「共通点を見ること」が「違いを認める余裕」を生み、さらに「同じ歴史を共有した事実」から「潜在的にわかり合えるという信念」へ進む文章です。一見すると同じ意味の言葉が並んでいますが、共通性と違いは反対ではありません。何が同じかに気づくからこそ、互いがどう違うかを落ち着いて受け止められる、という因果関係を保つ必要があります。how we are different、what we have in common、how we may be able to understand one another と節に開けば、抽象名詞を重ねずに内容を丁寧に再現できます。答案を組み立てる際は、最初に共通性が心の余裕を生む因果を一文で完成させ、次に「違いだけを見る」のではなく「共有した歴史を見る」という視線の切り替えを書き、最後に相互理解への信念を結論として置いてください。「兄弟姉妹」は全人類が同じ両親を持つという字義ではなく、長い人類史を共有する仲間という比喩です。members of one human family と説明する別解も準備すると安全です。潜在的な力も、すでに完全に理解しているという意味ではなく、時間をかければ理解に近づける力として表してください。
共通性に気づくことは,違いを認める心の余裕を生むはずです。世界の人々が「どう違うか」ばかりに目を奪われるのでなく,私たちはみな,かつて同じ長い歴史を共有してきた兄弟姉妹である事実に目を向け,だから「私たちは潜在的にわかり合える」という信念を持つべきでしょう。
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この文では「共通点」と「違い」を名詞で並べるより、何を共有しているか、どのように違うか、という二つの節にすると関係が見えます。「心の余裕」は英単語一語を探す問題ではありません。落ち着いて違いを受け入れられるようになる、と人の行動に直してください。should give us enough room to accept ... としても、should help us calmly accept ... としても構いません。
Realizing what we have in common should give us enough room in our minds to accept how we are different and what makes each of us unique.
When we notice how much we share, we should become more ready to accept how other people differ from us.
common は形容詞なので、noticing の目的語として単独では置けません。何を共有しているかを what節にすると、名詞形を探さず自然に書けます。
spare time は予定に空きがあることです。原文は心理的に落ち着いて違いを受け入れられる状態を指しており、時間が増える話ではありません。
though we dislike it を足すと、違いを受け入れる余裕が生まれるという肯定的な内容が、嫌々事実を認める話に変わります。accept を使い、不要な反感を加えません。
世界の人々が「どう違うか」ばかりに目を奪われるのでなく,私たちはみな,かつて同じ長い歴史を共有してきた兄弟姉妹である事実に目を向け,だから「私たちは潜在的にわかり合える」という信念を持つべきでしょう。
長い文ですが、①違いだけを見るのをやめる、②同じ歴史を共有した事実を見る、③だから理解し合えると信じる、の三段階です。英語でもこの順番を守れば迷いません。「兄弟姉妹」は brothers and sisters と訳せますが、比喩だと伝えるため members of one human family と説明してもよいでしょう。「潜在的に」は what we can understand about one another のように能力の中身を開くと安全です。
Instead of looking only at how people around the world differ, we should remember that we are all brothers and sisters who have shared the same long history. For that reason, we should believe that we have within us the ability to understand one another and learn what others truly mean.
We should not let ourselves be concerned only with how people in the world are different. We should look at the fact that we all belong to one human family with a long shared history, and believe that we can come to understand how others see the world.
この文では only が people を限定し、「違う人だけを見る」という意味です。原文は人々の違いという側面だけに注目するな、と言っています。
原文の兄弟姉妹は人類の共通性を表す比喩で、全員が同じ両親を持つという生物学的な事実ではありません。same parents を加えると誤った内容になります。
at one time と単純過去にすると、今は共有していない一時期の出来事のように聞こえます。長い歴史が現在の私たちにつながるので現在完了が適します。
same と histories を組み合わせると、同じ複数の歴史という不自然な形です。ここでは人類が共有してきた一つの長い歴史を指すので単数形にします。
原文は、理解し合える力が内にあるという信念を持つべきだと述べています。probably cannot を加えると信念を否定する反対の結論になります。
原文の「わかり合える」は相互の理解です。この文では他者が私たちを理解する一方向だけになり、私たちが他者を理解する側が落ちています。
二文は文法的には整っていますが、共有した歴史が信念の根拠だというつながりが表に出ません。原文の「だから」を for that reason や so で明示してください。
Realizing what we have in common should give us enough room in our minds to accept how we are different and what makes each of us unique. Instead of looking only at how people around the world differ, we should remember that we are all brothers and sisters who have shared the same long history. For that reason, we should believe that we have within us the ability to understand one another and learn what others truly mean.
全76語です。最初の一文では共通性を what we have in common、違いを how we are different と節にしました。後半は、違いだけを見ることから、共有した歴史を見ることへ視線を移し、そのため理解し合えると信じる、という順序です。brothers and sisters は原文の比喩を残しつつ、who節で何を共有してきた仲間なのかを説明しています。how節2個、what節3個が自然に入り、抽象語を並べずに原文の論理を保てています。
When we notice how much we share, we should become more ready to accept how other people differ from us. We should not pay attention only to how people in the world are different. We should also remember what all human beings share: we are members of one family whose long history began in the same place. If we keep this fact in mind, we can believe that we have the power to understand what other people feel and how they see the world.
全83語です。「心の余裕」を become more ready to accept と行動の変化にし、「兄弟姉妹」を members of one family と説明しました。原文の「同じ長い歴史」は同じ起点を持つ人類の歴史として示しています。最後も potentially に頼らず、what other people feel と how they see the world を理解する力がある、と中身を具体化しました。短い訳語が思いつかなくても、このように一つの抽象語を一つの節へほどけば十分に正確な答案になります。

共通点を節に開く
common points という名詞句よりも、誰が何を共有するかを自然に示せます。人・文化・意見の比較で広く使えます。
違いのあり方を表す
「違い」「相違」を難しい名詞にせず、どのように違うかという節で説明できます。
視点や行動を切り替える
してはいけないことを述べたあと、何をすべきかへ進めます。対比の両側で主語を同じにすると読みやすくなります。
事実の中身を文で示す
「〜という事実」を受ける基本形です。that以下には主語と動詞をそろえ、同格の内容として続けます。
潜在的な力を平易に言う
potentially の置き場所に迷うとき、何をする能力があるかを直接書けます。可能性を肯定的に示す形です。
根拠から判断へ進む
直前の事実全体を受けて、提案や信念へ進むときに使えます。「だから」の論理を答案上で見えるようにできます。
| 表現 | 意味 | ひとこと |
|---|---|---|
| in common | 共通して | have A in common の形で使います。commonだけを名詞にはできません |
| accept | 受け入れる | ここでは違いを肯定的に認める意味です |
| differ | 異なる | 動詞です。be different from と言い換えられます |
| pay attention to | 〜に注意を向ける | toは前置詞なので後ろに名詞か動名詞を置きます |
| share | 共有する | 歴史や経験を共に持つ意味でも使えます |
| one another | お互いに | understand one another で相互理解を示します |
| ability | 能力 | ability to V と、何をする力かを後ろに続けます |
| unique | 固有の、独自の | differentを否定的にせず、一人一人の特徴として表せます |
阪大の全学部向け和文英訳は、短い随筆の論理を平易な英語に組み直す形式が中心です。2021年は学ぶほど視野と好奇心が広がる流れ、2022年は宇宙の条件が偶然そろうことと、その確率の低さ、2023年は共通性から相互理解への流れが問われました。2024年も忘れた疑問が再び広がるという抽象的な思考の動きを扱っています。文学部の長めの比喩表現とは違い、全学部では因果・対比・程度を落とさず、how/what節で内容を見える形にする力が安定して求められています。演習では、抽象名詞を見つけたらすぐ英単語を探すのではなく、「誰が何を共有するのか」「誰がどのように違うのか」「何を理解できるのか」と問い直してください。節に直すことで主語と動詞が決まり、共通性と違いを対立させずに書けます。この問題では、同じ歴史を持つという事実が、違いを消すのではなく違いを受け止める余裕の根拠になっています。そこまで説明できれば阪大全学部らしい論理を再現できています。
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