京都大学のロゴ 第Ⅲ問(1) 和文英訳 京都大学 1992
京都大学 1992年度 前期日程 · 英語

第Ⅲ問(1) 和文英訳
解答と解説

ヨーロッパの古い大学がどこにあり、そこでどのように過去を見直し、新しい文化を作ったかを訳します。「喧噪を離れた」を away from the noise で位置に直すこと、「時代の目まぐるしい変化」を how quickly the times were changing と節に開くこと、三つの動作の主語を universities に保つことが中心です。思索や瞑想に難しい語を当てるより、thinking deeply and quietly と行為を説明すると、原文の落ち着いた時間の流れまで伝えられます。

難易度 ★★★★ 目安 25分 和文英訳 テーマ 古い大学の場所と文化を育てる役割
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問題

第Ⅲ問(1) 次の文を英訳しなさい。

ヨーロッパの古い大学の多くは大都市の喧噪(けんそう)を離れた美しい田園か小さな町にあった。時代の目まぐるしい変化から一定の距離を保ち、思索と瞑想(めいそう)のうちに過去の文化遺産を検討し、次第に新しい文化をつくりあげていった。

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この問題で見られている力

  • many of the old universities と部分を表す of を正しく使えるか
  • 大都市の喧噪から離れた場所を away from the noise of big cities と組み立てられるか
  • 変化の速さを how quickly the times were changing と節に開けるか
  • 過去の文化遺産を inherited from the past と具体的に説明できるか
  • 検討し、次第につくったという動作の順序と共通主語を保てるか
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文ごとの解説

第 1 文

ヨーロッパの古い大学の多くは大都市の喧噪(けんそう)を離れた美しい田園か小さな町にあった。

つまずきやすいところ
  • 「多くは」は many old universities でも many of the old universities でも書けます
  • 「喧噪」は難語を探さず the noise of big cities で十分です
  • 「離れた」は動詞 leave ではなく場所の説明 away from にします
  • 田園と小さな町は or で結び、二つの候補を保ちます
  • ここが山場です。were in ... と置けば「大学が場所にあった」という骨格が安定します
発想の切り替え

まず大学を主語にし、were in the beautiful countryside or in small towns まで書きます。その場所を away from the noise of big cities で後ろから説明します。leave を使うと大学が都市から移動した出来事になりかねません。原文は立地を述べているので、距離を表す away from が安全です。countryside はここでは数えない名詞として、田園地帯全体を示します。なぜ場所を先に固めるかというと、第2文の「時代から距離を保つ」という比喩が、第1文の物理的な距離を受けているからです。都市から離れた立地を最初にはっきり書くと、静かな環境が思索を支えたという次の因果も読み手が追いやすくなります。

訳例
標準

Many of the old universities in Europe were in the beautiful countryside or in small towns, away from the noise of big cities.

別解

Many old European universities stood in peaceful rural areas or small towns, far from the noise of large cities.

この文でやりやすい誤り

many old university と単数にする

減点 大
Many old university in Europe were in small towns.
Many old universities in Europe were in small towns.

many の後には数えられる名詞の複数形が必要です。university のままでは数量と名詞が一致しません。

田園を country だけで国と紛らわせる

減点 中
The universities were in a beautiful country.
The universities were in beautiful country areas.

a beautiful country は「美しい国」です。田園という場所を言うなら冠詞を外し in the country、または country areas とします。

大学が都市を去った出来事にする

減点 大
The old universities left the noise of big cities.
The old universities were away from the noise of big cities.

leave を使うと大学自体が移動した意味になります。原文は大学の立地が喧噪から離れていたという状態です。

この文の言いかえ
古い大学
old universities古い大学にはこの形が最も安定します。原文の関係が短く明確に出ます
universities with a long history答案全体の主語や時制に合わせれば、古い大学を自然に表せる別解です
long-established universities自然ですが少し硬い表現です。知っていれば使えますが、覚える必要はありません
ancient universitysこの文では古い大学とは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
大都市の喧噪
the noise of big cities大都市の喧噪にはこの形が最も安定します。原文の関係が短く明確に出ます
busy life in large cities答案全体の主語や時制に合わせれば、大都市の喧噪を自然に表せる別解です
the noisy of big citiesこの文では大都市の喧噪とは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
田園
the countryside田園地帯全体を自然に表せるので、この形がおすすめです
rural areas複数の田園地域として表す自然な別解です
a countryこの文では田園とは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
第 2 文

時代の目まぐるしい変化から一定の距離を保ち、思索と瞑想(めいそう)のうちに過去の文化遺産を検討し、次第に新しい文化をつくりあげていった。

つまずきやすいところ
  • 第2文の隠れた主語は前文の大学なので they で受けます
  • 「目まぐるしい」は how quickly ... were changing と速さを節にします
  • 「一定の距離」は some distance とし、完全な孤立にはしません
  • 「思索と瞑想」は thought deeply and quietly と動作に開けます
  • 「文化遺産」は what people had received from past cultures と説明できます
  • 「次第に」は slowly または little by little を落とさないでください
発想の切り替え

三つの抽象名詞をそのまま英語の名詞三つにしようとすると文が硬くなります。変化は the rapid changes of the times、思索は thought deeply、検討は how they should understand、遺産は what earlier cultures had left behind と、名詞と節の役割を分けてください。Keeping some distance ... を文頭に置けば、距離を保ちながら落ち着いて検討した流れも見えます。最後は slowly created で、短期間に発明したのではなく時間をかけた過程を表します。ここでは「過去を守った」と「新しいものを作った」を対立させないことも大切です。受け継いだものを静かに調べた結果として新文化が生まれたので、In this way を置くと検討と創造のつながりが見えます。had left は大学が検討した時より前に文化が残されていたことを示します。

訳例
標準

Keeping some distance from the rapid changes of the times, they thought deeply and quietly about how they should understand what earlier cultures had left behind. In this way, they slowly created what would become a new culture.

別解

Because they were not at the center of every rapid change, the people there had time to think quietly about how people in the past had lived and what they had left behind. They examined what was worth keeping, added new ideas little by little, and thus built a new culture.

この文でやりやすい誤り

「一定の距離」を a distance of time とする

減点 中
They kept a distance of time from change.
They kept some distance from the rapid changes of the times.

a distance of time はこの意味の英語ではありません。何から距離を置くかを from の後に具体的に置きます。

目まぐるしいを busy で人の忙しさにする

減点 中
They stayed away from how busy the times were.
They stayed away from how quickly the times were changing.

busy は人や場所の忙しさを表し、この場合は変化の速さが消えます。quickly changing と動きにしてください。

思索するを think the heritage と他動詞化する

減点 大
They thought the cultural heritage deeply.
They thought deeply about what people had left behind.

think はこの意味では目的語を直接取りません。何について考えるかを about で導きます。

瞑想を meditation の複数形で数える

減点 中
They examined the past in many meditations.
They examined the past by thinking deeply and quietly.

原文は何度もの瞑想を数えていません。静かに深く考える態度を述べているので、副詞に開くほうが合います。

文化遺産を cultural inheritance と金銭相続に寄せる

減点 大
They examined the money inherited from past cultures.
They examined what past cultures had left to them.

money inherited は相続した金銭です。文法は整っていますが、過去の文化が残した考えや作品を調べたという内容が、昔の文化から受け取った金を調べた話へ変わります。

次第にを suddenly と逆にする

減点 中
They suddenly created a new culture.
They slowly created a new culture.

suddenly は突然で、「次第に」が示す長い積み重ねと正反対になります。

create up と不要な副詞を足す

減点 中
They created up a new culture.
They gradually created a new culture.

create up という句動詞はありません。「つくりあげる」の「あげる」を up に一対一で移さないでください。

一つの新しい文化を複数にする

減点 中
They slowly created new cultures.
They slowly created a new culture.

複数形では、大学ごとに別々の文化をいくつも作ったという意味になります。原文は過去の遺産を土台に、全体として新しい文化を次第に作ったと述べています。数を変えると、共同で一つの文化を形づくる流れが消えます。

この文の言いかえ
一定の距離を保つ
keep some distance from一定の距離を保つにはこの形が最も安定します。原文の関係が短く明確に出ます
not stand at the center of答案全体の主語や時制に合わせれば、一定の距離を保つを自然に表せる別解です
keep distance withこの文では一定の距離を保つとは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
目まぐるしい変化
how quickly the times were changing目まぐるしい変化にはこの形が最も安定します。原文の関係が短く明確に出ます
rapid changes in society答案全体の主語や時制に合わせれば、目まぐるしい変化を自然に表せる別解です
busy changesこの文では目まぐるしい変化とは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
思索と瞑想のうちに
by thinking deeply and quietly思索と瞑想のうちににはこの形が最も安定します。原文の関係が短く明確に出ます
with time for quiet thought答案全体の主語や時制に合わせれば、思索と瞑想のうちにを自然に表せる別解です
in think and meditationこの文では思索と瞑想のうちにとは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
過去の文化遺産
what past cultures had left behind過去の文化遺産にはこの形が最も安定します。原文の関係が短く明確に出ます
the cultural heritage of the past答案全体の主語や時制に合わせれば、過去の文化遺産を自然に表せる別解です
the legacy of earlier cultureslegacy は便利ですが、この問題のために無理に覚えなくて大丈夫です
past culture moneyこの文では過去の文化遺産とは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
次第につくりあげる
create little by little次第につくりあげるにはこの形が最も安定します。原文の関係が短く明確に出ます
slowly build答案全体の主語や時制に合わせれば、次第につくりあげるを自然に表せる別解です
create up suddenlyこの文では次第につくりあげるとは違う意味になるか、英語の形が崩れるため使いません
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模範解答

標準解

まずここを目標にhow節 ×1 / what節 ×261語

Many of the old universities in Europe were in the beautiful countryside or in small towns, away from the noise of big cities. Keeping some distance from the rapid changes of the times, they thought deeply and quietly about how they should understand what earlier cultures had left behind. In this way, they slowly created what would become a new culture.

「文化遺産」を一語で背負わせず、what earlier cultures had left behind と開きました。また how they should understand で検討の中身を示し、what would become a new culture で徐々に形になる過程を残しています。標準解の how / what は実測3か所です。universities を第2文でも they で受けたため、過去を検討し文化を作る主体もぶれません。静かな場所、時代との距離、過去の検討、新文化の形成という四段階を順に追えば、抽象的な原文でも内容を落とさず書けます。were は大学の立地、had left は大学が検討した時点より前に過去の文化が残したものを表します。過去の時間を平らにせず、順序を意識すると文章の歴史的な奥行きも再現できます。

説明を足した解

書けなかったときの逃げ道how節 ×2 / what節 ×284語

Many old European universities stood in peaceful rural areas or small towns, far from the noise of large cities. Because they were not at the center of every rapid change, the people there had time to think quietly about how people in the past had lived and what they had left behind. They examined what was worth keeping, added new ideas little by little, and thus built a new culture. This explains how distance from the outside world sometimes gives thought time to grow.

思索と瞑想を think quietly、文化遺産を how people ... had lived and what they had left behind と説明した逃げ道です。peaceful rural areas は静かな田園の像を出し、far from the noise of large cities で喧噪からの距離を平易に示しました。最後の一文は原文の仕組みを補って読み手に見せています。難しい philosophy 系の語を探す必要はありません。過去完了 had lived / had left は大学が検討した時点より前の文化を示し、little by little が「次第に」を担当します。答案を見直すときは、田園か小都市という二つの立地、都市からの距離、急変する時代からの距離、過去を調べる営み、新文化を作る結果の五点を順に指で追ってください。

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他の問題にも使える形

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many of the + 複数名詞最重要

全体の中の多く

範囲が定まった集団の「多く」を言う形です。of の後には the を伴う複数名詞を置きます。

古い大学の多く → many of the old universities
生徒の多く → many of the students
参加者の多く → many of the people taking part
away from + 名詞よく使う

〜から離れて

物理的な距離にも、騒がしさや流行からの心理的な距離にも使えます。

都市の喧噪から離れて → away from the noise of cities
家から遠く離れて → far away from home
流行の中心から離れて → away from the center of the latest fashion
how quickly S V最重要

変化の速さを開く

「目まぐるしさ」「急速さ」を難しい名詞にせず、how と副詞で説明できます。

時代がどれほど速く変わるか → how quickly the times change
子供がどれほど速く育つか → how quickly children grow
町がどれほど速く広がったか → how quickly the town grew
what S had left behind最重要

過去から残されたもの

遺産や成果の具体名が浮かばないとき、「残したもの」と what 節に開けます。

過去の文化遺産 → what past cultures had left behind
父が残したもの → what my father had left behind
前の世代が残したもの → what earlier generations had left us
by V-ing, S Vよく使う

方法・手段を先に示す

「〜することで」を文頭に置くと、後ろの結果との関係が明確になります。

距離を保つことで考えた → By keeping some distance, they thought.
毎日読むことで学ぶ → By reading every day, we learn.
時間をかけて見ることで違いに気づく → By taking time to look, we notice the difference.
little by littleよく使う

少しずつ進む

「次第に」を安全に表す基本表現です。slowly よりも段階の積み重ねが見えます。

文化を次第につくる → build a culture little by little
少しずつ上達する → improve little by little
少しずつ信頼を築く → build trust little by little
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この問題の語彙

表現意味ひとこと
university大学複数形は universities と y を ies に変えます
countryside田園、田舎in the countryside のように the を伴うのが基本です
noise喧噪、騒音数えない名詞として扱い、a noise とはしません
keep a distance from〜から距離を保つ相手の前置詞は from です。with にしないでください
rapid急速な人が忙しい busy とは分け、変化の速さを表します
think deeply深く考えるthink about と組み合わせると考える対象も示せます
heritage遺産金銭の相続より、文化や歴史から受け継ぐものに合います
gradually次第にsuddenly の反対で、時間をかけた変化を表します
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出題の傾向

1991年前期の友情や理解の喜びが個人の心を扱ったのに対し、1992年前期は大学という制度の歴史へ視野が広がっています。翌1993年も土地や環境をめぐる説明文が出ています。いずれも日本語の抽象名詞をそのまま英単語へ置かず、誰が何をどうしたかに開く力が問われています。

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静かな場所と文化形成の因果を自分の言葉で書き直してみてください。Boost アプリでは、抽象名詞を節に開けているかまで答案ごとに確認できます。

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