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大阪大学 2025年度 前期日程 · 英語

文学部以外 和文英訳
解答と解説

食事には栄養を取る目的があると認めたうえで、それだけを追えば人間らしさが失われる、と問いかける文章です。「目的を設定する」を硬い名詞で置かず what the purpose of eating is と節に開くこと、「その目的しか」の限定を nothing but で落とさないこと、最後の反語を should we not say that ...? と問いの形で残すことが得点差になります。

難易度 ★★★★ 目安 18分 和文英訳 テーマ 栄養だけではない食の人間らしさ
1

問題

文学部以外 次の文を英訳しなさい。

確かに食に目的を設定するならばその目的は栄養摂取である。けれども,食がその目的しか追求しないようになったら,食における人間らしさは失われてしまうと言うべきではないでしょうか。

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この問題で見られている力

  • 「確かに〜だが」を It is true that ..., but ... で対比できるか
  • 食の目的が何かを what 節に開いて説明できるか
  • 「栄養摂取」を getting the nutrients we need と平易に言えるか
  • 「その目的しか追求しない」の「しか」を正確に限定できるか
  • 「失われてしまう」と反語の語調をともに残せるか
2

文ごとの解説

第 1 文

確かに食に目的を設定するならばその目的は栄養摂取である。

つまずきやすいところ
  • 「確かに」は certainly だけで済ませず、次の「けれども」を見越して It is true that ... と受けます
  • 「食」は food ではなく、食べる行為なので eating とします
  • ここが山場です。「目的を設定するならば」は、誰かが目的を取り付ける話ではありません。if we ask what the purpose of eating is と問いの形に開くと自然です
  • 「その目的」は同じ purpose を繰り返さず、the answer で受けられます
  • 「栄養摂取」は nutrition intake のような硬い名詞より getting the nutrients we need のほうが意味が見えます
発想の切り替え

日本語は「目的」「栄養摂取」と名詞を重ねていますが、英語まで名詞で固める必要はありません。まず「食べる目的は何か」と問い直して what the purpose of eating is を作り、「栄養摂取」は to give our bodies what they need to stay healthy と必要なものを体に与える動作へ開きます。こうすると、目的の内容が読み手に一度で伝わります。第2文の反論が続くので、It is true that で譲歩の入口も用意してください。食の価値を栄養だけに限定するのは次の文なので、ここでは栄養を大切な目的としていったん素直に認めます。

訳例
標準

It is true that if we ask what the purpose of eating is, the answer is to give our bodies what they need to stay healthy.

別解

If we have to say what we eat for, it is certainly to take in what our bodies need to live.

この文でやりやすい誤り

「確かに」と「けれども」の譲歩を切る

減点 中
Certainly, eating has a purpose. The purpose is to get nutrients.
It is true that if we ask what the purpose of eating is, the answer is to get nutrients.

二文とも栄養の話を肯定して終わり、次に反論が来る構えが消えています。It is true that ... と始めれば、but 以下との対比が一つの論理になります。

食を food だけで表す

減点 中
It is true that the purpose of food is to get nutrients.
It is true that the purpose of eating is to get the nutrients we need.

food は食べ物そのものです。原文は食べるという人間の営みを論じているので、目的の主語が物へずれ、人間らしさとの対比も弱くなります。

purpose の後ろを誤った前置詞にする

減点 小〜中
The purpose for eating is to get the nutrients we need.
the purpose of eating

「食べる行為の目的」は the purpose of eating です。purpose for は特定の物の用途を示す場合がありますが、この抽象的な行為との結びつきには of が自然です。

nutrition を複数形にする

減点 中
The purpose of eating is to get nutritions.
to get nutrition / to get the nutrients we need

nutrition は「栄養を取ること・栄養状態」を表す不可算名詞なので、nutritions とはしません。必要な栄養素を数えるなら nutrients を使います。

栄養摂取を目的ではなく食べ物そのものと同一視する

減点 中
The purpose of eating is the nutrients in food.
The purpose of eating is to give our bodies what they need to stay healthy.

これでは食べる目的が「食べ物の中の栄養素そのもの」だという同一関係になります。原文の栄養摂取は、体に必要なものを取り入れる行為なので、to give や to get を使って動作として示します。

この文の言いかえ
確かに〜だが
It is true that ..., but ...譲歩と反論を一組にできる基本形です
Certainly ..., yet ...短くまとめても正解です
Of course ..., so ...so は順接になり、原文の逆向きの論理を壊します
食べる目的
what the purpose of eating is問いの中身に開くおすすめの形です
the purpose of eating名詞句でも自然に書けます
the eating purpose日本語の名詞をその順番で並べた不自然な形です
栄養を取る
give our bodies what they need to stay healthy「栄養摂取」という名詞を、体に必要なものを与える動作と what 節へ開けます
get the nutrients we need必要な栄養素まで短く明確に示せます
take in nutritionnutrition を不可算で使う形です
ingest nutrients意味は通りますが硬い語なので、知っていても無理に使う必要はありません
eat nutritionsnutrition は通常数えず、さらに食べる対象そのものではないため使えません
第 2 文

けれども,食がその目的しか追求しないようになったら,食における人間らしさは失われてしまうと言うべきではないでしょうか。

つまずきやすいところ
  • 「食が追求する」を eating pursues とすると無生物が意志を持つので、we come to eat only for that purpose と人を主語にします
  • 「その目的しか」の only を置く位置で意味が変わります。only for that purpose と目的を限定します
  • 「〜ようになったら」は if we come to ... / if eating becomes ... で変化を示します
  • 「食における人間らしさ」は humanity in eating と名詞を重ねず、what makes eating human と内容に開きます
  • ここが山場です。「言うべきではないでしょうか」は強い断定ではなく、読み手の同意を求める反語です。should we not say that ...? と問いのまま残します
発想の切り替え

「食」を主語にして purpose を pursue させるより、人間を主語に戻して「私たちが栄養のためだけに食べるようになる」と書くほうが平易です。その結果失われるものも humanity という一語に賭けず、what makes eating a human activity と what 節で説明します。最後は筆者が結論を押しつけず問いかけているので、疑問符まで含めて英語の反語にします。for that purpose alone の alone は purpose の直後に置き、栄養という目的だけに限定します。come to eat は現在の習慣ではなく、今後そういう食べ方へ変わってしまう懸念を表します。

訳例
標準

But if we come to eat for that purpose alone, should we not say that we will lose what makes eating a truly human activity?

別解

Yet if getting nutrients becomes the only thing we seek when we eat, will we not lose what is human about sharing and enjoying a meal?

この文でやりやすい誤り

only の位置で「食べることだけ」に変える

減点 大
If we only come to eat for that purpose, we will lose something human.
If we come to eat for that purpose alone, ...

only が come to eat 全体を狭め、「ほかの行動をせず食べるだけなら」のように読めます。原文が限定するのは食べる目的なので、for that purpose alone とします。

「〜ようになったら」の変化を落とす

減点 中
If we eat only to get nutrients, we lose what makes eating human.
If we come to eat only to get nutrients, ...

一般的な条件にはなっていますが、「そうするようになったら」という現在からの変化が消えています。come to や become を入れると、食のあり方が変わる懸念を残せます。

食べる行為に pursue を直結する

減点 中
Eating pursues only the purpose of taking in nutrients.
We come to eat for that purpose alone.

pursue は意志を持つ人や組織が目標を追うときの動詞です。eating という行為そのものが追求する形は不自然なので、人を主語に戻します。

人間らしさを human の名詞用法で書く

減点 大
We will lose human in eating.
We will lose what is human about eating.

human はこの位置では数えられる「人間」になり、lose の目的語として意味をなしません。what is human about eating と節に開けば安全です。

「失われてしまう」を現在の事実にする

減点 大
What makes eating human is already lost.
We will lose what makes eating a human activity.

原文は、栄養だけを追うようになった場合に起こる未来の結果です。already を入れると、条件が成立する前から失われたという別の時間関係になります。

反語を単なる命令に変える

減点 中
We must say that eating will lose its humanity.
Should we not say that we will lose what makes eating human?

must say は筆者が読者に命令する強い文です。原文は「そう言うべきではないか」と同意を求めています。疑問形にして語調を保ってください。断定へ変えると、栄養だけを追うことへの考察を促す文章から、特定の結論を強制する文章へ意味が変わります。

この文の言いかえ
〜だけを目的に
for that purpose aloneonly の位置に迷わない安全な形です
only to get nutrients目的を不定詞で直接限定できます
for only purpose冠詞と修飾の形が不自然です
〜するようになる
come to V考え方や行動の変化に使えます
begin to V始まりをはっきり出す形です
become to Vbecome の直後に to不定詞は置けません
食における人間らしさ
what makes eating a human activity何が人間らしいのかを節に開けます
what is human about eatingさらに短い説明的な形です
humanity in food食べ物の中に人間性が入るように響きます
失われてしまう
we will lose ...人を主語にして結果を明確にできます
... will be lost受け身でも原文に近い形です
... will disappear awaydisappear に away を重ねる必要はありません
〜と言うべきではないか
Should we not say that ...?読み手の同意を求める反語を保てます
Would it not be fair to say that ...?少し丁寧ですが使えます
We must say that ...命令のように強く、問いかけが消えます
3

模範解答

標準解

まずここを目標にwhat節 ×351語

It is true that if we ask what the purpose of eating is, the answer is to give our bodies what they need to stay healthy. But if we come to eat for that purpose alone, should we not say that we will lose what makes eating a truly human activity?

第1文では「食の目的」を what the purpose of eating is、「栄養摂取」を give our bodies what they need to stay healthy と節に開きました。第2文では「食における人間らしさ」を what makes eating a truly human activity と説明しています。したがって、標準解の what 節は実文で数えて3個です。譲歩、限定、反語の順番も原文どおりで、栄養が不要だとは言わず、それだけを追う場合に問題が起きるという対比を保っています。nutrition intake のような硬い名詞に頼らず、体に必要なものを与えるという高校範囲の語で書ける形です。まずはこの組み立てを目標にしてください。

説明を足した解

書けなかったときの逃げ道what節 ×347語

If we have to say what we eat for, it is certainly to take in what our bodies need to live. Yet if getting nutrients becomes the only thing we seek when we eat, will we not lose what is human about sharing and enjoying a meal?

こちらは「食における人間らしさ」の中身を sharing and enjoying a meal と少し具体化した版です。原文は人間らしさの内容を限定していないため、唯一の定義とはせず、食卓で人と分かち合い楽しむ場面を控えめな例として加えています。第1文の what we eat for は what the purpose of eating is をさらに会話に近い語へほどいた形です。第2文では getting nutrients becomes the only thing we seek とし、「私たちが栄養だけを追う」状態への変化を主語側から見せています。nutrition intake が出なくても、take in what our bodies need to live と説明すれば十分です。標準解より具体化した分、原文にない価値を断定しないよう注意し、共有と楽しみは例にとどめてください。うまい名詞が思いつかないときほど、知っている動詞と what 節でほどけば大丈夫です。

6

他の問題にも使える形

学習のコツを紹介する Boost のキャラクター Boo
It is true that A, but B最重要

一度認めてから反論する

相手側の事実を否定せずに、自分が本当に述べたい制限や問題へ移れます。評論文の譲歩を一文で見せたいときに便利です。

It is true that eating gives us nutrients, but that is not its only value.
It is true that cars are useful, but they also harm the environment.
ask what S is / what S means最重要

抽象名詞の中身を問いに開く

「〜の目的」「〜の意味」を名詞だけで訳しにくいとき、what 節で読み手に内容を示せます。抽象名詞を別の抽象名詞に置き換えず、「何なのか」という問いへ戻すことで、後ろに平易な説明を続けやすくなります。

ask what the purpose of eating is
think about what freedom means
explain what a good education means to us
the 名詞 S Vよく使う

必要なものを関係節で限定する

難しい形容詞を探さず、後ろに主語と動詞を置いてどのような名詞か説明できます。

the nutrients we need
the books children enjoy
come to Vよく使う

しだいに起こる変化を書く

「〜するようになる」を begin ほど急な始まりにせず、習慣や考え方の変化として表せます。

come to eat only for nutrition
come to understand how others feel
what makes A B最重要

AをBらしくするもの

「AのBらしさ」を抽象名詞一語で言えないとき、その性質を生むものとして説明できます。Bには形容詞や名詞補語を置き、何がその特徴を作っているのかを節全体で受けられます。

what makes eating a human activity
what makes a team strong
what makes this town a good place for children
Should we not say that S V?よく使う

控えめな反語で結論を促す

断定を避けながら読み手の同意を求める日本語に合います。筆者の判断を命令に変えず、読者にも同じ結論を考えてもらう調子を残せます。shouldn't の短縮形より、試験答案では省略しない形が見やすいです。

Should we not say that something important is lost?
Should we not say that every child needs time to play?
Should we not say that speed is not the only goal?
7

この問題の語彙

表現意味ひとこと
purpose目的the purpose of V-ing の形にします。for eating より of eating が自然です
nutrient栄養素数えられる名詞です。複数の栄養素なら nutrients とします
nutrition栄養、栄養摂取不可算名詞なので a や複数形を付けません
take in取り入れる、摂取する食べ物や情報を中に入れる意味で使えます。二語を離しません
alone〜だけfor that purpose alone のように、限定したい語句の後ろに置けます
human人間の、人間らしい形容詞で使うなら a human activity のように後ろに名詞が必要です
activity営み、活動一つの活動なら a human activity と冠詞を付けます
lose失う人を主語にして we will lose ... とすれば、受け身を避けて書けます
8

出題の傾向

阪大の和文英訳は学部によって素材が異なります。文学部では2024年のフィクションと故人、2023年の海外文学のように文化や表現を扱う一方、文学部以外では2024年の報道、2023年の五感、2025年の食事と、身近な営みを社会的な視点へ広げる文章が出ています。共通するのは、抽象名詞を直訳せず、何をどうすることかまで節で説明する力が必要な点です。

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解説を読んだあとに自分の言葉で書き直すと、力のつき方がまったく違います。Boost アプリでこの問題を開けば、書いた答案をそのまま AI が添削します。

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