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大阪大学 2024年度 前期日程 · 英語

文学部以外 和文英訳
解答と解説

二文の中に、理由を示す「以上」、部分否定の「全て正しいとは限らない」、譲歩的な「〜を考えても」、規範を表す「あってしかるべき」が並ぶ論理重視の問題です。単語を一対一で置き換えるより、報道を作るのは人間だという事実、報道がどれほど多くの人に届くか、だから個々の記事への批判がなぜ重要か、という三段階にほどくと安定します。how far news can reach と what is reported のように節へ開けば、硬い抽象名詞を探さなくても内容を落とさず書けます。答案を見直すときは、第一文が「人が作るから誤る可能性がある」、第二文が「多くの人に影響するから批判が必要」という別々の根拠になっているか確認してください。批判が報道者個人への攻撃ではなく、記事や番組の内容を検討する営みだと対象を正確に保つことも大切です。

難易度 ★★★★ 目安 20分 和文英訳 テーマ 報道の不完全さと批判の必要性
1

問題

文学部以外 次の日本文を英訳しなさい。

取材をし,記事を書き、ニュースを発信するのが人間である以上,報道は全て正しいとは限らない。また,報道が届く人々の範囲の広さを考えても,個別の記事や番組に対する批判は,あってしかるべき重要なものである。

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この問題で見られている力

  • 「人間である以上」を because it is people who ... と理由として示せるか
  • 「全て正しいとは限らない」を not everything ... is correct と部分否定にできるか
  • 取材・執筆・発信という三つの動作を並列にそろえられるか
  • 「届く人々の範囲の広さ」を how many people news can reach と節に開けるか
  • 「あってしかるべき」を should be welcomed / is necessary と自然な規範表現にできるか
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文ごとの解説

第 1 文

取材をし,記事を書き、ニュースを発信するのが人間である以上,報道は全て正しいとは限らない。

つまずきやすいところ
  • ここが山場です。「人間である以上」は単なる時を表す when ではなく、報道が不完全になりうる理由です
  • 取材をする、記事を書く、ニュースを発信する、の三つを gather information, write stories, report news と同じ形で並べます
  • 「全て正しいとは限らない」は部分否定です。all news is not correct では読み方が揺れるため、not everything that is reported is correct とします
  • 「報道」は news だけでなく what is reported と節に開くと、個々の内容を指せます
  • 日本語の無生物主語に引かれず、people を動作主として先に出します
発想の切り替え

最初に「誰が何をするのか」を出し、その事実がなぜ結論につながるかを because で示します。「人間だから誤ることがある」と原文が含ませている関係を、英語では people can make mistakes と一段説明しても構いません。部分否定は not everything を文頭に置けば安全です。what is reported とすれば、「報道」という名詞を具体的な中身へ開く練習にもなります。さらに no matter how carefully they work と添えると、記者の努力を否定せず、人間の仕事である以上は完全ではありえない、という原文の慎重な論調を保てます。

訳例
標準

Because it is people who gather information, write articles, and report the news, not everything that is reported can be correct, no matter how carefully they work.

別解

People are the ones who collect information, write articles, and tell us what is happening. Since people can make mistakes, we cannot expect every news report to be correct.

この文でやりやすい誤り

部分否定を全否定にしてしまう

減点 大
Because people report the news, no news report is correct.
Because people report the news, not every news report can be correct.

no news report とすると「正しい報道は一つもない」という全否定です。原文は、全てが正しいとは限らないと言っているだけで、正しい報道の存在まで否定していません。筆者の主張を必要以上に強くしてしまいます。

「人間である以上」を時だけのwhenで結ぶ

減点 大
When people gather information and write articles, not every report is correct.
Because it is people who gather information and write articles, not every report can be correct.

when だけでは「人が取材している時には」という時の意味になり、人間が作るものだから誤りうるという理由が伝わりません。この文では because や since が必要です。

三つの動作の形をそろえない

減点 中
People gather information, writing articles, and report the news.
People gather information, write articles, and report the news.

gather と report の間に writing だけを置くと、三つが同じ役割で並んでいることが崩れます。取材・執筆・発信はすべて people が行う動作なので、動詞の形をそろえます。

newsを数えられる名詞として使う

減点 中
People send many news to the public every day.
People send many news reports to the public every day.

news は語尾が s でも不可算名詞です。many news とはせず、many news reports や a lot of news と書きます。この問題では個別の記事なら reports が明確です。

この文の言いかえ
取材をする
gather information情報を集めるという中身を平易に示せます
collect informationこれでも自然です
cover報道分野の用法を知らないと目的語を誤りやすいので、無理に使わなくて大丈夫です
ニュースを発信する
report the news簡潔で、この文に最も合います
tell people what is happeningwhat節で説明する安全な形です
send a newsnewsを一つ二つと数える誤りになります
人間である以上
because it is people who ...理由と動作主の強調を同時に示せます
since people are the ones who ...説明的ですが正確です
when people ...時の意味になり、理由が弱くなります
全て正しいとは限らない
not everything that is reported is correct部分否定が明確です
we cannot expect every report to be correct期待できない、と説明する形です
all reports are not correct全否定にも読めるため避けてください
第 2 文

また,報道が届く人々の範囲の広さを考えても,個別の記事や番組に対する批判は,あってしかるべき重要なものである。

つまずきやすいところ
  • 「範囲の広さ」を the width of the range と直訳せず、how many people news can reach と節に開きます
  • 「考えても」は even when we consider として、前文とは別の根拠を加えます
  • article と program のそれぞれに individual を重ねず、each article or program とまとめられます
  • criticism は不可算で使うことが多いため、a criticism と安易にしません
  • 「あってしかるべき」は exist naturally ではなく、should be accepted and valued と評価を明示します
発想の切り替え

この文の中心は、報道の影響が広いからこそ批判が必要だ、という因果関係です。「範囲」を難しい名詞にせず how many people a report may reach と書くと、何が広いのかが明確になります。「あってしかるべき」は存在の話ではなく、批判を当然で重要なものとして認めるべきだという判断です。should therefore be seen as necessary and important と結論を言葉にしてください。

訳例
標準

Also, when we consider how many people news reports can reach and what effect they may have, criticism of each article or program should be seen as both natural and important.

別解

We should also remember how far a single report can spread and how strongly it can affect people. That is why it is necessary and right to examine and criticize individual articles and programs.

この文でやりやすい誤り

「届く範囲」を物理的な幅にする

減点 大
We should consider the wide width of news reports.
We should consider how many people a news report can reach.

width は物の横幅を表す語なので、報道が何人に届くかという意味になりません。原文の「広さ」は人の数や広がる距離のことですから、how many people や how far に開きます。

reachの後ろにtoを置く

減点 中
A news report can reach to many people in a short time.
A news report can reach many people in a short time.

reach は「〜に届く」の意味では目的語を直接取ります。to を入れるとこの用法では文法的に誤りです。ほかの内容は保ち、前置詞だけを外します。

criticismを一件の物として数える

減点 小〜中
A criticism of each article is important.
Criticism of each article is important.

ここでいう批判は、個々の記事を検討し批判する営み全体です。通常は不可算の criticism を使います。a criticism だと一つの批判的発言を指すため、原文の一般論より狭くなります。

「あってしかるべき」を存在だけで訳す

減点 大
Criticism of each article exists naturally.
Criticism of each article should be accepted as necessary and important.

exists naturally では「自然界に存在する」ように聞こえ、批判は必要で正当だという規範が消えます。should be accepted や is necessary を使って評価を表します。

articleとprogramの一方を落とす

減点 中
It is important to criticize individual articles.
It is important to criticize individual articles or programs.

英語自体は整っていますが、原文が並べた記事と番組のうち番組が訳から消えています。媒体を二つ挙げた意味を保つため、or programs を足してください。

批判する相手をpeopleに変える

減点 大
It is important to criticize the people who report the news.
It is important to criticize individual news articles and programs.

原文が批判の対象にしているのは個別の記事や番組であり、記者個人ではありません。対象を人に変えると、内容の検証ではなく人格への攻撃という別の主張になります。

この文の言いかえ
届く人々の範囲の広さ
how many people a report can reach何が広いかを節で明確にできます
how far a report can spread距離や広がりに焦点を置く形です
the wide width of a report物理的な横幅の意味になるので使えません
〜を考えても
when we also consider ...別の根拠を足す流れが自然です
given ...短い形ですが、後ろに名詞が必要です
even thinking ...主語との関係が曖昧になりやすいため避けます
個別の記事や番組
each article or program個々に検討する意味が明確です
individual articles and programs複数全体を指す自然な形です
private articles and programsprivateは非公開・私的という別の意味です
あってしかるべき重要なもの
should be seen as natural and important当然さと重要さを両方残せます
is both necessary and right批判する行為を主語にすると使いやすい形です
exists naturally存在の話になり、必要性が消えます
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模範解答

標準解

まずここを目標にhow節 ×2 / what節 ×158語

Because it is people who gather information, write articles, and report the news, not everything that is reported can be correct, no matter how carefully they work. Also, when we consider how many people news reports can reach and what effect they may have, criticism of each article or program should be seen as both natural and important.

全59語です。第一文では because で「人間が作る以上」という理由を示し、not everything that is reported で部分否定を確実にしました。no matter how carefully they work は、努力していても完全とは限らないという含みです。第二文では「届く範囲」を how many people reports can reach、「影響」を what effect they may have と節へ開いています。批判が単に存在するという話ではなく、当然で重要だという評価まで both natural and important で残しています。難しい報道用語を探さず、論理の骨組みを見える形にするのがこの問題の要点です。

説明を足した解

書けなかったときの逃げ道how節 ×2 / what節 ×271語

People are the ones who collect information, write articles, and tell us what is happening. Because people can make mistakes, we cannot expect every report to be correct. We should also think about how far one report can spread, how many people may receive it, and what it may make them believe. For this reason, it is both natural and important for people to examine and criticize each article or program.

全70語です。「人間である以上」に含まれる意味を people can make mistakes と明示し、部分否定を cannot expect every report to be correct に言い換えました。第二文の根拠も、どこまで広がるか、何人に届くか、何を信じさせるか、の三点に分けています。原文より説明は長くなりますが、内容の追加ではなく隠れた関係の明示なので、本番で短い形が浮かばないときの安全な逃げ道になります。

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他の問題にも使える形

学習のコツを紹介する Boost のキャラクター Boo
Because it is 人 who V, ...最重要

動作主を示して理由につなぐ

誰が行う行為なのかが結論の理由になるときに使えます。it is ... who で動作主を見せ、because で後半との因果関係を保ってください。

Because it is people who report the news, mistakes are possible.
Because it is students who choose the topic, their interest matters.
not every / not everything最重要

部分否定を安全に書く

「全てが〜とは限らない」は not を every の前に置きます。no を使う全否定とは意味が大きく違うため、主張の強さを必ず確認してください。

Not every news report is correct.
Not everything we learn is useful at once.
what S V最重要

抽象的な内容を節に開く

「報道内容」「発言内容」のような硬い名詞を、何が起きているか、何を信じるかという節で説明できます。

tell us what is happening
We should check what the speaker really means.
how many + 複数名詞 + S V最重要

範囲の広さを人数で示す

「影響範囲の広さ」を直訳せず、何人が受け取るかに言い換えられます。数の程度を表す名詞句を一段具体的にする形です。

consider how many people a report can reach
We do not know how many students need help.
should be seen as A and Bよく使う

評価を二つ並べる

「当然で重要だ」のような判断を、存在表現ではなく評価として書けます。AとBには同じ品詞を置いてください。

Criticism should be seen as natural and important.
The change should be seen as fair and useful.
That is why S Vよく使う

理由を受けて結論を出す

前の文で事実を説明したあと、その事実からどんな判断が導かれるかを明確にできます。長い一文を二つに分けたいときにも便利です。

Reports affect many people. That is why criticism matters.
The road was unsafe. That is why we turned back.
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この問題の語彙

表現意味ひとこと
gather information情報を集める、取材するgather news より、何を集めるかが明確です
article記事新聞やウェブの記事です。冠詞を付けるときは an article です
report報道する、報道記事動詞にも可算名詞にもなります。news自体は不可算です
correct正しい事実が正確だという文脈で使えます。rightでも言い換えられます
reach〜に届く他動詞なので reach to people とはせず、reach people とします
effect影響、効果名詞です。have an effect on の形も使えます
criticism批判一般的な批判の営みなら不可算で使います
individual個々のprivateとは違い、一つ一つを別々に見る意味です
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出題の傾向

阪大の和文英訳は学部別に題材と文体が変わります。全学部では2023年の人類の共通性や2024年の疑問を考え続ける文章のような一般的随筆が出る一方、文学部は文学・表現、文学部以外は2022年の登山からの撤退、2023年の五感、2024年の報道のように、身近な例から社会的な判断へ進む文章が目立ちます。この区分では専門語よりも、理由・対比・程度を平易な英語で明示する力が問われています。特に2022年は悪天候なら退くことと進路・仕事を見切ることを結び、2023年は個人の感覚と社会・文化を結んでいました。どちらも二つの事柄の関係を英語側で説明する問題です。2024年も同じで、「人が作るから完全ではない」「広く届くから批判が必要だ」という二本の因果関係を落とさないことが得点の中心になります。過去問演習では、各文の接続語だけを先に丸で囲み、理由・追加・結論のどれかを書き添えると構造を見失いません。この問題なら「以上」は理由、「また」は別の理由の追加です。二文とも同じ結論を繰り返しているのではない点を意識してください。

学習の成果を喜ぶ Boost のキャラクター Boo

この問題を解いて添削してもらう

解説を読んだあとに自分の言葉で書き直すと、力のつき方がまったく違います。Boost アプリでこの問題を開けば、書いた答案をそのまま AI が添削します。

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