日常的な家族の一場面ですが、直訳では笑いが消えやすい問題です。「先の見通しもなく」を、何を買った品に使うか考えないこととして説明し、「安物買いの銭失い」はことわざを無理に探さず、安い物を買うとかえってお金を失うという内容に開きます。最後は、父も安く手に入れた品の一つかもしれないという母の切り返しです。how she will use what she buys、what is worse、what Father means などの節を使い、話の順序と軽い皮肉を保てるかで差がつきます。
母の趣味は買い物である。先の見通しもなくどんどん買うものだから、すぐに無駄なもので家がいっぱいになってしまう。なお悪いのは安物ばかりを買い込むことで、父などは安物買いの銭失いだと悪口を言う。母の方はすました顔で、あなたもそうして手に入れた一つかもしれませんよ、とうそぶいている。
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冒頭は短く、My mother's hobby is shopping. で十分です。likes shopping とすると「好きだ」までは言えますが、原文の「趣味」という位置づけが少し弱くなります。ここで難しい言い換えを狙わず、後の長い説明に力を残してください。
My mother's hobby is shopping.
What my mother enjoys most is going shopping.
shopping はここでは買い物という活動を表す不可算名詞です。a を付けると一回の買い物のように見え、趣味という意味に合いません。
先の見通しもなくどんどん買うものだから、すぐに無駄なもので家がいっぱいになってしまう。
「先の見通し」は人生の将来ではなく、買った品をどう使うかの見通しです。そこで without thinking about how she will use what she buys と説明します。原文の因果は、考えずに買い続ける→不要品で家がいっぱいになる、の順です。as や because でこの順を崩さずにつないでください。
Because she keeps buying things without thinking about how she will use what she buys, our house soon becomes full of things we do not need.
She buys one thing after another without asking herself what she will do with them, so before long there is no room in the house for all the useless things.
future view では、買った品を後でどう使うか考えないという具体的な意味が伝わりません。何を考えていないかを節で示してください。
a thing を一つ買っただけの意味になり、「どんどん買う」ため家がいっぱいになるという原因が弱くなっています。継続を keep buying で出します。
waste things は通常「不要な品」の言い方にはなりません。things we do not need なら、家族にとって役に立たない品だと明確です。
なお悪いのは安物ばかりを買い込むことで、父などは安物買いの銭失いだと悪口を言う。
日本語のことわざに対応する決まった英語を思い出す必要はありません。What is worse で話を進め、父の発言は Father says that people who buy only cheap things often end up losing money と意味を説明します。これなら英語の読み手にも、なぜ父が母の買い物を批判しているかが伝わります。
What is worse, she buys large numbers of cheap things, and Father says that people who buy only cheap things often end up losing money.
What makes matters worse is how many cheap things she buys. Father makes fun of her by saying that buying cheap things may cost more in the end.
この決まったつなぎでは be動詞を what の直後に置きます。語順が崩れると節として成立しません。
poor things は「かわいそうな物・人」や品質の悪い物にはなっても、値段が安いという中心が出ません。cheap を使います。
日本語の語を順に置いただけで、自然な英文になっていません。安い品を買い続けた結果どうなるかを一文で説明します。
原文で父がからかっているのは買い方であり、母の人格を強く非難してはいません。これでは最後の軽い切り返しにつながらなくなります。
母の方はすました顔で、あなたもそうして手に入れた一つかもしれませんよ、とうそぶいている。
笑いの中心は、母が父まで「安く手に入れた物」の仲間に入れる点です。one だけでは何を受けるか不明なので、one of the things I got that way と補います。うそぶくを難しい動詞一語にせず、with a calm look と says in reply に分けると、表情と発言の両方を安全に伝えられます。
With a calm look, Mother says in reply, “You may be one of the things I got that way.”
Mother shows no sign of being upset and answers, “Perhaps you are another cheap thing that I happened to get.”
clean face は顔が汚れていないという意味です。感情を表に出さない様子は with a calm look と書けば伝わります。
one の先行内容が英文の近くになく、父が何の一つなのか読み手には分かりません。安く手に入れた物の一つだと補います。
冗談の比喩を事実として言い切っており、might が作るとぼけた調子も失われます。「一つかもしれない」と控えめに言います。
My mother's hobby is shopping. Because she keeps buying things without thinking about how she will use what she buys, our house soon becomes full of things we do not need. What is worse, she buys large numbers of cheap things, and Father says that people who buy only cheap things often end up losing money. With a calm look, Mother says in reply, “You may be one of the things I got that way.”
「先の見通し」を how she will use what she buys と具体化し、「なお悪いのは」を What is worse で受けました。ことわざは英語の決まり文句を探さず、安い物ばかり買う人は結局お金を失う、と意味を説明しています。最後の one of the things I got that way が父を買い物の品に見立てる冗談です。how節1個、what節2個を実際に数えています。表情は with a calm look と平易に書き、原文のとぼけた調子まで落とさないことを目標にしてください。答案を見直すときは、まず she が母、Father が父、you が引用内の父を指すことを追ってください。次に、買い続ける原因から家がいっぱいになる結果、父の批判から母の切り返しへ進む二つの因果を確認します。安さそのものを悪いとするのではなく、安い品を必要以上に買い込むため結局損をするという父の主張です。この区別が残れば、家庭内の軽い冗談として最後まで自然に読めます。
Shopping is what my mother likes to do in her free time. She never stops to think about how she will use the things she buys or what will happen if she buys too many. As a result, our house quickly fills with things that are of no use to us. Even worse, she buys only cheap things. Father laughs at how she shops and says she wastes money by doing so. Mother stays calm and tells him that he may also be one of her cheap purchases.
こちらは「趣味」を what my mother likes to do と節に開き、買いすぎると何が起きるかまで順に説明しました。ことわざは wastes money by doing so と短く処理し、最後は one of her cheap purchases として冗談の対象を明確にしています。原文より説明的ですが、母の買い方、家の状態、父の批判、母の反撃という四段階はすべて残っています。一語の巧みさより、読み手が場面と落ちを追えることを優先した解答です。

抽象的な見通しを中身に開く
「考えずに」の後ろで、何をどうするかまで示せます。抽象名詞を探すより意味が安定します。
同じ動作が続くことを示す
「どんどん」「いつまでも」に使えます。一度だけの動作との違いを明確にできます。
場所が物でいっぱいになる
変化を becomes で、いっぱいになった中身を of の後ろで示します。
さらに悪い点を加える
前の問題点を受けて、もう一段大きな欠点へ進むときに便利です。
行動の末の結果を説明する
ことわざや一般論を、どんな人がどうなるかという形に開けます。
一群のうちの一つを指す
one が何を受けるかを明示できます。後ろの名詞は複数形にしてください。
表情を簡単な語で描く
難しい様態副詞を探さず、顔つきを with のまとまりで足せます。
| 表現 | 意味 | ひとこと |
|---|---|---|
| hobby | 趣味 | hobby is shopping の shopping には冠詞を付けません |
| keep V-ing | Vし続ける | 一回ではなく同じ動作の継続を表します |
| be full of | 〜でいっぱいである | 中身を of の後ろに置きます |
| cheap | 値段が安い | poor は「貧しい」なので、安物の価格には cheap が安全です |
| in the end | 結局 | at the end は具体的な終点を指すことが多いので区別します |
| make fun of | 〜をからかう | 強い非難ではなく軽く笑う文脈でも使えます |
| in reply | 返事に、応じて | reply はここでは名詞で、in reply to A とも書けます |
| purchase | 購入品 | 動詞にも名詞にもなりますが、標準解では平易な things I got を優先しています |
| calm | 落ち着いた | 人にも表情にも使え、calmly なら副詞です |
京大の和文英訳は、1990年前期(1)の使い捨て社会や同年前期(2)の「まず語ること」のように、身近な話から価値判断へ進む文章を出しています。後年の2009年(1)でもユーモアを説明する文章が出ており、抽象語を一語で置き換えるより、何が起きているかを節で説明する力が一貫して問われています。この問題では、ことわざと夫婦の冗談を英語の読み手にも分かる形にするのが中心です。家庭内の発言では、辞書上の意味だけでなく、誰が誰へ言い、相手の発言をどう受けているかが重要です。引用の直前に with a calm look と in reply を置くことで、母が怒るのではなく、父の批判をそのまま冗談に返していると示せます。
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