,それ以外の世界やそこで暮らす人々の状況を想像するのは簡単ではなく,自分の価値観ですべての物事を判断してしまいがちです。

次の日本文の下線部(2)の意味を英語で表しなさい。 ___下線部(1)___同質な社会でばかり生きるデメリットは,その中の価値観にどっぷりと漬かってしまい,知らず知らずのうちに,それ以外の価値観をなかなか理解できなくなってしまうことです。___下線部(1)___[中略] ___下線部(2)___かぎられた世界,かぎられた価値観しか知らなければ,それ以外の世界やそこで暮らす人々の状況を想像するのは簡単ではなく,自分の価値観ですべての物事を判断してしまいがちです。___下線部(2)______下線部(3)___これでは,どんどん思考の幅を狭めてしまい,物事の本質を見極めるという状況からますます遠のいてしまいます。___下線部(3)___ だからこそ,同質な世界だけで生きることは避けるにこしたことはありません。意識的に異質な世界にどんどんかかわっていくべきです。 (伊藤真『本質をつかむ思考法』)
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この問題で見られている力

  • 条件の if 節では現在形を使う
  • 「そこで暮らす人々」を people who live there と補う
  • 「状況」を what conditions they face と節に開く
  • 想像の対象を how people live まで具体化する
  • 「〜しがち」を tend to で弱める
  • 判断基準が自分の価値観だけだと示す
2

文ごとの解説

第 1 文

かぎられた世界,かぎられた価値観しか知らなければ,それ以外の世界やそこで暮らす人々の状況を想像するのは簡単ではなく,自分の価値観ですべての物事を判断してしまいがちです。

つまずきやすいところ
  • ここが山場です。条件の if 節では現在形を使う。この文の意味と英語の主語・動詞が対応しているか確認します
  • 「そこで暮らす人々」を people who live there と補う。この文の意味と英語の主語・動詞が対応しているか確認します
  • 「状況」を what conditions they face と節に開く。この文の意味と英語の主語・動詞が対応しているか確認します
  • 想像の対象を how people live まで具体化する。この文の意味と英語の主語・動詞が対応しているか確認します
  • 「〜しがち」を tend to で弱める。この文の意味と英語の主語・動詞が対応しているか確認します
発想の切り替え

この部分では「限られた価値観と想像力」の流れのうち、条件の if 節では現在形を使うことが中心です。日本語の名詞を一語ずつ置き換えるのでなく、まず誰が何をするのかを決め、「そこで暮らす人々」を people who live there と補う形へ組み直します。さらに、「状況」を what conditions they face と節に開く点も落とさないでください。標準解と別解の主語や接続語を比べると、同じ内容でも二通りの安全な組み方が見えてきます。

訳例
標準

If we know only a limited world and a limited set of values, it is not easy to imagine how people in other parts of the world live, what conditions they face, or how they see things. As a result, we tend to judge everything only by what we ourselves believe is right.

別解

When our experience is limited to one world and one way of thinking, we find it hard to understand what life is like elsewhere, how people there live, and what problems they have. We therefore often decide what is right or wrong by using only our own values.

この文でやりやすい誤り

if 節の中で will を使う

減点 大
If we will know only one set of values, it is hard to imagine other lives.
If we know only one set of values, it is hard to imagine other lives.

この英文では「if 節の中で will を使う」という一つの欠陥が実際に現れています。そのままだと、この問題で必要な「条件の if 節では現在形を使う」という関係が崩れるか、原文より意味が強く・狭くなります。修正例では狙い以外の語順や時制は動かさず、この一点だけを直しています。答案では修正後の形を声に出して、主語から動詞、節の終わりまで確認してください。

how 節を疑問文語順にする

減点 中
We cannot imagine how do people in other places live.
We cannot imagine how people in other places live.

この英文では「how 節を疑問文語順にする」という一つの欠陥が実際に現れています。そのままだと、この問題で必要な「「そこで暮らす人々」を people who live there と補う」という関係が崩れるか、原文より意味が強く・狭くなります。修正例では狙い以外の語順や時制は動かさず、この一点だけを直しています。答案では修正後の形を声に出して、主語から動詞、節の終わりまで確認してください。

「人々の状況」を場所だけにする

減点 中
It is hard to imagine other places.
It is hard to imagine what conditions people in other places face.

この英文では「「人々の状況」を場所だけにする」という一つの欠陥が実際に現れています。そのままだと、この問題で必要な「「状況」を what conditions they face と節に開く」という関係が崩れるか、原文より意味が強く・狭くなります。修正例では狙い以外の語順や時制は動かさず、この一点だけを直しています。答案では修正後の形を声に出して、主語から動詞、節の終わりまで確認してください。

「簡単ではない」を不可能だと言い切る

減点 中〜大
It is impossible to understand how people elsewhere live.
It is not easy to understand how people elsewhere live.

この英文では「「簡単ではない」を不可能だと言い切る」という一つの欠陥が実際に現れています。そのままだと、この問題で必要な「想像の対象を how people live まで具体化する」という関係が崩れるか、原文より意味が強く・狭くなります。修正例では狙い以外の語順や時制は動かさず、この一点だけを直しています。答案では修正後の形を声に出して、主語から動詞、節の終わりまで確認してください。

「〜しがち」の弱さを落とす

減点 小〜中
We judge everything by our own values.
We tend to judge everything by our own values.

この英文では「「〜しがち」の弱さを落とす」という一つの欠陥が実際に現れています。そのままだと、この問題で必要な「「〜しがち」を tend to で弱める」という関係が崩れるか、原文より意味が強く・狭くなります。修正例では狙い以外の語順や時制は動かさず、この一点だけを直しています。答案では修正後の形を声に出して、主語から動詞、節の終わりまで確認してください。

judge の後ろに as を足す

減点 大
We tend to judge everything as by our own values.
We tend to judge everything by our own values.

この英文では「judge の後ろに as を足す」という一つの欠陥が実際に現れています。そのままだと、この問題で必要な「判断基準が自分の価値観だけだと示す」という関係が崩れるか、原文より意味が強く・狭くなります。修正例では狙い以外の語順や時制は動かさず、この一点だけを直しています。答案では修正後の形を声に出して、主語から動詞、節の終わりまで確認してください。

value を単数にして一つの値にする

減点 中
We judge everything by our own value.
We judge everything by our own values.

この英文では「value を単数にして一つの値にする」という一つの欠陥が実際に現れています。そのままだと、この問題で必要な「条件の if 節では現在形を使う」という関係が崩れるか、原文より意味が強く・狭くなります。修正例では狙い以外の語順や時制は動かさず、この一点だけを直しています。答案では修正後の形を声に出して、主語から動詞、節の終わりまで確認してください。

other の後ろの名詞を落とす

減点 中
We find it hard to understand other.
We find it hard to understand other ways of life.

この英文では「other の後ろの名詞を落とす」という一つの欠陥が実際に現れています。そのままだと、この問題で必要な「「そこで暮らす人々」を people who live there と補う」という関係が崩れるか、原文より意味が強く・狭くなります。修正例では狙い以外の語順や時制は動かさず、この一点だけを直しています。答案では修正後の形を声に出して、主語から動詞、節の終わりまで確認してください。

因果を because と so で二重に結ぶ

減点 中〜大
Because our experience is limited, so we judge by our own values.
Because our experience is limited, we judge by our own values.

この英文では「因果を because と so で二重に結ぶ」という一つの欠陥が実際に現れています。そのままだと、この問題で必要な「「状況」を what conditions they face と節に開く」という関係が崩れるか、原文より意味が強く・狭くなります。修正例では狙い以外の語順や時制は動かさず、この一点だけを直しています。答案では修正後の形を声に出して、主語から動詞、節の終わりまで確認してください。

「すべて」を people だけに狭める

減点 小〜中
We tend to judge all people by our own values.
We tend to judge everything by our own values.

この英文では「「すべて」を people だけに狭める」という一つの欠陥が実際に現れています。そのままだと、この問題で必要な「想像の対象を how people live まで具体化する」という関係が崩れるか、原文より意味が強く・狭くなります。修正例では狙い以外の語順や時制は動かさず、この一点だけを直しています。答案では修正後の形を声に出して、主語から動詞、節の終わりまで確認してください。

この文の言いかえ
限られた
limitedこの問題の「限られた」に合う基本形です。数や範囲が狭いという意味です。人の能力を決めつける語としては使いません
not widelimitedがすぐに出ないとき、意味をほどいて書ける言いかえです。原文の強さと時制は保ってください。
the limited thing日本語の「限られた」に thing を機械的に足しただけで、意味の関係が伝わりません。この形は使わないでください。
一組の価値観
a set of valuesこの問題の「一組の価値観」に合う基本形です。values は複数形にすると、何を大切にするかという考え方を表せます
ideas about what is importanta set of valuesがすぐに出ないとき、意味をほどいて書ける言いかえです。原文の強さと時制は保ってください。
想像する
imagineこの問題の「想像する」に合う基本形です。後ろに how / what 節を置くと、想像する中身を具体化できます
picture in our mindimagineがすぐに出ないとき、意味をほどいて書ける言いかえです。原文の強さと時制は保ってください。
状況、置かれた条件
conditionこの問題の「状況、置かれた条件」に合う基本形です。この文では天候ではなく、人が置かれている生活条件を指します
situationconditionがすぐに出ないとき、意味をほどいて書ける言いかえです。原文の強さと時制は保ってください。
ほかの場所で
elsewhereこの問題の「ほかの場所で」に合う基本形です。other world の直訳を避け、場所の違いを短く示せます
in other placeselsewhereがすぐに出ないとき、意味をほどいて書ける言いかえです。原文の強さと時制は保ってください。
〜しがちである
tend toこの問題の「〜しがちである」に合う基本形です。常にそうするという断定ではなく、傾向を表します
oftentend toがすぐに出ないとき、意味をほどいて書ける言いかえです。原文の強さと時制は保ってください。
判断する
judgeこの問題の「判断する」に合う基本形です。judge A by B で「Bを基準にAを判断する」です
decide what to think aboutjudgeがすぐに出ないとき、意味をほどいて書ける言いかえです。原文の強さと時制は保ってください。
信じていること
beliefこの問題の「信じていること」に合う基本形です。宗教だけでなく、正しいと思う考えにも使えます
what we believebeliefがすぐに出ないとき、意味をほどいて書ける言いかえです。原文の強さと時制は保ってください。
an overly formal expression知っている難しい表現を無理に使う必要はありません。ここでは平易な節のほうが正確です。
3

模範解答

標準解

まずここを目標にhow節 ×2 / what節 ×253語

If we know only a limited world and a limited set of values, it is not easy to imagine how people in other parts of the world live, what conditions they face, or how they see things. As a result, we tend to judge everything only by what we ourselves believe is right.

標準解は全53語です。how節2個、what節2個を実測しました。「限られた世界しか知らない」という条件から、他者の生活を想像できず、自分の基準だけで判断する傾向までを一続きの因果として示すことを、難しい名詞に頼らず節と平易な動詞で表しています。冠詞、時制、主語と動詞の一致を文ごとに確認し、原文の内容がどの箇所に対応するかも照合しました。まずはこの形を目標にしてください。

説明を足した解

書けなかったときの逃げ道how節 ×1 / what節 ×348語

When our experience is limited to one world and one way of thinking, we find it hard to understand what life is like elsewhere, how people there live, and what problems they have. We therefore often decide what is right or wrong by using only our own values.

こちらは全48語で、how節1個、what節3個です。標準解とは骨格を変えながら、「限られた価値観と想像力」の内容を落とさず説明しました。一語の訳語が出ない場合も、人・行動・理由を短い節で補えば正確に伝えられます。書いた後は、原文の限定や対比を強めすぎていないかも確認してください。

6

他の問題にも使える形

学習のコツを紹介する Boost のキャラクター Boo
how + S + V最重要

様子や程度を節に開く

条件の if 節では現在形を使うとき、抽象名詞を探すより how の後ろに主語と動詞を置くと内容が見えます。疑問文と違い、節の中では普通の語順にしてください。

This shows how the idea works.
We learned how people see the issue.
what + S + V最重要

内容を名詞節で示す

「そこで暮らす人々」を people who live there と補うときに使えます。「もの」「こと」を thing で受けず、何を指すかまで一つの節にすると、今回の中心である限られた価値観と想像力が明確になります。

We should understand what the writer means.
Tell me what happened next.
If / When + S V, S Vよく使う

条件や時の関係を先に示す

「状況」を what conditions they face と節に開く場合、先に条件や時点を置くと長い日本語を二つに整理できます。if 節で単純な条件を述べるときは、未来の内容でも現在形を基本にします。

If we look carefully, we can see the difference.
When people learn more, their view may change.
because + S Vよく使う

理由と結果を一度だけ結ぶ

想像の対象を how people live まで具体化する理由を示すときに便利です。because を使ったら主節の前に so を重ねず、どちらが原因でどちらが結果かを読み返してください。

We changed our plan because we found a problem.
Because she asked a clear question, we understood her point.
not A but B / A and Bよく使う

対比と並列を使い分ける

「〜しがち」を tend to で弱めるためには、反対関係なら not A but B、同じ向きの要素なら A and B を選びます。日本語の読点だけを見ず、二つの内容の関係を確かめてください。

The task needs not speed but care.
We asked questions and checked the facts.
主語を決める→節に開く→接続語を戻す最重要

長い和文を安全に組み立てる順番

この問題では判断基準が自分の価値観だけだと示す点が最後の確認になります。まず各文の中心動詞を置き、how / what 節で中身を補い、最後に because や however を戻すと、訳し漏れを防げます。

限られた価値観と想像力:中心動詞を決めてから細部を足す
教育の意義:何を学び、どう変わるかを先に書く
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この問題の語彙

表現意味ひとこと
limited限られた数や範囲が狭いという意味です。人の能力を決めつける語としては使いません
a set of values一組の価値観values は複数形にすると、何を大切にするかという考え方を表せます
imagine想像する後ろに how / what 節を置くと、想像する中身を具体化できます
condition状況、置かれた条件この文では天候ではなく、人が置かれている生活条件を指します
elsewhereほかの場所でother world の直訳を避け、場所の違いを短く示せます
tend to〜しがちである常にそうするという断定ではなく、傾向を表します
judge判断するjudge A by B で「Bを基準にAを判断する」です
belief信じていること宗教だけでなく、正しいと思う考えにも使えます
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出題の傾向

阪大外国語学部は、同じ文章から複数の下線部を出し、前後の論理を踏まえて各部分を英語にする形が見られます。2014年は学部内の三題が連続した議論を作っているため、この外国語学部 (2)では「限られた価値観と想像力」に必要な範囲だけを訳し、前後の内容を勝手に足さないことが大切です。翌年の外国語学部でも、抽象的な考えを平易な動詞と節でほどく力が問われています。

学習の成果を喜ぶ Boost のキャラクター Boo

この問題を解いて添削してもらう

解説を読んだあとに自分の言葉で書き直すと、力のつき方がまったく違います。Boost アプリでこの問題を開けば、書いた答案をそのまま AI が添削します。

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