京都大学のロゴ 第Ⅲ問(1) 和文英訳 京都大学 1996
京都大学 1996年度 前期日程 · 英語

第Ⅲ問(1) 和文英訳
解答と解説

ワープロとパソコンの普及で書く行為が変わった一方、手書きの感触には魅力が残るという対比です。難所は、「普及したおかげで」を中立的なNow thatで受けること、「筆をとる」が死語になりつつある変化を表すこと、そしてペンをさらさら走らせる心地よさを、音の直訳ではなく滑らかな動作として描くことです。最後の「捨てがたい」は物を捨てる意味にしないでください。

難易度 ★★★★ 目安 21分 和文英訳 テーマ 機械化の中で残る手書きの心地よさ
1

問題

第Ⅲ問(1) 次の文を英訳しなさい。

ワープロやパソコンが普及したおかげで,「書く」という行為はすっかり様変わりした。たとえば「筆をとる」といった言葉も死語になりつつある。そうはいっても,ペンを紙の上でさらさらと走らせていくときのあの心地よさには,なかなか捨てがたいものがある。

答案を書くようすすめる Boost のキャラクター Boo

この問題を解いて添削してもらう

解説を読んだあとに自分の言葉で書き直すと、力のつき方がまったく違います。Boost アプリでこの問題を開けば、書いた答案をそのまま AI が添削します。

アプリでこの問題を解く 無料で1日2回まで添削できます

この問題で見られている力

  • 普及をwidely usedという平易な受け身で表せるか
  • 書くという行為をthe way we writeと節に開けるか
  • なりつつあるをis becomingで進行中の変化にできるか
  • さらさらをmove smoothlyで描けるか
  • 捨てがたい魅力をhard to give upで訳せるか
2

文ごとの解説

第 1 文

ワープロやパソコンが普及したおかげで,「書く」という行為はすっかり様変わりした。

つまずきやすいところ
  • word processorとpersonal computerを複数で並べます
  • 普及はare widely usedと平易に書けます
  • おかげでを必ずthanks toにする必要はありません
  • 書く行為はthe way we writeと開けます
  • 現在までの変化はhas changedです
発想の切り替え

日本語の抽象名詞に対応する難しい語を探すより、実際に人が何をし、どのように感じるかへ開きます。この文では時間の背景、進行中の変化、手の動作をそれぞれ明確な動詞にしました。日本語の語順を追わず、前文との対比と現在まで続く評価が落ちていないか確認してください。

訳例
標準

Now that word processors and personal computers are widely used, the way we write has changed completely.

別解

Because more people use word processors and computers, what we do when we write is now very different from how it was before.

この文でやりやすい誤り

普及をspread themselvesとする

減点 中
Word processors and computers have spread themselves.
Word processors and computers are widely used.

機械が自力で自分を広げた意味になります。 誤りはこの一点だけです。修正例と比較し、筆者の評価がどう戻るかも確認してください。

thanks toで好影響を断定する

減点 中
Thanks to computers, the way we write has changed completely.
Now that computers are widely used, the way we write has completely changed.

thanks toは明確な好影響を含み、後半の惜しむ気持ちと合いません。 誤りはこの一点だけです。修正例と比較し、筆者の評価がどう戻るかも確認してください。

an action of writeとする

減点 大
An action of write has changed completely.
The way we write has changed completely.

writeが名詞にならず、英語のまとまりが作れていません。 誤りはこの一点だけです。修正例と比較し、筆者の評価がどう戻るかも確認してください。

現在までの変化を現在形にする

減点 中
The way we write changes completely.
The way we write has changed completely.

今も毎回変化する意味になり、普及後の結果が出ません。 誤りはこの一点だけです。修正例と比較し、筆者の評価がどう戻るかも確認してください。

この文の言いかえ
普及した
are widely used平易で意味を正確に運ぶおすすめの形です。
have become common文脈を保てる自然な別解です。
spread themselves品詞または意味がずれるため使いません。
書くという行為
the way we write平易で意味を正確に運ぶおすすめの形です。
what we do when we write文脈を保てる自然な別解です。
an action of write品詞または意味がずれるため使いません。
様変わりした
has changed completely平易で意味を正確に運ぶおすすめの形です。
is now very different文脈を保てる自然な別解です。
changed its figure品詞または意味がずれるため使いません。
第 2 文

たとえば「筆をとる」といった言葉も死語になりつつある。

つまずきやすいところ
  • 引用表現としてtake up one's brushを置きます
  • expressionは可算名詞です
  • ここが山場です。死語をfew people useと説明します
  • なりつつあるはis becomingです
  • evenで「も」を残します
発想の切り替え

日本語の抽象名詞に対応する難しい語を探すより、実際に人が何をし、どのように感じるかへ開きます。この文では時間の背景、進行中の変化、手の動作をそれぞれ明確な動詞にしました。日本語の語順を追わず、前文との対比と現在まで続く評価が落ちていないか確認してください。

訳例
標準

For example, even the expression “take up one's brush” is becoming an old phrase that few people use.

別解

For example, we are reaching a time when people may no longer understand what an expression such as “take up a brush” means.

この文でやりやすい誤り

死語をdead languageとする

減点 大
The expression is becoming a dead language.
The expression is becoming an old phrase that few people use.

dead languageは話者のいない言語全体です。 誤りはこの一点だけです。修正例と比較し、筆者の評価がどう戻るかも確認してください。

becomingの後ろに原形を置く

減点 中
The phrase is becoming disappear.
The phrase is becoming one that few people use.

becomeの後ろに動詞原形は直接置けません。 誤りはこの一点だけです。修正例と比較し、筆者の評価がどう戻るかも確認してください。

この文の言いかえ
死語になりつつある
is becoming a phrase few people use平易で意味を正確に運ぶおすすめの形です。
is passing out of use文脈を保てる自然な別解です。
is a dead language品詞または意味がずれるため使いません。
第 3 文

そうはいっても,ペンを紙の上でさらさらと走らせていくときのあの心地よさには,なかなか捨てがたいものがある。

つまずきやすいところ
  • Even soで前文との対比を示します
  • さらさらはmove smoothlyと動作で描きます
  • ペンを走らせるはlet a pen moveです
  • 心地よさはhow pleasant it feelsと開けます
  • 捨てがたいはhard to give upです
  • paperは素材として無冠詞です
発想の切り替え

日本語の抽象名詞に対応する難しい語を探すより、実際に人が何をし、どのように感じるかへ開きます。この文では時間の背景、進行中の変化、手の動作をそれぞれ明確な動詞にしました。日本語の語順を追わず、前文との対比と現在まで続く評価が落ちていないか確認してください。

訳例
標準

Even so, it is hard to give up how pleasant it feels to let a pen move smoothly across paper and how good it is to see what our own hands have written.

別解

Still, when we write by hand, there is something special about how a pen moves over paper, how our fingers guide it, and what we feel as the words appear.

この文でやりやすい誤り

さらさらを音だけにする

減点 中
A pen makes a smooth sound on paper.
A pen moves smoothly across paper.

原文の中心は音ではなく滑らかに書く心地よさです。 誤りはこの一点だけです。修正例と比較し、筆者の評価がどう戻るかも確認してください。

一般のpaperにtheを付ける

減点 小
It feels good to move a pen across the paper.
It feels good to move a pen across paper.

一般的な素材としての紙なので無冠詞です。 誤りはこの一点だけです。修正例と比較し、筆者の評価がどう戻るかも確認してください。

pleasantをpleasedにする

減点 中
It feels pleased to write by hand.
It feels pleasant to write by hand.

pleasedは人が喜ぶ状態で、itを主語にした感触には使えません。 誤りはこの一点だけです。修正例と比較し、筆者の評価がどう戻るかも確認してください。

捨てがたいをthrow awayにする

減点 大
We cannot throw the pleasant feeling away.
It is hard to give up that pleasant feeling.

物理的に物を捨てる動作になり、愛着の意味が不自然です。 誤りはこの一点だけです。修正例と比較し、筆者の評価がどう戻るかも確認してください。

この文の言いかえ
そうはいっても
Even so,平易で意味を正確に運ぶおすすめの形です。
Still,文脈を保てる自然な別解です。
But saying so,品詞または意味がずれるため使いません。
さらさらと走らせる
let a pen move smoothly across paper平易で意味を正確に運ぶおすすめの形です。
guide a pen smoothly over paper文脈を保てる自然な別解です。
run a pen on the paper品詞または意味がずれるため使いません。
心地よさ
how pleasant it feels平易で意味を正確に運ぶおすすめの形です。
the pleasant feeling文脈を保てる自然な別解です。
how pleased it is品詞または意味がずれるため使いません。
捨てがたい
be hard to give up平易で意味を正確に運ぶおすすめの形です。
have something special文脈を保てる自然な別解です。
be hard to throw away品詞または意味がずれるため使いません。
3

模範解答

標準解

まずここを目標にhow節 ×2 / what節 ×168語

Now that word processors and personal computers are widely used, the way we write has changed completely. For example, even the expression “take up one's brush” is becoming an old phrase that few people use. Even so, it is hard to give up how pleasant it feels to let a pen move smoothly across paper and how good it is to see what our own hands have written.

標準解では、機械の普及、言葉の変化、それでも残る手書きの魅力という対比を保っています。心地よさはhow pleasant it feels、書かれたものはwhat our own hands have writtenと節に開きました。擬態語を英語の音に置き換えず、ペンが滑らかに動く様子として説明するのが要点です。平易な語で現在までの変化を正確に運んでください。見直しでは、機械の普及を全面的によいことだと決めつけていないか確認してください。「おかげで」はここでは変化の背景であり、後半では失われつつある言葉と手書きへの愛着が語られます。そこでNow thatなら評価を足さずに現在の状況を置けます。「筆をとる」は引用された古い言い回しなので、文字どおり筆を持ち上げる動作だけを説明せず、few people useという使用の減少まで書いてください。

説明を足した解

書けなかったときの逃げ道how節 ×3 / what節 ×374語

Because more people use word processors and computers, what we do when we write is now very different from how it was before. We are reaching a time when people may no longer understand what an expression such as “take up a brush” means. Still, when we write by hand, there is something special about how a pen moves over paper, how our fingers guide it, and what we feel as the words appear.

こちらは「普及」「死語」「心地よさ」を一語の名詞にせず、people use、few people understand、we feelと人の行動に戻しました。説明は長くても、変化の内容と手書きへの愛着が明確です。whatとhowで中身を示せば、難しい語を知らなくても書けます。最後はthrow awayではなく、特別な感覚が残ると説明するのが安全です。手書きの場面では、さらさらという日本語の音を無理に英語の音へ移す必要はありません。ペンが紙の上を滑らかに進み、指で導き、文字が現れるという目に見える動作へ分ければ十分です。paperは一般的な素材として無冠詞にし、penは一つの道具なのでa penとします。「捨てがたい」は紙やペンを捨てない話ではなく、感覚を手放しにくいという評価です。give upまたはsomething specialで結んでください。

6

他の問題にも使える形

学習のコツを紹介する Boost のキャラクター Boo
Now that S V最重要

今や〜なので

習慣の変化や感覚を、抽象名詞に頼らず主語と動詞で説明する型です。別の道具や生活の変化を扱う和文英訳にも使えます。二つの例文で語順を確認してください。

今やパソコンが普通なので → Now that computers are common
今や春なので → Now that spring is here
the way S V最重要

Sが〜するあり方

習慣の変化や感覚を、抽象名詞に頼らず主語と動詞で説明する型です。別の道具や生活の変化を扱う和文英訳にも使えます。二つの例文で語順を確認してください。

私たちの書き方 → the way we write
彼の話し方 → the way he speaks
be becoming + 名詞・形容詞最重要

〜になりつつある

習慣の変化や感覚を、抽象名詞に頼らず主語と動詞で説明する型です。別の道具や生活の変化を扱う和文英訳にも使えます。二つの例文で語順を確認してください。

古い表現になりつつある → is becoming an old expression
寒くなりつつある → is becoming cold
few people + 動詞よく使う

ほとんど使われない

習慣の変化や感覚を、抽象名詞に頼らず主語と動詞で説明する型です。別の道具や生活の変化を扱う和文英訳にも使えます。二つの例文で語順を確認してください。

ほとんど誰も使わない → few people use it
ほとんど誰も知らない → few people know it
how + 形容詞 + it feelsよく使う

〜する心地よさ

習慣の変化や感覚を、抽象名詞に頼らず主語と動詞で説明する型です。別の道具や生活の変化を扱う和文英訳にも使えます。二つの例文で語順を確認してください。

手書きの心地よさ → how pleasant it feels to write
泳ぐ爽快さ → how good it feels to swim
be hard to give upよく使う

捨てがたい

習慣の変化や感覚を、抽象名詞に頼らず主語と動詞で説明する型です。別の道具や生活の変化を扱う和文英訳にも使えます。二つの例文で語順を確認してください。

手書きは捨てがたい → Handwriting is hard to give up.
古い習慣はやめにくい → Old habits are hard to give up.
7

この問題の語彙

表現意味ひとこと
word processorワープロ複数ならprocessorsです 品詞と前後の語まで一緒に覚えてください。
widely広くusedを修飾します 品詞と前後の語まで一緒に覚えてください。
the way〜のあり方後ろに節を続けます 品詞と前後の語まで一緒に覚えてください。
expression表現可算名詞です 品詞と前後の語まで一緒に覚えてください。
phrase言い回し言語全体とは別です 品詞と前後の語まで一緒に覚えてください。
smoothly滑らかに動きを修飾します 品詞と前後の語まで一緒に覚えてください。
pleasant心地よいpleasedと区別します 品詞と前後の語まで一緒に覚えてください。
give up手放すthrow awayとは違います 品詞と前後の語まで一緒に覚えてください。
8

出題の傾向

1996年前期(2)は子供の遊び、後期(1)は百科事典を眺める行為、1997年前期(1)は空港の旅人です。身近な道具や習慣の変化から、人がなお感じる価値を掘り下げる文章が多く、抽象名詞を具体的な動作へ戻す力が必要です。

学習の成果を喜ぶ Boost のキャラクター Boo

この問題を解いて添削してもらう

解説を読んだあとに自分の言葉で書き直すと、力のつき方がまったく違います。Boost アプリでこの問題を開けば、書いた答案をそのまま AI が添削します。

アプリでこの問題を解く iOS · Android · Web で使えます
アプリで解く
質問文をコピーしました