京都大学のロゴ 第Ⅲ問(2) 和文英訳 京都大学 1991
京都大学 1991年度 前期日程 · 英語

第Ⅲ問(2) 和文英訳
解答と解説

長い第一文に二つの並行する変化と、それらを人生の喜びだとする判断が入っています。「できないと思っていたこと」を what we had thought we could not do、「よくわからなかったもの」を what had remained unclear と what 節に開くのが中心です。後半では理解の瞬間を、目の前を覆っていた半透明のヴェールが一枚静かにはがれる像として残します。比喩を勝手に説明へ置き換えず、as if と過去完了で見え方の変化を丁寧に再現してください。

難易度 ★★★★★ 目安 27分 和文英訳 テーマ 突然わかる瞬間の喜び
1

問題

第Ⅲ問(2) 次の文を英訳しなさい。

何によらず、これまでできないと思っていたことが何かの拍子に突然できるようになり、これまでよくわからずにもやもやしていたものが突然理解できたりするのは人生における大いなる喜びのひとつだと思う。そういう時はあたかも目の前の不透明なヴェールが一枚すっとはがれたような気がするものである。

答案を書くようすすめる Boost のキャラクター Boo

この問題を解いて添削してもらう

できなかった過去、突然の変化、視界が開く比喩の三段を、自分の英語で組み直してみましょう。Boost アプリなら時制と節のつながりも確認できます。

アプリでこの問題を解く 無料で1日2回まで添削できます

この問題で見られている力

  • 何によらずを Whatever it may be と広い話題として受けられるか
  • 過去にできないと思っていた時点を had thought で示せるか
  • 何かの拍子にを for some reason / all of a sudden と自然に処理できるか
  • 二つの suddenly を並行させ、喜びの二例を同格にできるか
  • as if と had been lifted でヴェールの比喩を保てるか
2

文ごとの解説

第 1 文

何によらず、これまでできないと思っていたことが何かの拍子に突然できるようになり、これまでよくわからずにもやもやしていたものが突然理解できたりするのは人生における大いなる喜びのひとつだと思う。

つまずきやすいところ
  • 「何によらず」は Whatever it may be と対象を限定しません
  • 「できないと思っていた」は had thought we could not do と過去の思い込みを一段前にします
  • ここが山場です。二つの「こと/もの」を what 節で開きます
  • 「何かの拍子に」は for some reason と説明すれば十分です
  • できるようになるは become able to で変化を示します
  • 二つの suddenly を or で並べ、同じ喜びの例だと見せます
発想の切り替え

文の中心は I think it is one of the great joys of life です。まずこの判断を置き、when 以下に喜びが生まれる二つの場面を並べます。一つ目は do what we had thought we could not do、二つ目は understand what had remained unclear です。「もやもや」を無理に霧の名詞へせず、長く明確でなかった状態に戻すと自然です。had thought / had remained は、突然できた・理解した時より前の状態を表します。なぜ suddenly を二度置くかというと、できることと分かることは別の喜びの例であり、どちらにも予想外の転換があるからです。長い主語を先に全部訳そうとせず、one of the great joys を文の柱にすると、二例を同じ when の中へ安定して並べられます。

訳例
標準

Whatever it may be, I think it is one of the great joys of life when, for some reason, we suddenly become able to do what we had thought we could not do, or suddenly understand what had remained unclear to us for a long time.

別解

No matter what the activity is, few things in life are more joyful than finding that we can now do something we once believed was beyond us. The same joy comes when we finally understand what had troubled us because we could not see how to make sense of it.

この文でやりやすい誤り

whatever の後を断片にする

減点 中
Whatever, it is a great joy.
Whatever it may be, it is a great joy.

whatever だけでは何を選んでもという節になりません。会話で単独なら「どうでもよい」という返事にも聞こえ、対象を問わず同じ喜びだという原文の一般化が消えます。主語と動詞を補います。

過去の思い込みを現在形にする

減点 大
We can do what we think we cannot do.
We can do what we had thought we could not do.

今もできないと思っていることを同時にできる矛盾した時間関係になります。

become able の to を落とす

減点 大
We suddenly become able do it.
We suddenly become able to do it.

able の後で行為を続けるには to 不定詞が必要です。to がないと able と do が直接ぶつかり、何ができる状態になったのかを示す述部が文法的につながりません。

何かの拍子を chance だけで主語にする

減点 中
A chance suddenly can do it.
For some reason, we suddenly become able to do it.

chance が行為者になり、人ができるようになる原文から外れます。

unclear の主語を人にする

減点 中
We were unclear for a long time.
What we wanted to understand remained unclear to us.

人が不明瞭だったという意味になり、物事を理解できなかった状態になりません。

理解するを understand about とする

減点 大
We suddenly understand about it.
We suddenly understand what had troubled us.

understand は対象を直接目的語に取るので about は不要です。

one of の後を単数にする

減点 大
It is one of the great joy of life.
It is one of the great joys of life.

one of の後には複数形が必要です。great joy と単数にすると、「多くの人生の喜びの中の一つ」という集合が作れず、one が何の一つなのか分からなくなります。

何かの拍子を for any reason とする

減点 中
For any reason, we suddenly become able to do what we could not do before.
For some reason, we suddenly become able to do what we could not do before.

for any reason は、理由が何であっても必ずできるようになるという広い条件です。原文は理由を特定できない何かのきっかけで、たまたま変化が起こると言っています。any にすると偶然の一回が一般法則へ変わります。

もやもやを怒りに変える

減点 中
We suddenly understand what had made us angry for a long time.
We suddenly understand what had remained unclear to us for a long time.

made us angry は対象に腹を立てていたという感情です。原文の「もやもや」は、仕組みや意味がよく分からず頭の中が晴れない状態なので、怒りへ変えると理解の喜びとの対照が失われます。

この文の言いかえ
何によらず
Whatever it may be原文の時間と意味を最も安定して保てる形です
No matter what it is比喩または説明の仕方を変えた自然な別解です
Whatever節が不完全になるか、原文と違う像になるので使いません
できないと思っていたこと
what we had thought we could not do原文の時間と意味を最も安定して保てる形です
something we once believed was beyond us比喩または説明の仕方を変えた自然な別解です
what we think cannot節が不完全になるか、原文と違う像になるので使いません
何かの拍子に
for some reason原文の時間と意味を最も安定して保てる形です
by chance比喩または説明の仕方を変えた自然な別解です
by a happy accident偶然の幸運を強く出す表現です。知っていれば使えますが、覚える必要はありません
at some timing節が不完全になるか、原文と違う像になるので使いません
できるようになる
become able to do原文の時間と意味を最も安定して保てる形です
find that we can now do比喩または説明の仕方を変えた自然な別解です
become can節が不完全になるか、原文と違う像になるので使いません
もやもやしていたもの
what had remained unclear原文の時間と意味を最も安定して保てる形です
what had troubled us比喩または説明の仕方を変えた自然な別解です
a cloudy thing節が不完全になるか、原文と違う像になるので使いません
人生の大いなる喜び
one of the great joys of life原文の時間と意味を最も安定して保てる形です
one of life’s greatest pleasures比喩または説明の仕方を変えた自然な別解です
a source of deep delight硬く文学的です。この問題では平易な joy を使えば十分なので覚えなくて大丈夫です
a big happy節が不完全になるか、原文と違う像になるので使いません
第 2 文

そういう時はあたかも目の前の不透明なヴェールが一枚すっとはがれたような気がするものである。

つまずきやすいところ
  • 「そういう時」は At such a moment で前文全体を受けます
  • 「あたかも〜よう」は feel as if で知覚の比喩を作ります
  • 「目の前の」は that had covered what was before our eyes と節に開けます
  • 「不透明」は clouded / hard to see through と平易に言えます
  • 一枚を one layer とし、ヴェール全体が消えたとはしません
  • 「すっと」は quietly / smoothly で抵抗なくはがれる感じを残します
発想の切り替え

比喩は「理解した」ことの言い換えではなく、その瞬間の感覚を描いています。したがって explain や understand だけに置き換えず、veil と lift を残してください。feel as if の後では、実際にヴェールがあったわけではないので had been lifted と過去完了にすると自然です。one layer はまだ先にも理解がある余地を残し、「一枚」の意味を守ります。最後に how clear everything has become と効果を補えば比喩の意味も伝わります。なぜ one layer が重要かというと、人生の問題がすべて解けたのではなく、理解が一段だけ進んだ喜びだからです。clouded は向こうが見えにくい状態、quietly は「すっと」と抵抗なく動く様子を担当します。比喩の物と動きを一つずつ対応させると、飾りだけの英語になりません。

訳例
標準

At such a moment, we feel as if one layer of a clouded veil that had covered what was before our eyes had quietly been lifted, and we can see how clear everything has become.

別解

At that moment, it feels as though a thin screen in front of our eyes has slipped away. What was hard to see becomes clear, and we know how much our view has changed.

この文でやりやすい誤り

as if の後を現在形にする

減点 中
I felt as if a veil is lifted.
I felt as if a veil had been lifted.

過去に感じた時点から見た非現実の完了なので is では時間が合いません。

ヴェールが自分ではがれる能動にする

減点 大
A veil lifted something before my eyes.
A veil before my eyes had been lifted.

veil が何かを持ち上げた文になり、ヴェール自体が取り除かれる像が消えます。

一枚を全部に変える

減点 中
The whole veil disappeared forever.
One layer of the veil had quietly been lifted.

原文は一枚がはがれた感覚で、理解がすべて完了したとは言っていません。

この文の言いかえ
あたかも〜よう
feel as if原文の時間と意味を最も安定して保てる形です
feel as though比喩または説明の仕方を変えた自然な別解です
feel like S V節が不完全になるか、原文と違う像になるので使いません
ヴェールが一枚はがれる
one layer of a veil is lifted原文の時間と意味を最も安定して保てる形です
a thin screen slips away比喩または説明の仕方を変えた自然な別解です
one veil peels itself節が不完全になるか、原文と違う像になるので使いません
3

模範解答

標準解

まずここを目標にhow節 ×1 / what節 ×381語

Whatever it may be, I think it is one of the great joys of life when, for some reason, we suddenly become able to do what we had thought we could not do, or suddenly understand what had remained unclear to us for a long time. At such a moment, we feel as if one layer of a clouded veil that had covered what was before our eyes had quietly been lifted, and we can see how clear everything has become.

what we had thought、what had remained、what was before our eyes と三つの名詞のかたまりを節に開き、最後に how clear で理解後の変化を示しました。実測は what 3、how 1です。had thought と had remained は気づき以前、become able と understand はその瞬間、has become は現在に残る明瞭さを担当します。長い原文でも、過去の停滞→突然の変化→喜び→視界が開く感覚の順に時制を置けば迷いません。二つの suddenly は、能力の変化と理解の変化のどちらも予期せず起こることを示します。後半では one layer と quietly を残し、全部が一度に解決したのではなく一段だけ視界が開いたという原文の慎重な像も守っています。

説明を足した解

書けなかったときの逃げ道how節 ×2 / what節 ×384語

No matter what the activity is, few things in life are more joyful than finding that we can now do something we once believed was beyond us. The same joy comes when we finally understand what had troubled us because we could not see how to make sense of it. At that moment, it feels as though a thin screen in front of our eyes has slipped away. What was hard to see becomes clear, and we know how much our view has changed.

「もやもや」を could not see how to make sense of it と、どう理解すればよいか分からなかった状態まで説明しました。ヴェールは thin screen と言いかえ、slipped away で「すっと」を表しています。最後に What was hard to see becomes clear と比喩の意味を明示したので、読み手は映像と論旨の両方を追えます。単語が浮かばない部分ほど what / how 節に開き、短い文を足して説明で乗り切ってください。

6

他の問題にも使える形

学習のコツを紹介する Boost のキャラクター Boo
Whatever S may be最重要

何であっても

対象を限定しない一般論の入口です。whatever の後にも主語と動詞を置きます。

何であっても → Whatever it may be
どの案であっても → Whatever the plan may be
結果がどうであっても → Whatever the result may be
what S had thought S could not V最重要

以前できないと思ったこと

過去の思い込みを what 節に入れ、現在の変化と対照できます。

できないと思っていたこと → what we had thought we could not do
解けないと思った問題 → what I had thought I could not solve
言えないと思っていたこと → what she had thought she could not say
become able to V最重要

できるようになる

能力の変化を表します。can は become の後に直接置けません。

突然できるようになる → suddenly become able to do it
泳げるようになる → become able to swim
一人で説明できるようになる → become able to explain it alone
one of the + 最上級 + 複数名詞よく使う

最も〜なものの一つ

one of の後を複数にする基本型です。評価を述べる随筆で広く使えます。

大きな喜びの一つ → one of the greatest joys
重要な理由の一つ → one of the most important reasons
最も難しい課題の一つ → one of the most difficult tasks
feel as if S had + 過去分詞最重要

まるで〜したように感じる

現実ではない比喩を、感じた時点より前に完了した像として描けます。

ヴェールがはがれたように感じる → feel as if a veil had been lifted
夢を見ていたように感じる → feel as if I had been dreaming
重い荷物を下ろしたように感じる → feel as if a heavy load had been taken away
how + 形容詞 + S has becomeよく使う

変化後の程度

「どれほど〜になったか」を現在完了で示し、変化の結果が今に残ると書けます。

どれほど明確になったか → how clear it has become
どれほど大きくなったか → how large it has become
道がどれほど安全になったか → how safe the road has become
7

この問題の語彙

表現意味ひとこと
remain unclearはっきりしないままであるremain の後に形容詞を置き、状態の継続を表します
for some reason何かの理由で理由を特定できない「何かの拍子に」の安全な逃げ道です
all of a sudden突然suddenly と同じく予期しない変化に使えます
become able toできるようになるable の後の to を忘れないでください
a joy of life人生の喜びone of を付ける場合は joys と複数にします
veilヴェール、覆い比喩では視界や理解を遮るものとして使えます
lift持ち上げる、取り除くヴェールが取り除かれるなら受け身 be lifted にします
clear明瞭な天気だけでなく、考えや説明が理解しやすい意味にも使えます
8

出題の傾向

1991年前期第(1)問の友情は抽象的な価値を行動で説明し、第(2)問は理解の喜びを二つの経験と一つの視覚的な比喩で示します。1990年前期第(2)問にも「語ることを覚える」という心の変化があり、京大は内面を具体的な動作へ開く課題を続けています。

学習の成果を喜ぶ Boost のキャラクター Boo

この問題を解いて添削してもらう

できなかった過去、突然の変化、視界が開く比喩の三段を、自分の英語で組み直してみましょう。Boost アプリなら時制と節のつながりも確認できます。

アプリでこの問題を解く iOS · Android · Web で使えます
アプリで解く
質問文をコピーしました