京都大学のロゴ 第Ⅲ問(1) 和文英訳 京都大学 1991
京都大学 1991年度 前期日程 · 英語

第Ⅲ問(1) 和文英訳
解答と解説

友情についての考えを述べたあと、頼み事をした経験がほとんどないこと、そして一緒にいる喜びだけで満足していることを具体的に続ける文章です。「私利私欲をさしはさまない」を一語で片づけず、what true friendship requires と how we treat our friends に開くところが山場です。hardly ever の位置、ask 人 to do の形、enjoy の後の動名詞にも注意してください。

難易度 ★★★★★ 目安 20分 和文英訳 テーマ 見返りを求めない友情
1

問題

第Ⅲ問(1) 次の文を英訳しなさい。

友情には、私利私欲をさしはさまないのが本当だと思う。私は友人に、私のために何か取計らってくれと頼んだり、物質的な利益を得るようにしてくれと頼んだりしたことはほとんどない。ただ友人とのつき合いを楽しみ、彼らも私とつき合って喜んでいるのを見て満足しているだけである。

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友情、頼み事、満足という三段を、自分の知っている動詞と how / what 節で組み直してみましょう。Boost アプリなら意味の抜けと語法を確認できます。

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この問題で見られている力

  • 「友情には〜のが本当だ」を what true friendship requires という節で説明できるか
  • 「私利私欲をさしはさまない」を keep our own interests out of ... と行動に直せるか
  • 「ほとんどない」を hardly ever と現在完了で経験として表せるか
  • 二つの「頼んだり」を ask a friend to ... で並行に置けるか
  • 「つき合い」を how we spend time together と平易な節に開けるか
  • 友人側の喜びを see how happy they are で内容を落とさず示せるか
2

文ごとの解説

第 1 文

友情には、私利私欲をさしはさまないのが本当だと思う。

つまずきやすいところ
  • 「友情には〜のが本当だ」は friendship is true のような形では表せません
  • ここが山場です。「本当の友情が求めるもの」を what true friendship requires と節に開きます
  • 「私利私欲」は難しい名詞を探さず our own interests で十分です
  • 「さしはさまない」は、友人への接し方の中へ入れないという動作に直します
  • 「と思う」は I believe that とし、筆者の考えであることを残します
発想の切り替え

日本語は「友情には」と話題を出しますが、英語では友情が何を求めるかを主語にすると筋が通ります。そこで what true friendship requires を文の主語にします。「私利私欲」は抽象名詞を重ねず、our own interests と平易に言い、「友人をどう扱うか」を how we treat our friends と節に開きます。利益を友情の中に持ち込まない、という発想が見えるため、原文の道徳的な調子も保てます。

訳例
標準

I believe that what true friendship requires is that we keep our own interests out of how we treat our friends.

別解

I think that being a true friend means not allowing what we want for ourselves to affect how we act toward our friends.

この文でやりやすい誤り

友情そのものを true とする

減点 大
I think friendship is true when we seek no personal gain.
I think true friendship means that we seek no personal gain.

true friendship なら「本当の友情」ですが、friendship is true は友情という事実が真実だという意味になります。原文は友情のあり方を述べているので、何が本当なのかを説明する形が必要です。

私利私欲を selfishness だけで強く決めつける

減点 中
True friendship requires us to have no selfishness at all.
True friendship requires us to keep our own interests out of it.

have no selfishness at all は人間に利己心が一切ないことを求めます。原文は友情の中に自分の利益を持ち込まないという行動の話なので、人物全体への強い評価に変わっています。

この文の言いかえ
本当の友情
what true friendship requires友情に必要な条件として節に開けるのでおすすめです
what it means to be a true friend人の行動に焦点を移す自然な別解です
friendship is true友情が事実として真実だという別の意味になるので使いません
私利私欲をさしはさまない
keep our own interests out of it利益を友情に持ち込まない動作が明確です
not seek personal gain短くまとめても意味を保てます
be selfless便利ですが少し抽象的です。知っていれば使えますが、無理に覚えなくて大丈夫です
第 2 文

私は友人に、私のために何か取計らってくれと頼んだり、物質的な利益を得るようにしてくれと頼んだりしたことはほとんどない。

つまずきやすいところ
  • 「したことはほとんどない」は hardly ever と現在完了を組み合わせます
  • 「友人に頼む」は ask a friend to do の語順です
  • 二つの頼み事を or で並べ、どちらも asked の目的にします
  • 「取計らう」は arrange something for me と説明すれば十分です
  • 「物質的な利益」は material benefit とし、お金だけに限定しません
発想の切り替え

この文は「頼んだ経験がほぼない」という現在までの経験なので、I have hardly ever asked が中心です。hardly ever 自体に否定の意味があるため not は足しません。その後ろに to arrange ... or to help ... と同じ形を二つ置けば、日本語の「〜たり、〜たり」を無理なく再現できます。「取計らう」は一語を探すより、私のために何かを整える、と説明するほうが安全です。

訳例
標準

I have hardly ever asked a friend to arrange something for me or to help me gain any material benefit.

別解

I have almost never asked my friends to do me a favor or to help me get something of material value.

この文でやりやすい誤り

ask の後で人を落とす

減点 大
I have hardly ever asked to arrange something for me.
I have hardly ever asked a friend to arrange something for me.

ask to do では、頼んだ本人である I が手配するように聞こえます。原文では友人にしてもらうので、ask と to do の間に a friend が必要です。

hardly ever に not を重ねる

減点 大
I have not hardly ever asked my friends for help.
I have hardly ever asked my friends for help.

hardly ever にすでに「ほとんど〜ない」という否定が含まれます。not を重ねると否定関係が崩れ、「ほとんど頼まないわけではない」に近い読みに変わります。

過去の一回だけの話にする

減点 中
I hardly asked my friends to help me.
I have hardly ever asked my friends to help me.

単純過去では、ある過去の場面でほとんど頼まなかったという意味です。生涯を通じた経験として「したことはほとんどない」と述べる原文の時間の幅が消えます。

material を物質そのものと受ける

減点 中
I have never asked a friend to give me materials.
I have never asked a friend to help me gain any material benefit.

materials は材料や資料です。原文の「物質的な利益」は、金品など実際の得になるものを広く指しているので、頼んだ内容が材料の受け渡しへ狭くなります。

二つの頼み事を and で両方した条件にする

減点 中
I have hardly ever asked a friend to arrange something for me and help me gain a material benefit.
I have hardly ever asked a friend to arrange something for me or help me gain a material benefit.

and では、手配と物質的利益の両方を一度に頼んだ経験だけを否定します。原文はどちらの種類の頼み事もほとんどしないと言っているので、or で一つずつ否定の範囲に入れます。

この文の言いかえ
友人に頼む
ask a friend to do人と行動を順に置く基本形です
ask a favor of a friend頼み事を名詞で表す形です
ask to a friendask の直後に頼む相手を置くため、この語順は使いません
ほとんど〜したことがない
have hardly ever done現在までの経験を最も正確に表せます
have almost never done同じ時間の幅を保つ平易な別解です
did hardly一回の過去の場面に狭まり、語順も不自然なので使いません
取計らう
arrange something for me具体的な内容を決めずに安全に説明できます
do me a favor頼み事をしてもらう意味の自然な表現です
make arrangements on my behalf少し硬い表現です。知っていれば使えますが、覚える必要はありません
物質的な利益
material benefit金品など形のある得を広く表せます
something of material value名詞が出ないときの説明的な別解です
materials材料や資料という意味になるので使いません
第 3 文

ただ友人とのつき合いを楽しみ、彼らも私とつき合って喜んでいるのを見て満足しているだけである。

つまずきやすいところ
  • 「ただ〜だけ」は simply と be satisfied の組み合わせで過不足なく表せます
  • 「つき合い」は association のような名詞より spend time together が自然です
  • enjoy の後には to spend ではなく spending または how 節を置きます
  • 「彼らも」のもを、友人側も喜んでいるという対応として残します
  • 「見て満足する」は be satisfied when I see ... と感情の理由を示します
発想の切り替え

ここでいう「つき合い」は交際関係の名称ではなく、一緒に過ごす行動です。そのため how we spend time together と節に開くと、難しい語を使わず自然になります。後半も their pleasure のような名詞にせず see how happy they are と書けば、誰が何を感じているかが明確です。前文の利益と対照させるため simply と satisfied を置き、求めるものは一緒にいる喜びだけだと示します。

訳例
標準

I simply enjoy how we spend time together, and I am satisfied when I see how happy they are to spend time with me.

別解

All I do is enjoy being with my friends, and it is enough for me to know how much they also enjoy being with me.

この文でやりやすい誤り

enjoy の後に to 不定詞を置く

減点 大
I simply enjoy to spend time with my friends.
I simply enjoy spending time with my friends.

enjoy の目的語には動名詞を置きます。to spend を続けることはできず、友情を楽しむという内容以前に動詞の形で減点されます。

つき合いを dating と訳す

減点 中
I simply enjoy dating my friends.
I simply enjoy spending time with my friends.

dating は恋愛相手として会う意味です。原文は友人一般と時間を共にすることを指すので、恋愛関係という余計な意味が加わります。

友人が誰といて喜ぶかを落とす

減点 中
I am satisfied to see that my friends are happy.
I am satisfied to see that my friends are happy to spend time with me.

これでは友人が幸せである事実一般に満足しているだけです。原文は「彼らも私とつき合って」喜ぶという相互の関係を述べているので、with me を残す必要があります。

満足の原因を because of me に変える

減点 中
I am satisfied because my friends are happy because of me.
I am satisfied when I see how happy they are to spend time with me.

because of me は私が友人を幸せにしたという原因関係を表します。原文が言うのは一緒にいることを友人も楽しんでいるという事実で、筆者が幸福の原因だとは述べていません。

only を friends にかける

減点 小〜中
I enjoy spending time only with my friends and feel satisfied.
I simply enjoy spending time with my friends, and that is enough for me.

only with my friends は、家族やほかの人とは過ごさないという限定です。原文の「だけ」は、利益を求めず楽しみと満足だけを得るという限定なので、かかる場所が違います。

この文の言いかえ
友人とのつき合いを楽しむ
enjoy how we spend time togetherつき合いの中身を how 節で示せます
enjoy being with my friends短く自然にまとめる形です
enjoy dating my friends恋愛として会う意味になるので使いません
〜を見て満足する
be satisfied when I see how ...何を見て満足するかを節で丁寧に示せます
it is enough for me to know that ...満足の内容を「それで十分」と言いかえられます
satisfy to see人の感情は be satisfied とするため、この形は使いません
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模範解答

標準解

まずここを目標にhow節 ×3 / what節 ×165語

I believe that what true friendship requires is that we keep our own interests out of how we treat our friends. I have hardly ever asked a friend to arrange something for me or to help me gain any material benefit. I simply enjoy how we spend time together, and I am satisfied when I see how happy they are to spend time with me.

第1文では what true friendship requires と how we treat our friends、第3文では how we spend time together と how happy they are を使いました。実測は what 1、how 3です。抽象語を四つの節へ開いたため、難しい「無私」の語を知らなくても意味を正確に運べます。hardly ever は現在までの経験、simply は利益を求めない態度を担当しています。まずはこのように主語と行動をはっきり書くことを目標にしてください。三文の主語は I と we を使い分けています。友情の原則は一般の we、筆者自身の経験と満足は I とすることで、一般論と個人の実例が混ざりません。

説明を足した解

書けなかったときの逃げ道how節 ×2 / what節 ×168語

I think that being a true friend means not allowing what we want for ourselves to affect how we act toward our friends. I have almost never asked my friends to do me a favor or to help me get something of material value. All I do is enjoy being with them, and it is enough for me to know how much they also enjoy being with me.

こちらは「私利私欲」を what we want for ourselves と中身から説明しています。「取計らう」は do me a favor、「満足しているだけ」は it is enough for me と言いかえました。一文ずつ少し長くなりますが、抽象名詞を避けたぶん、友情の条件、頼まなかったこと、今の満足という三段が読み手に伝わります。一語が出なくても、知っている動詞で何をしないのかまで書けば大丈夫です。

6

他の問題にも使える形

学習のコツを紹介する Boost のキャラクター Boo
what S requires is that ...最重要

〜が求めるものは…だ

抽象的な条件を、何が必要かという what 節に開けます。is の後ろには内容を示す that 節を置きます。

本当の友情に必要なのは見返りを求めないことです → What true friendship requires is that we expect nothing in return.
良い学習に必要なのは毎日続けることです → What good study requires is that we continue every day.
keep A out of Bよく使う

AをBに持ち込まない

考えや利益など、望ましくないものを関係の外に置くときに使えます。

自分の利益を友情に持ち込まない → keep our own interests out of friendship
個人的な感情を判断に持ち込まない → keep personal feelings out of the decision
have hardly ever + 過去分詞最重要

ほとんど〜したことがない

現在までの経験がほぼないことを表します。hardly に否定があるので not は加えません。

友人に利益を頼んだことはほとんどない → I have hardly ever asked a friend for material gain.
海外へ行ったことはほとんどない → I have hardly ever traveled abroad.
ask 人 to V最重要

人に〜するよう頼む

頼む相手を ask の直後、してほしい行動を to 不定詞で続けます。

友人に手配を頼む → ask a friend to arrange it
先生にもう一度説明するよう頼む → ask the teacher to explain it again
enjoy how S Vよく使う

どのように〜するかを楽しむ

抽象的な「つき合い」や「過程」を、実際の様子を表す how 節に開けます。

一緒に過ごすことを楽しむ → enjoy how we spend time together
町が季節ごとに変わる様子を楽しむ → enjoy how the town changes with each season
see how + 形容詞 + S beよく使う

Sがどれほど〜かを見る

人の感情や変化の程度を、名詞にせず how 節で具体的に示せます。

友人がどれほど喜んでいるかを見る → see how happy my friends are
子供がどれほど疲れているか分かる → see how tired the child is
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この問題の語彙

表現意味ひとこと
true friendship本当の友情friendship is true ではなく、true を名詞の前に置きます
one's own interest自分自身の利益interest はここでは興味ではなく得になるものを指します
hardly everほとんど〜ない否定を含むので not と一緒には使いません
arrange手配するarrange something for 人 の語順で使います
material benefit物質的な利益material だけを名詞にすると材料という意味になります
spend time with〜と時間を過ごす人との「つき合い」を平易に表せます
be satisfied満足している人の感情には受け身の形 satisfied を使います
be happy to喜んで〜するhappy の後に行動を置くときは to 不定詞を続けます
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出題の傾向

1991年前期第(2)問は、できなかったことができる喜びを what 節で説明しています。1990年前期第(2)問も「語ること」を短い動作へほどく問題です。京大のこの時期の和文英訳では、抽象的な名詞を英語の行動や節に直し、筆者の気持ちの流れを保つ力が続けて問われています。

学習の成果を喜ぶ Boost のキャラクター Boo

この問題を解いて添削してもらう

友情、頼み事、満足という三段を、自分の知っている動詞と how / what 節で組み直してみましょう。Boost アプリなら意味の抜けと語法を確認できます。

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