京都大学のロゴ 第Ⅲ問(1) 和文英訳 京都大学 1992
京都大学 1992年度 後期日程 · 英語

第Ⅲ問(1) 和文英訳
解答と解説

経済発展によって遊び道具が大量に与えられ、子供が自作する必要を失ったという因果と、昔の手作りが持っていた三つの価値を対照させる問題です。「〜にしても」は whether ... or ...、「必要がなくなった」は no longer need to、「〜するということは」を what it meant to make things by hand のように節へ開くと整理できます。develop the body, give a sense of achievement, help children learn how to create という並列をそろえ、価値を一つも落とさないことが大切です。

難易度 ★★★★ 目安 24分 和文英訳 テーマ 既製品の普及で失われた手作りの価値
1

問題

第Ⅲ問(1) 次の文を英訳しなさい。

経済的な発展の結果、遊び道具やおもちゃにしても、既製品が大量に与えられるので、子供たちはそれを自分でつくる必要がなくなった。かつて、ものを手作りするということは、身体を発達させ、充実感を与え、生産的な精神をはぐくむことであった。

答案を書くようすすめる Boost のキャラクター Boo

この問題を解いて添削してもらう

便利さが子供の何を変えたのか、三つの効用を落とさず自分の答案にしてみましょう。Boost アプリなら並列と因果のずれをその場で確認できます。

アプリでこの問題を解く 無料で1日2回まで添削できます

この問題で見られている力

  • 経済発展の結果を As a result of economic growth で原因として示せるか
  • 遊び道具とおもちゃの例示を whether A or B で自然にまとめられるか
  • 既製品が与えられる受け身と大量という情報をともに残せるか
  • 必要がなくなった変化を no longer need to で表せるか
  • 手作りの三つの効用を同じ形の動詞で並べられるか
2

文ごとの解説

第 1 文

経済的な発展の結果、遊び道具やおもちゃにしても、既製品が大量に与えられるので、子供たちはそれを自分でつくる必要がなくなった。

つまずきやすいところ
  • 「経済的な発展」は economic growth と簡潔に置けます
  • 「〜の結果」と「〜ので」の二段の因果を一つに潰さないでください
  • 既製品を主語にするより children are given と受け手を主語にすると流れます
  • 「大量に」は large numbers of を落とさず、物の多さを示します
  • ここが山場です。「必要がなくなった」は no longer need to で変化まで出します
  • 「自分で」は by themselves とし、子供たちに合わせて複数にします
発想の切り替え

経済発展→既製品が大量に与えられる→自作する必要がなくなる、という二つの矢印を保ちます。As a result of ... で最初の原因を示し、so で次の結果をつないでください。ready-made が不安なら things that have already been made と関係節に開けます。「遊び道具やおもちゃにしても」は including playthings and toys と具体例として添えられます。なぜ子供を主語にするかというと、経済の話そのものではなく、与えられる側の生活がどう変わったかがこの文の中心だからです。are given から no longer need へ同じ主語を保つと、物が増えた結果として自作の必要が消えた流れが一度で伝わります。

訳例
標準

As a result of economic growth, children are given large numbers of ready-made things, including playthings and toys, so they no longer need to make what they want by themselves.

別解

Economic growth has filled children’s lives with things that have already been made for them. Whatever they want to play with, they can usually get it without making it themselves.

この文でやりやすい誤り

economic development の冠詞を誤る

減点 中
As a result of an economic growth, children changed.
As a result of economic growth, children changed.

economic growth は一般的な経済成長を指すとき数えない名詞です。an を置くと不自然になります。

既製品を ready products と直訳する

減点 中
Children are given many ready products.
Children are given many ready-made things.

ready products は「準備ができた製品」に聞こえます。すでに作られた物には ready-made を使います。

give の受け身で to を残す

減点 大
Many toys are given to to children.
Many toys are given to children.

give A to B の to は一つです。受け身で toys を主語にしても to を重ねる理由はありません。

large amount of toys とする

減点 中
Children receive a large amount of toys.
Children receive a large number of toys.

toy は数えられるので amount ではなく number を使い、複数形にします。

必要がないを must not にする

減点 大
Children must not make toys themselves.
Children no longer need to make toys themselves.

must not は「作ってはいけない」という禁止です。原文は作る必要が消えたのであって、禁止されてはいません。

与える側と受け取る側を逆にする

減点 大
Children give large numbers of ready-made toys.
Children are given large numbers of ready-made toys.

能動の give では、子供がおもちゃを大量に誰かへ与える意味になります。原文では子供が既製品を受け取る側で、そのため自作しなくなるので、受け身にする必要があります。

この文の言いかえ
経済的発展
economic growth経済的発展にはこの形が最も安定します。原文の関係が短く明確に出ます
economic development答案全体の主語や時制に合わせれば、経済的発展を自然に表せる別解です
economy growing resultこの文では経済的発展とは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
既製品
ready-made things既製品にはこの形が最も安定します。原文の関係が短く明確に出ます
things already made for them答案全体の主語や時制に合わせれば、既製品を自然に表せる別解です
manufactured goods少し硬く、工業製品の響きもあります。知っていれば使えますが、覚える必要はありません
ready productsこの文では既製品とは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
大量に
in large numbers大量ににはこの形が最も安定します。原文の関係が短く明確に出ます
a great many toys答案全体の主語や時制に合わせれば、大量にを自然に表せる別解です
a large amount of toysこの文では大量にとは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
与えられる
be given与えられるにはこの形が最も安定します。原文の関係が短く明確に出ます
be provided with答案全体の主語や時制に合わせれば、与えられるを自然に表せる別解です
be gaveこの文では与えられるとは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
必要がなくなる
no longer need to必要がなくなるにはこの形が最も安定します。原文の関係が短く明確に出ます
no longer have to答案全体の主語や時制に合わせれば、必要がなくなるを自然に表せる別解です
must notこの文では必要がなくなるとは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
第 2 文

かつて、ものを手作りするということは、身体を発達させ、充実感を与え、生産的な精神をはぐくむことであった。

つまずきやすいところ
  • 「かつて」は In the past を文頭に置いて現在との対照を作ります
  • 「手作りする」は make things by hand で、with hands より自然です
  • 三つの働きを helped, showed, taught の同じ時制で並べます
  • 「身体を発達させる」は how to use their bodies と補うと意味が自然になります
  • 「充実感」は完成時にどんな気持ちかを what / how 節で説明できます
  • 「生産的な精神」は作ろうとする心と受け取るだけの心の対照に開けます
発想の切り替え

後半は「手作りすること=三つの効用」という説明です。making things by hand を主語にし、動詞を三本並べます。development, fulfillment, productivity と名詞を連ねると語の選択が難しくなるので、children learn how ... / feel how ... / understand how ... と子供の変化に戻してください。これなら身体、満足、作る心がそれぞれ目に見える形になります。三項を並べる理由は、身体だけの作業でも、気分だけの楽しみでもなく、作る人として育つ総合的な経験だったことを示すためです。helped, showed, taught と過去形をそろえれば、「かつて」の習慣が今は失われたという前文との対照も自然に生まれます。

訳例
標準

In the past, making things by hand helped children develop their physical skills, gave them a sense of achievement, and taught them how to create what they needed on their own.

別解

In earlier times, this work trained their bodies, let children feel how satisfying it was to finish something, and helped them develop the wish to make things rather than only receive them.

この文でやりやすい誤り

by theirselves と作る

減点 大
Children make toys by theirselves.
Children make toys by themselves.

theirselves という形はありません。children を受ける再帰代名詞は themselves です。

by hand を by hands にする

減点 中
Children used to make things by hands.
Children used to make things by hand.

手作業という決まった言い方は by hand で、複数の hands にはしません。

身体を grow their bodies とする

減点 中
Making things grew their bodies.
Making things helped them learn how to use their bodies.

grow their bodies では体そのものを大きく育てる響きになります。手作業で身体能力を育てる内容を説明します。

充実感を full feeling とする

減点 大
It gave children a full feeling.
It gave children a sense of achievement.

full feeling は満腹感のように聞こえ、何かを成し遂げた満足が伝わりません。

productive mind を product mind とする

減点 中
It gave them a product mind.
It taught them how to create useful things on their own.

product は製品という名詞で、作り出そうとする心の性質にはなりません。

かつての習慣を現在の効用として書く

減点 中
Making things by hand helps children develop their bodies and minds.
Making things by hand used to help children develop their bodies and minds.

現在形では、手作りが今も一般に果たしている効用を述べるだけです。原文は、昔はそのような意味があったが今は失われたという対比なので、「かつて」の時間が消えます。

この文の言いかえ
手作りする
make things by hand手作りするにはこの形が最も安定します。原文の関係が短く明確に出ます
make things with their own hands答案全体の主語や時制に合わせれば、手作りするを自然に表せる別解です
make by handsこの文では手作りするとは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
充実感
a sense of achievement何かをやり遂げた充実感を最も自然に表せます
how satisfying it is to finish something答案全体の主語や時制に合わせれば、充実感を自然に表せる別解です
a full feelingこの文では充実感とは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
生産的な精神
a mind that wants to create生産的な精神にはこの形が最も安定します。原文の関係が短く明確に出ます
the wish to produce something答案全体の主語や時制に合わせれば、生産的な精神を自然に表せる別解です
a productive spirit一語でまとめられますが抽象的です。この問題のために無理に覚えなくて大丈夫です
a product mindこの文では生産的な精神とは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
3

模範解答

標準解

まずここを目標にhow節 ×1 / what節 ×261語

As a result of economic growth, children are given large numbers of ready-made things, including playthings and toys, so they no longer need to make what they want by themselves. In the past, making things by hand helped children develop their physical skills, gave them a sense of achievement, and taught them how to create what they needed on their own.

前半は what they want で子供が欲しい物を開き、後半は how to create と what they needed で手作りの中身を具体化しました。標準解の how / what は実測3か所です。三つの効用は helped, gave, taught と動詞の形をそろえ、すべて children を対象にしています。「身体を発達させる」を grow bodies とせず、手を動かす経験が physical skills を育てると説明したため、自然な英語の範囲で原文を保てます。前半の are given は現在の一般的状況、後半の helped / gave / taught は過去の習慣です。時制の対照そのものが「今は失われた」という筆者の問題意識を伝えています。

説明を足した解

書けなかったときの逃げ道how節 ×1 / what節 ×179語

Economic growth has filled children’s lives with things that have already been made for them. Whatever they want to play with, they can usually get it without making it, so they no longer need to learn what it is like to create something with their own hands. In earlier times, this work trained their bodies, let children feel how satisfying it was to finish something, and helped them develop the wish to make things rather than only receive them.

ready-made が出ない場合を想定し、things that have already been made for them と関係節で説明しました。「充実感」は how satisfying it was to finish something と、完成時の気持ちまで書いています。「生産的な精神」も難しい一語に頼らず、the wish to make things rather than only receive them と対照に開きました。英語は長くなりますが、経済発展、与えられる物、自作不要、昔の三つの価値という全情報を一段ずつ置けています。見直しでは、遊び道具だけでなくおもちゃも含むこと、大量であること、自分で作る必要が消えたこと、身体・充実感・作る心の三項がそろっていることを確認してください。列挙は一項抜けやすいので、原文に印を付ける方法が有効です。

6

他の問題にも使える形

学習のコツを紹介する Boost のキャラクター Boo
As a result of + 名詞最重要

原因から始める

原因が名詞で示されるときの安全な文頭です。後ろには結果となる完全な文を続けます。

経済発展の結果 → As a result of economic growth
大雨の結果 → As a result of heavy rain
技術の進歩の結果 → As a result of advances in technology
be given + 物よく使う

与えられる

受け手を主語にすると、その人の生活がどう変わったかへ自然につなげられます。

子供はおもちゃを与えられる → Children are given toys.
私は機会を与えられた → I was given a chance.
生徒は新しい課題を与えられた → The students were given a new task.
no longer + 動詞最重要

もはや〜しない

過去にはしていたが今はしないという変化を一まとまりで示せます。

作る必要がなくなった → no longer need to make
彼はここに住んでいない → He no longer lives here.
私たちはその道具を必要としない → We no longer need the tool.
what S want最重要

欲しいものを開く

物の名前を繰り返さず、「S が欲しいもの」を what 節でまとめる形です。

子供が欲しいもの → what children want
必要なもの → what we need
子供が自分で作ったもの → what the child made alone
help 人 learn how to V最重要

方法を身につけさせる

発達や教育効果を、何ができるようになるかに開いて説明できます。

身体の使い方を育てる → help children learn how to use their bodies
料理を覚えさせる → help me learn how to cook
考えを伝える方法を学ばせる → help students learn how to share their ideas
rather than + 動詞よく使う

二つの態度を対照する

「受け取るだけでなく作る」のような価値の対照を短く表せます。前後の形をそろえます。

受け取るだけでなく作る → produce rather than only receive
車でなく歩く → walk rather than drive
答えを受け取るだけでなく自分で探す → find the answer rather than only receive it
7

この問題の語彙

表現意味ひとこと
economic growth経済成長growth は一般的な意味では数えないので an を付けません
ready-made既製の名詞の前に置く形容詞です。ready だけでは別の意味になります
in large numbers大量に数えられる物や人の多さに使います
no longerもはや〜ない動詞の前、be 動詞の後ろが基本位置です
by oneself自分で主語に合わせて myself, themselves など形を変えます
by hand手で、手作りでhand は単数のまま使う決まった表現です
a sense of achievement達成感何かを成し遂げた満足を表し、full feeling とは言いません
create作り出すmake より新しい考えや価値を生む感じも出せます
8

出題の傾向

1992年前期第(1)問では大学が過去から文化を作る過程を扱い、後期のこの問題では子供が物を作る過程へ焦点が移りました。1993年後期の環境問題も、豊かさや居住の増加が別の損失を生む構図です。京大らしく、表面上の利便と失われる力の対照を英語で見える形にする必要があります。

学習の成果を喜ぶ Boost のキャラクター Boo

この問題を解いて添削してもらう

便利さが子供の何を変えたのか、三つの効用を落とさず自分の答案にしてみましょう。Boost アプリなら並列と因果のずれをその場で確認できます。

アプリでこの問題を解く iOS · Android · Web で使えます
アプリで解く
質問文をコピーしました