「考えをぶつける」を hit や throw で直訳せず、present a slightly different idea や compare one idea with another と言い直す判断が中心です。さらに「〜られれば」は単なる受け身ではなく条件であり、その結果として次の考えへ進めます。第二文の「矛盾をどうにかしよう」は、矛盾を消すと断言するのではなく、どう解けばよいかを考える努力です。二文の因果を if、then、by trying to understand で見える形にすると安定します。
ある考えに対して,ちょっと違う考えをぶつけられれば,次の考えに進むことができます。矛盾をどうにかしようと思考を働かせられるのです。
次の日本文の下線部(3)の意味を英語で表しなさい。 ___下線部(1)___思考は「動かす」ことが必要です。動かすためには刺激がなければならない。自分ひとりの頭の中で考えを深めるのは難しいことです。___下線部(1)___多くの小中学校で,「いまから15分でこれこれの問題について考えてください」というように「考える時間」をつくったりしますが,たいていは最初の1分しか考えていません。___下線部(2)___あとは全然違うことを考えています。___下線部(2)___思考が行き詰まってしまう。そこで「対話」が必要になるのです。 ___下線部(3)___ある考えに対して,ちょっと違う考えをぶつけられれば,次の考えに進むことができます。矛盾をどうにかしようと思考を働かせられるのです。___下線部(3)___ (齋藤孝『読書する人だけがたどり着ける場所』)
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考えを物のように扱う日本語の比喩をいったんほどきます。誰かが少し違う見方を示すと、私たちは二つを比べて新しい考えに進める、という人の動作に直せば基本語だけで書けます。受け身を機械的に保つ必要はありません。
If someone presents us with an idea that is slightly different from our own, we can see how the two ideas differ and move on to what we should think about next.
When another person offers a somewhat different view, it gives us a chance to compare what that person thinks with what we think and to develop a new idea.
hit は物を打つ動作に聞こえ、意見を示して刺激するという比喩が伝わりません。present an idea や offer a view にほどきます。原文の主語・時間・対象を修正文と一つずつ照合すると、この一か所だけを直す理由がはっきりします。
present 人 with 物 または present 物 to 人の語順です。a different idea us とは並べられません。採点では単語の近さより文全体の意味が見られます。修正文を声に出し、前後の論理までつながるか確認してください。
different の比較相手を続けるには from が必要です。from がないと different と our own の関係が文法上つながりません。この形を避けるだけでなく、修正文で日本語のどの部分を回収したかまで確認すると、同じ誤りを別の問題でも防げます。
thinking はここで個別の考え一つを表しません。a new idea または move our thinking forward とします。誤りを直す際は別の難しい表現を足さず、修正文のように高校範囲の語で意味を一本に通すのが安全です。
助動詞 will と can は同じ位置に二つ並べられません。この文では「進むことができる」という可能を can 一語で示します。採点では単語の近さより文全体の意味が見られます。修正文を声に出し、前後の論理までつながるか確認してください。
slightly は程度を表す副詞で、名詞 idea を直接修飾できません。different を修飾します。この形を避けるだけでなく、修正文で日本語のどの部分を回収したかまで確認すると、同じ誤りを別の問題でも防げます。
矛盾をどうにかしようと思考を働かせられるのです。
矛盾そのものを必ず解決できるとは書かれていません。大切なのは、食い違いを前にして考える力を使えることです。そこで This makes us use our minds to find how ... とし、対話が刺激になる因果を残します。
This makes us use our minds as we try to understand what the contradiction is and how we can deal with it.
We are then able to keep thinking because we want to discover how the two ideas can fit together and what can remove the conflict between them.
contradiction は二つの考えの食い違いです。人そのものが矛盾だと書くと意味が変わります。原文の主語・時間・対象を修正文と一つずつ照合すると、この一か所だけを直す理由がはっきりします。
ここでは二つの考えの間にある特定の矛盾なので the contradiction とします。採点では単語の近さより文全体の意味が見られます。修正文を声に出し、前後の論理までつながるか確認してください。
原文は解決の保証ではなく、どうにかしようと考えることを述べます。always と completely は内容を強めすぎます。この形を避けるだけでなく、修正文で日本語のどの部分を回収したかまで確認すると、同じ誤りを別の問題でも防げます。
使役の make は make 人 動詞原形です。to を入れません。誤りを直す際は別の難しい表現を足さず、修正文のように高校範囲の語で意味を一本に通すのが安全です。
何について考えるかを示すなら think about が必要です。原文の主語・時間・対象を修正文と一つずつ照合すると、この一か所だけを直す理由がはっきりします。
If someone presents us with an idea that is slightly different from our own, we can see how the two ideas differ and move on to what we should think about next. This makes us use our minds as we try to understand what the contradiction is and how we can deal with it.
全54語です。present us with an idea で「考えをぶつける」の比喩を人の行動に戻しました。how the two ideas differ、what we should think about next、what the contradiction is、how we can deal with it と節に開き、違いの発見から次の考え、矛盾への対応までを順番に見せています。solve と言い切らず try to understand とした点も原文に忠実です。
When another person offers a somewhat different view, we can compare what that person thinks with what we think. This helps us learn how our ideas conflict and how we might bring them together. By trying to find what can solve the problem, we keep our thoughts moving and can develop another idea.
全53語です。ぶつけるに対応する特別な動詞が出なくても、offer a view と compare A with B で十分です。二つの what 節で双方の考えを具体化し、二つの how 節で食い違いと調整方法を示しました。最後に keep our thoughts moving を置くことで、段落全体の「思考を動かす」という比喩にもつながります。

人に考えなどを示す
語順を一まとまりで覚えると、比喩的な「ぶつける」を安全に言い直せます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。
違い方を節にする
difference という抽象名詞だけでなく、どのように違うかを説明できます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。
次の段階へ進む
物理的な移動だけでなく、話題や考えの進展にも使えます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。
解決方法を探る
「どうにかしよう」のように結果ではなく試みを表すときに役立ちます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。
人に働きかける結果を書く
刺激が人の思考を動かす因果を簡潔に示せます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。
二つを比べる
対話で異なる考えを並べる場面を、難しい語なしで説明できます。 一つ目の例でこの問題への使い方を、二つ目で別の話題にも移せることを確かめてください。
| 表現 | 意味 | ひとこと |
|---|---|---|
| present | 示す、提示する | present 人 with 物の語順を確認します 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。 |
| view | 見方、意見 | 景色の意味だけでなく意見にも使えます 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。 |
| slightly | 少し | different など形容詞を修飾します 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。 |
| move on | 先へ進む | to の後ろに次の段階を置きます 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。 |
| contradiction | 矛盾 | 特定の矛盾なら the を付けます 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。 |
| conflict | 食い違う | 動詞なら ideas conflict と書けます 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。 |
| deal with | 対処する | solve より結果を断言しない表現です 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。 |
| compare | 比べる | compare A with B の形が基本です 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。 |
| stimulus | 刺激 | 難しく感じたら something that makes us think と開けます 単語だけでなく、この形のまま短い例文にして覚えると使いやすいです。 |
阪大外国語学部の2020年は同じ文章から三つの下線部が出され、(1)で思考を動かす刺激、(2)で注意が課題からそれる様子、(3)で対話が思考を再び動かす仕組みを問いました。2019年も一つの随筆を三問に分けています。短い部分でも前後の論理を受けて訳す点が特徴です。同年度の文学部は読書と自己吟味、文学部以外は歴史を書く立場を扱い、学部ごとに題材と抽象度が大きく違います。
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