大阪大学のロゴ 外国語学部(3) 和文英訳 大阪大学 2019
大阪大学 2019年度 前期日程 · 英語

外国語学部(3) 和文英訳
解答と解説

冒頭の「それ」は前文の空き時間に書いていた行為を指します。it を曖昧に残さず what I had been writing と受けると安全です。「目に留まる」は enter someone's eye ではなく attracted other people's attention、「反響がある」は people asked who had written them と具体的な反応に開きます。後半は続けているうちに出版社から提案が来て第一作が生まれたという時間の連鎖です。while I kept doing this、a publisher offered、my first book came out の主語を整理します。

難易度 ★★★★ 目安 20分 和文英訳 テーマ 空き時間の創作が他人に認められ出版へつながる過程
1

問題

外国語学部(3) 次の日本文の下線部(3)の意味を英語で表しなさい。

それが他人の目に留まり,「夢のハーモニー」のための詩や物語を書くことが出来,あれは誰の作品? と反響があると嬉しかった。それを続けているうちに,ある出版社から「面白いから本にしないか」という話が持ち込まれ,第一作が生まれたのだ。

次の日本文の下線部(3)の意味を英語で表しなさい。 NHKという大組織の中にいても,私はその頃から孤独を楽しんでいた。 他の女性たちはというと,誘い合ってお茶を飲んだりご飯を食べに行ったり……。 ___下線部(1)___私はほとんど参加しなかった。つき合いが悪いと思われそうで,最初のうちは一緒に行っていたが,人の噂話ばかりで全く無駄な時間だと思えたからである。___下線部(1)___ そのうちに,私がスタジオで何か書いていることに気づいたディレクターが,外部のライターに出していた仕事を,そんなに好きならやってみたらと回してくれたので,番組の台本書きの仕事もくるようになった。 多少つき合いは悪かったかもしれないが,そんな私を認めてくれる人もいた。 ___下線部(2)___普通の会社であっても空き時間の使いようで,一人の時間を確保することはできる。それが仕事への反省ややる気につながり,将来への夢を育ててくれる。___下線部(2)___ 現在の仕事に全力をそそぐのはもちろんだが,その中でも空き時間を一人で考えることに使っていると,必ず将来につながる。 私の場合,ともかく物書きになりたいという夢があったので,空き時間はすすんでそのために使った。___下線部(3)___それが他人の目に留まり,「夢のハーモニー」のための詩や物語を書くことが出来,あれは誰の作品? と反響があると嬉しかった。それを続けているうちに,ある出版社から「面白いから本にしないか」という話が持ち込まれ,第一作が生まれたのだ。___下線部(3)___ (下重暁子『極上の孤独』) ※「夢のハーモニー」は著者がかつて関わったNHKのラジオ番組
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この問題で見られている力

  • それの内容を what I had been writing と前文から補えるか
  • 目に留まるを attract attention / people noticed と表せるか
  • 詩や物語を書くことができたの因果を結果として訳せるか
  • 誰の作品かという反響を間接話法で自然に書けるか
  • 続けているうちにを as / while I kept writing と示せるか
  • 出版社から話が持ち込まれた受け身を a publisher approached me と能動にできるか
  • 第一作を first book / first published work と文脈に合わせられるか
2

文ごとの解説

第 1 文

それが他人の目に留まり,「夢のハーモニー」のための詩や物語を書くことが出来,あれは誰の作品? と反響があると嬉しかった。

つまずきやすいところ
  • 「それ」は空き時間に書いていたもの・姿を指すので what I had been writing と補います
  • 目に留まるは other people noticed it / attract attention とします
  • 番組名は Dreams in Harmony のように示しても、固有名として引用しても構いません
  • ここが山場です。反響の中身を people asked who had written them と節に開きます
  • 嬉しかったは I was happy / pleased と筆者の感情を過去形で示します
  • 作品が複数なので them で受けます
発想の切り替え

出来事が三つ続きます。書いている姿が気づかれ、番組用の作品を書く機会を得て、聞き手から作者を尋ねる反応が来た、という順です。日本語の受け身をすべて受け身で保つより、people noticed、I was able to write、listeners asked と主体を交代させると明確です。

訳例
標準

What I had been writing caught other people's attention, and I was given a chance to write poems and stories for the program Dreams in Harmony. I was happy when listeners asked who had written them, because their questions showed what they thought of my work and how strongly it had reached them.

別解

Other people noticed how I used my free time, so I could write poems and stories for a radio program. It pleased me to hear people ask whose work it was, since that response showed me what my writing meant to them.

この文でやりやすい誤り

それを it のまま曖昧にする

減点 大
It caught their eyes and I could write.
What I had been writing caught other people's attention.

it が書いたものか空き時間か分かりません。what I had been writing と内容を補います。原文の主語・時間・対象を修正文と一つずつ照合すると、この一か所だけを直す理由がはっきりします。

catch attention に不要な to を入れる

減点 中
My work caught to their attention.
My work caught their attention.

catch someone's attention は他動詞 catch の直後に目的語を置くため、to は入りません。採点では単語の近さより文全体の意味が見られます。修正文を声に出し、前後の論理までつながるか確認してください。

write の目的語に前置詞を付ける

減点 大
I wrote about poems and stories for the program.
I wrote poems and stories for the program.

write about poems は詩について書く意味です。詩そのものを書くなら write poems と直接置きます。この形を避けるだけでなく、修正文で日本語のどの部分を回収したかまで確認すると、同じ誤りを別の問題でも防げます。

反響を echo と直訳する

減点 大
I was happy when there was an echo.
I was happy when listeners asked who had written them.

echo は音の反響です。ここでは人々が作者を尋ねた反応なので、その行動を直接書きます。誤りを直す際は別の難しい表現を足さず、修正文のように高校範囲の語で意味を一本に通すのが安全です。

間接疑問を疑問語順にする

減点 大
Listeners asked who had they written them.
Listeners asked who had written them.

誰が書いたかなので who が主語です。who had written them の語順にします。原文の主語・時間・対象を修正文と一つずつ照合すると、この一か所だけを直す理由がはっきりします。

作品が複数なのに it で受ける

減点 中
Listeners asked who had written it.
Listeners asked who had written them.

直前の poems and stories は複数なので them で受けます。採点では単語の近さより文全体の意味が見られます。修正文を声に出し、前後の論理までつながるか確認してください。

この文の言いかえ
目に留まる
catch people's attention自然で意味が明確です 文脈の主語も一緒に確かめてください。
be noticed by others受け身の平易な形です 日本語との対応を答案上で確認できます。
enter people's eyes直訳で不自然です 短くても意味の関係が見える形です。
詩や物語を書く
write poems and stories目的語を直接置きます 日本語との対応を答案上で確認できます。
create poems and stories創作を強調できます 短くても意味の関係が見える形です。
write about poems詩について書く意味です 文脈の主語も一緒に確かめてください。
反響がある
listeners asked who had written them反応の中身を直接示します 短くても意味の関係が見える形です。
people responded to my work少し抽象的な別解です 文脈の主語も一緒に確かめてください。
there was an echo音の反響に変わります 日本語との対応を答案上で確認できます。
誰の作品
who had written them作者を動詞で尋ねます 文脈の主語も一緒に確かめてください。
whose work it waswhose 節でも書けます 日本語との対応を答案上で確認できます。
who's workwho's は who is で誤りです 短くても意味の関係が見える形です。
第 2 文

それを続けているうちに,ある出版社から「面白いから本にしないか」という話が持ち込まれ,第一作が生まれたのだ。

つまずきやすいところ
  • それは番組用の詩や物語を書き続けることです
  • as I kept writing で継続中の出来事を示します
  • 出版社を主語にして a publisher approached me と能動にできます
  • 提案の内容を asked whether I would like to turn it into a book と節にします
  • 面白いから、は because they found my work interesting と理由を残します
  • 第一作が生まれたは my first book was published / came out と自然にします
発想の切り替え

「話が持ち込まれ」を直訳して a talk was brought としないことが重要です。出版社が私に本にしないかと提案した、という人の行動に直します。第一作は赤ん坊のように born ではなく、出版されたという出来事を came out で表します。

訳例
標準

As I kept writing, a publisher that found my work interesting approached me and asked whether I would like to turn it into a book. That is how my first book came to be published.

別解

While I continued this work, a publishing company told me what it liked about my writing and suggested making a book from it. This is how my first published work was created.

この文でやりやすい誤り

続ける目的語を continue to it とする

減点 大
I continued to it for some time.
I continued writing poems and stories.

continue の後ろは V-ing / to V または名詞です。何を続けたかも明示します。この形を避けるだけでなく、修正文で日本語のどの部分を回収したかまで確認すると、同じ誤りを別の問題でも防げます。

出版社を出版する人一人に限定する

減点 大
A publish man brought me a talk.
A publisher suggested turning my work into a book.

出版社は a publisher / a publishing company です。「話を持ち込む」も suggested と動作にします。誤りを直す際は別の難しい表現を足さず、修正文のように高校範囲の語で意味を一本に通すのが安全です。

suggest の後ろに to make を置く

減点 大
A publisher suggested me to make a book.
A publisher suggested making a book from my work.

suggest 人 to V は使えません。suggested making または asked whether I would like to を使います。原文の主語・時間・対象を修正文と一つずつ照合すると、この一か所だけを直す理由がはっきりします。

第一作が文字通り生まれる

減点 中
My first work was born.
My first book was published.

作品の発表・出版に born は通常使いません。book came out / was published が自然です。採点では単語の近さより文全体の意味が見られます。修正文を声に出し、前後の論理までつながるか確認してください。

面白いの主語を自分にする

減点 大
Because I was interesting, they made a book.
Because they found my work interesting, they suggested turning it into a book.

interesting は人に興味を持たせる物、interested は人の状態です。ここでは作品が面白いのです。この形を避けるだけでなく、修正文で日本語のどの部分を回収したかまで確認すると、同じ誤りを別の問題でも防げます。

この文の言いかえ
続けているうちに
as I kept writing継続と同時進行を示せます 日本語との対応を答案上で確認できます。
while I continued this work何を続けたか明確です 短くても意味の関係が見える形です。
during I wroteduring の後ろに節は置けません 文脈の主語も一緒に確かめてください。
出版社
a publisher会社・担当側を簡潔に示せます 短くても意味の関係が見える形です。
a publishing company会社だと明確です 文脈の主語も一緒に確かめてください。
a publish man存在しない語の組み合わせです 日本語との対応を答案上で確認できます。
本にしないか
asked whether I would like to turn it into a book提案内容を丁寧に示せます 文脈の主語も一緒に確かめてください。
suggested making a book from it短い別解です 日本語との対応を答案上で確認できます。
suggested me to make a booksuggest の語法が誤りです 短くても意味の関係が見える形です。
第一作が生まれる
my first book was published出来事が明確です 日本語との対応を答案上で確認できます。
my first book came out自然な基本表現です 短くても意味の関係が見える形です。
my first work was born直訳で不自然です 文脈の主語も一緒に確かめてください。
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模範解答

標準解

まずここを目標にhow節 ×2 / what節 ×284語

What I had been writing caught other people's attention, and I was given a chance to write poems and stories for the program Dreams in Harmony. I was happy when listeners asked who had written them. As I kept writing, a publisher that found my work interesting asked whether I would like to turn it into a book. That is how my first book came to be published. It also showed how my work had reached people and what steady writing could lead to.

全84語です。what I had been writing で指示語を回収し、who had written them で反響の内容を示しました。whether I would like to ... は出版社の提案です。最後の how my first book came to be published まで、何が人の目に留まり、どのような反応と提案を経て出版されたかを順に追えます。作品名以外は高校範囲の語です。

説明を足した解

書けなかったときの逃げ道how節 ×2 / what節 ×164語

Other people noticed how I used my free time, so I was able to write poems and stories for a radio program. It pleased me when people asked whose work it was, because I learned what my writing meant to them. While I continued writing, a publishing company suggested making a book from my work, and this is how my first book was created.

全64語です。caught attention が出なくても people noticed how ... と書けます。whose work it was は「あれは誰の作品」の間接疑問です。what my writing meant が反響の意味、how my first book was created が出版への過程です。出版社の提案を suggested making と能動文にし、日本語の長い受け身をほどいています。

6

他の問題にも使える形

学習のコツを紹介する Boost のキャラクター Boo
what S had been V-ing最重要

それまで続けたことを受ける

指示語の内容を過去完了進行で明確にできます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。

what I had been writing
what she had been studying
catch 人's attentionよく使う

人の目に留まる

eye の比喩を自然な英語のまとまりへ置き換えます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。

My writing caught their attention.
The bright sign caught my attention.
ask who had V-ed最重要

誰がしたかを尋ねる

過去の反響を間接疑問で表せます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。

They asked who had written the poems.
We asked who had opened the door.
As S kept V-ing, ...よく使う

続ける間の変化を書く

継続した行動の途中で機会が来た流れを作れます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。

As I kept writing, a publisher contacted me.
As he kept practicing, his voice improved.
ask whether S would like to Vよく使う

提案内容を丁寧に示す

直接話法を長く引用せず、誘いの内容を節にできます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。

They asked whether I would like to make a book.
She asked whether I would like to join.
That is how S came to V最重要

結果までの過程をまとめる

複数の出来事を受けて、どのように結果が生まれたかを回収できます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。

That is how my first book came to be published.
That is how we came to know each other.
7

この問題の語彙

表現意味ひとこと
attention注意、注目catch someone's attention と使います 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
listener聞き手ラジオの聴取者を自然に表せます 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
response反応音の echo と区別します 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
publisher出版社、出版者publish は動詞です 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
publishing company出版社company を付けると組織だと明確です 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
suggest提案する後ろは V-ing または that 節です 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
turn A into BAをBにする作品を本にする場面に使えます 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
publish出版する本を主語にすれば be published です 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
come out出版される、発表される本・作品を主語にできます 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
8

出題の傾向

阪大外国語学部の2019年は、一人の時間を選んだ筆者の歩みを三つの下線部で追います。(1)は職場の集まりから離れた理由、(2)は空き時間の効果、(3)のこの問題は創作が認められ出版に至る結末です。2020年にも一文章から三問出されました。外国語学部では長文内の出来事のつながりを保ち、省略された「それ」がどの行動を指すかを英語で補う必要があります。同年の文学部や全学部とは題材も語り手も異なります。

学習の成果を喜ぶ Boost のキャラクター Boo

この問題を解いて添削してもらう

解説を読んだあとに自分の言葉で書き直すと、力のつき方がまったく違います。Boost アプリでこの問題を開けば、書いた答案をそのまま AI が添削します。

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