大阪大学のロゴ 外国語学部(2) 和文英訳 大阪大学 2020
大阪大学 2020年度 前期日程 · 英語

外国語学部(2) 和文英訳
解答と解説

一文だけの短い問題ですが、前後の文脈を読まずに単語を置き換えると意味を外しやすい問題です。「あとは」は物の残りではなく最初の一分が過ぎた後を指し、「全然違うこと」は与えられた課題とは関係のないことです。主語を they や the students で補い、何から注意が離れ、どのように別の考えへ移るのかを節に開くと、短い原文の含みを落とさず書けます。

難易度 ★★★★★ 目安 10分 和文英訳 テーマ 考える時間に注意が別の方向へそれること
1

問題

外国語学部(2) 次の日本文の下線部(2)の意味を英語で表しなさい。

あとは全然違うことを考えています。

次の日本文の下線部(2)の意味を英語で表しなさい。 ___下線部(1)___思考は「動かす」ことが必要です。動かすためには刺激がなければならない。自分ひとりの頭の中で考えを深めるのは難しいことです。___下線部(1)___多くの小中学校で,「いまから15分でこれこれの問題について考えてください」というように「考える時間」をつくったりしますが,たいていは最初の1分しか考えていません。___下線部(2)___あとは全然違うことを考えています。___下線部(2)___思考が行き詰まってしまう。そこで「対話」が必要になるのです。 ___下線部(3)___ある考えに対して,ちょっと違う考えをぶつけられれば,次の考えに進むことができます。矛盾をどうにかしようと思考を働かせられるのです。___下線部(3)___ (齋藤孝『読書する人だけがたどり着ける場所』)
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この問題で見られている力

  • 省略された主語を前文の児童・生徒として補えるか
  • 「あとは」を after that / for the rest of the time と時間で表せるか
  • 「全然違う」を something completely different と自然に言えるか
  • 何と違うのかを what they were asked to think about で説明できるか
  • 現在の一般的傾向なので現在形を選べるか
2

文ごとの解説

第 1 文

あとは全然違うことを考えています。

つまずきやすいところ
  • 主語は省略されていますが、前文の小中学生を受けるので they を補います
  • 「あとは」は after that だけでなく、残りの考える時間という意味まで読めます
  • ここが山場です。「全然違うこと」は課題と無関係な考えであり、different things from the task と関係を示します
  • 一般的な観察を述べているので現在形 think / start thinking が合います
  • 「考えています」を進行形に固定せず、注意が移る動きを start thinking で表せます
発想の切り替え

前文では十五分のうち最初の一分しか課題を考えないと述べています。そこで「あとは」を単独の afterwards で済ませず、for the rest of the time と置けば、残り十四分ほどという対比が見えます。「違う」は比較の相手が必要なので、what they were asked to think about を補うと読み手に親切です。

訳例
標準

After that, they spend the rest of the time thinking about something completely different from what they were asked to consider. This shows how quickly their attention shifts away from the question and what happens when they have no new stimulus to move their thinking forward.

別解

Once the first minute has passed, the students begin to think about things that have nothing to do with the given question. In other words, what fills the rest of their time is different from what the teacher asked them to think about and shows how easily thought can stop moving.

この文でやりやすい誤り

主語を I にしてしまう

減点 大
After that, I think about something completely different.
After that, they think about something completely different.

前後は学校で考える時間を与えられた児童・生徒一般の話です。I にすると筆者自身の体験へ変わり、誰の行動かを取り違えます。省略主語は直前の内容から補います。原文の主語・時間・対象を修正文と一つずつ照合すると、この一か所だけを直す理由がはっきりします。

after を単独で置く

減点 中
After, they think about something completely different.
After that, they think about something completely different.

after はこの意味では目的語が必要で、単独の接続副詞にはできません。「そのあと」なら after that または afterwards を使います。採点では単語の近さより文全体の意味が見られます。修正文を声に出し、前後の論理までつながるか確認してください。

the other thing で特定の一つにする

減点 中
They think about the other thing for the rest of the time.
They think about something completely different for the rest of the time.

the other thing は二つのうち残った特定の一つを指します。ここでは課題以外のさまざまな考えへそれるので something completely different が合います。この形を避けるだけでなく、修正文で日本語のどの部分を回収したかまで確認すると、同じ誤りを別の問題でも防げます。

different の比較相手を from なしで続ける

減点 大
They think about something completely different the given question.
They think about something completely different from the given question.

different の後ろに比較相手を置くなら from が必要です。欠けると二つの名詞がつながらず文が壊れます。誤りを直す際は別の難しい表現を足さず、修正文のように高校範囲の語で意味を一本に通すのが安全です。

think を他動詞のように使う

減点 大
They think something completely different.
They think about something completely different.

think の直後に物を置くと「そう考える」という内容補語の読みになり、何について考えるかを表せません。話題には think about を使います。原文の主語・時間・対象を修正文と一つずつ照合すると、この一か所だけを直す理由がはっきりします。

全然を not at all で否定する

減点 大
They do not think about a different thing at all.
They think about something completely different.

この文は考える行為を全否定していません。課題とは別のことを考えているので、completely を different にかけます。採点では単語の近さより文全体の意味が見られます。修正文を声に出し、前後の論理までつながるか確認してください。

残り時間を the left time とする

減点 中
They think about other things in the left time.
They think about other things for the rest of the time.

left をこの位置で使うと自然な名詞句になりません。「残りの時間」は the rest of the time が安定しています。この形を避けるだけでなく、修正文で日本語のどの部分を回収したかまで確認すると、同じ誤りを別の問題でも防げます。

進行形で一時的な場面に限定する

減点 中
They are thinking about something completely different now.
They think about something completely different after the first minute.

now を加えると今この瞬間の一場面になります。原文は多くの学校で起こる一般的な傾向なので、単純現在形で書きます。誤りを直す際は別の難しい表現を足さず、修正文のように高校範囲の語で意味を一本に通すのが安全です。

あとはを besides と訳す

減点 中
Besides, they think about something completely different.
After that, they think about something completely different.

besides は「そのうえ」という追加です。ここでは最初の一分とその後という時間の順序なので after that が必要です。原文の主語・時間・対象を修正文と一つずつ照合すると、この一か所だけを直す理由がはっきりします。

課題との無関係さを弱める

減点 大
They think about another part of the question.
They think about things that have nothing to do with the question.

another part of the question では同じ課題の別の部分を考え続けています。原文の「全然違う」から外れるため、nothing to do with the question とします。採点では単語の近さより文全体の意味が見られます。修正文を声に出し、前後の論理までつながるか確認してください。

time の前置詞を in にする

減点 小〜中
They think about other things in the rest of the time.
They spend the rest of the time thinking about other things.

時間をどのように過ごすかを表す spend と合わせるなら spend the rest of the time V-ing が自然です。不要な in を置かない形で覚えると安全です。この形を避けるだけでなく、修正文で日本語のどの部分を回収したかまで確認すると、同じ誤りを別の問題でも防げます。

この文の言いかえ
あとは
after that直前の一分を受ける最も簡単な形です 文脈の主語も一緒に確かめてください。
for the rest of the time残り時間を強調でき、この文脈に特によく合います 日本語との対応を答案上で確認できます。
besides追加の意味になり、時間の流れを表せません 短くても意味の関係が見える形です。
全然違うこと
something completely different平易で比較の違いが明確です 日本語との対応を答案上で確認できます。
things unrelated to the question何と無関係かを示せます 短くても意味の関係が見える形です。
the other thing特定の二択の残りを指すのでここでは使いません 文脈の主語も一緒に確かめてください。
考える
think about話題について考える基本形です 短くても意味の関係が見える形です。
turn their thoughts to使えますが、まずは think about で十分です 文脈の主語も一緒に確かめてください。
think something話題を直接目的語に置くこの形は使えません 日本語との対応を答案上で確認できます。
課題
the given question与えられた問いだと明確です 文脈の主語も一緒に確かめてください。
the task短くまとめられます 日本語との対応を答案上で確認できます。
a problem thing英語の名詞句として不自然です 短くても意味の関係が見える形です。
残りの時間
the rest of the timeまとまりとして覚えやすい形です 日本語との対応を答案上で確認できます。
the remaining minutes十五分という文脈を具体的にできます 短くても意味の関係が見える形です。
the left time自然な言い方ではありません 文脈の主語も一緒に確かめてください。
注意がそれる
their attention leaves the question動きを平易に説明できます 短くても意味の関係が見える形です。
they lose focus on the questionfocus を使う自然な言い方です 文脈の主語も一緒に確かめてください。
their mind escapes意味が不明確になるため避けます 日本語との対応を答案上で確認できます。
関係がない
have nothing to do with高校範囲で関係のなさを強く出せます 文脈の主語も一緒に確かめてください。
be unrelated to使えますが少し硬めです 日本語との対応を答案上で確認できます。
do not relate the question目的語の取り方が誤っています 短くても意味の関係が見える形です。
最初の一分が過ぎる
once the first minute has passed時間の境目を節で示せます 日本語との対応を答案上で確認できます。
after the first minute短く安全です 短くても意味の関係が見える形です。
when one minute was gone一般論なのに過去形になり不自然です 文脈の主語も一緒に確かめてください。
3

模範解答

標準解

まずここを目標にhow節 ×1 / what節 ×246語

After that, they spend the rest of the time thinking about something completely different from what they were asked to consider. This shows how quickly their attention shifts away from the question and what happens when they have no new stimulus to move their thinking forward.

全46語です。中心となる訳は第一文で、after that が「最初の一分のあと」、the rest of the time が残りの時間、something completely different が課題から外れた考えを表します。第二文は前後の文脈を説明的に開いたものです。what they were asked to consider、how quickly their attention leaves、what happens の三つの節で、短い日本語に隠れている比較対象と結果を見える形にしました。

説明を足した解

書けなかったときの逃げ道how節 ×1 / what節 ×255語

Once the first minute has passed, the students begin to think about things that have nothing to do with the given question. What they think about for the remaining minutes is no longer the task, which explains how their thoughts lose direction and what the writer means by saying that thinking comes to a stop.

全55語です。after that が出ないときは Once the first minute has passed と時間を一文にして構いません。have nothing to do with the given question なら「全然違う」の関係を平易な語で説明できます。後半では、前後文の「思考が行き詰まる」までつなぎ、短い下線部が段落の中でどんな役割を持つかを示しています。

6

他の問題にも使える形

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spend + 時間 + V-ing最重要

時間を何に使うかを書く

時間の長さと行動を一つにできる形です。この問題では、残り時間を別の考えに使うという脱線をそのまま表せます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。

They spend the rest of the time thinking about other things.
She spent the evening reading a novel.
something + 形容詞よく使う

不特定のものを後ろから説明する

something は形容詞を後ろに置きます。日本語の語順に引かれて different something としないようにします。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。

something completely different
something useful for the class
different from + 名詞最重要

比較相手を示す

違うと言うだけでなく、何と違うかを from の後ろに置くと採点者に伝わります。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。

different from the given question
different from what I expected
what S was asked to Vよく使う

求められた内容を節にする

名詞一語が出なくても、何をするよう求められたかを what 節で説明できます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。

what they were asked to consider
what we were told to bring
Once S has V-ed, S Vよく使う

ある時点の後を示す

afterwards 一語に頼らず、何が終わった後かを節で明確にできます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。

Once the first minute has passed, their attention moves away.
Once the rain has stopped, we can leave.
have nothing to do with + 名詞最重要

無関係であると示す

unrelated が思い出せないときにも、基本語だけで強い無関係を表せます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。

things that have nothing to do with the task
That rumor has nothing to do with me.
7

この問題の語彙

表現意味ひとこと
after thatそのあとafter 単独ではなく that まで置きます 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
the rest of残りの〜time は不可算なので the rest of the time とします 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
completely完全に、まったくdifferent を強め、考える行為を否定しません 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
given与えられたthe given question のように名詞の前で使えます 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
attention注意pay attention to と attention leaves の両方を確認します 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
stimulus刺激複数なら stimuli ですが、標準解では無理に使いません 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
remaining残っているremaining minutes のように名詞の前に置きます 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
focus集中、焦点lose focus on の前置詞は on です 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
unrelated無関係なbe unrelated to の to を忘れないようにします 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。
8

出題の傾向

阪大外国語学部は、同じ長文から複数の下線部を別々に訳させる年があります。2020年は思考と対話を扱い、(1)は刺激の必要、(2)のこの問題は注意の脱線、(3)は違う考えをぶつける働きを問いました。2019年も一つの随筆から職場の付き合い、空き時間、執筆の実現を三問に分けています。全学部の抽象説明や文学部の長文和訳とは違い、短い下線部でも前後から主語と指示内容を補う力が重要です。

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