野球の説明から始まり、子供が遊びの中で何を学ぶかへ話が進む文章です。差がつくのは、「隣の誰それさん」のくだけた響きを無理なく表すこと、「共同生活を送っていくすべ」をhow節に開くこと、そして「屈辱感を受け入れる訓練」を自然な動作として訳すことです。泥だらけになること、腕を比べること、負けを経験することのつながりを落とさず、やさしい動詞で説明してください。
野球は、アメリカの国民的スポーツのひとつである。多くのアメリカ人は、子供の頃、近所の野原で野球をして大きくなる。泥まみれになり、隣の誰それさんは自分より上手になったとか、ならないとかいいながら、他人と共同生活を送っていくすべを身につけていく。あるいは他人に打ち負かされるという屈辱感を受け入れる訓練を重ねていく。
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「国民的」を一語で飾ろうとするより、「米国で最も広く親しまれている競技の一つ」と関係をほどくと安全です。one of + 複数名詞は入試で何度も使える基本形です。
Baseball is one of the national sports of the United States.
Baseball is one of the sports that are most widely loved in the United States.
one ofは複数の中の一つを示すので、後ろの名詞は必ず複数形です。単数形では選ぶ集まりが作れません。
多くのアメリカ人は、子供の頃、近所の野原で野球をして大きくなる。
日本語の「野球をして」と「大きくなる」を別々の出来事にせず、grow up doingの形で一つにします。どのように育つのかをhow they grow upと説明する見方も役立ちます。
Many Americans grow up playing baseball in fields near their homes.
For many Americans, what they do as children is play baseball in open fields in their neighborhood.
grow upの後ろで「何をしながら育つか」を示すときはplayingという-ing形が必要です。原形をそのまま並べることはできません。
the fieldだと、全員が同じ一つの特定の野原で遊ぶ意味になります。原文は各地の近所の野原を一般的に述べています。
泥まみれになり、隣の誰それさんは自分より上手になったとか、ならないとかいいながら、他人と共同生活を送っていくすべを身につけていく。
細部を一語ずつ直訳すると主語が迷子になります。まず「子供たちは泥だらけになる」「近所の子との腕を話題にする」「その経験から他人との暮らし方を学ぶ」という三段に分け、最後をwhat they learnとhow節で結びます。
They get covered in mud and talk about whether some boy or other next door has become better at the game than they are. Through such experiences, they learn how to live with other people.
As they play, they become muddy and argue about how well this or that child in the neighborhood can play. What they learn in this way is how to get along with others.
become mudは人そのものが泥に変わる意味です。泥が体や服につく状態はcovered in mudまたはmuddyで表します。
whetherとifはどちらも「〜かどうか」を導くので同時には置けません。一つだけを選びます。
betterは比較級なので、誰より上手なのかをthanでつなぐ必要があります。この形ではbetterとthemselvesの関係が作れません。
joint lifeは共同住宅で暮らすような響きになり、野球仲間との付き合い方という意味から外れます。how節に開くと意図が明確です。
「人とうまくやる」はget along withです。toにすると決まった結びつきが崩れます。
あるいは他人に打ち負かされるという屈辱感を受け入れる訓練を重ねていく。
humiliationのような硬い名詞を探す必要はありません。「負けるとどんな気持ちになるか」とhow節に開き、その気持ちを受け止める練習だと書けば、原文の教育的な意味がはっきりします。
They also learn, little by little, to accept how bad it feels to be beaten by someone else.
Or they learn through repeated games what it is like to lose to another person and how to accept that feeling.
beating other peopleでは自分が相手を倒す側です。原文は他人に負かされる側の気持ちを述べています。
onceでは、試合を重ねながら少しずつ身につける反復の意味が消えます。little by littleやthrough repeated gamesで過程を残します。
Baseball is one of the national sports of the United States. Many Americans grow up playing baseball in fields near their homes. They get covered in mud and talk about whether some boy or other next door has become better at the game than they are. Through such experiences, they learn how to live with other people and what it means to share life with them. They also learn how bad it feels to be beaten by someone else and how to accept that feeling.
grow up playingで子供時代の継続をまとめ、後半では「すべ」「屈辱感」という名詞をhowとwhatの節に開きました。野球技術の話ではなく、他人と暮らし、負けも引き受ける社会性の話だという軸を保っています。難しい名詞を使わなくても原文の内容は落ちません。まずは出来事の順番を守り、平易な動詞で最後まで書き切ることを目標にしてください。この答案を見直すときは、野球の説明だけで終わっていないかを確認してください。原文の中心は、泥だらけの遊びや腕比べを通して、他人と暮らす方法と負ける痛みを学ぶ点です。また、隣の「誰それさん」は特定の有名選手ではなく、ごく身近な子供をぼかして呼ぶ表現です。some boy or otherの軽さを保ち、勝敗の比較ではthanの後ろに同じ競技者同士の基準を置いてください。最後の訓練は一度の練習ではないため、little by littleで反復も残しています。さらに、第二文のgrow up playingは一度遊んだ話ではなく、子供時代を通じた習慣を表します。第三文のmud、腕比べ、共同生活はばらばらの例ではなく、仲間の中で自分の位置を知る一続きの経験です。第四文では勝つ喜びではなく、負けたときにどう感じ、その感情をどう受け入れるかへ話が進みます。この方向転換まで訳せているかを最後に確かめてください。
Baseball is one of the games that people across the United States love most. Many of them spend their childhood playing it in open fields near home. They may be covered with mud and discuss how much better a child next door has become. As they do so, they find out how they should act when they are with other people and what they must do to live together. They also come to understand what it feels like when another person beats them and how they can accept the pain of losing.
こちらは「国民的」「共同生活」「屈辱感」をそれぞれ説明文にほどいた版です。語数は増えますが、知っている語だけで意味を確実に運べます。spend their childhood doingやfind out howの形は、抽象名詞が思いつかないときのよい逃げ道です。「訓練」をtrainingと置く代わりに、何度も経験して理解する過程まで言葉にしています。別解を使う場合も、野球が単なる遊びではなく社会の小さな練習場になっていることを落とさないでください。get covered in mudは身体の状態、argue aboutは子供同士の会話、learn throughは経験の結果を担当します。この三つを別々に置けば長い第三文も整理できます。負ける側はlose toまたはbe beaten byで示し、誰が誰を負かすのかを逆にしないことも最後に点検してください。

複数の中の一つ
「代表的なものの一つ」はone ofの後ろを必ず複数形にします。冠詞と複数形をセットで確認してください。
〜しながら育つ
子供時代に繰り返していた行動を、二つの文に分けず一つにまとめられます。growの時制だけで全体の時間を調整できます。
〜かどうか
二つの可能性を話題にするときの基本形です。ifと重ねず、whetherだけで節を始めてください。
方法やすべを節に開く
「方法」「すべ」という名詞の英訳が硬くなるときは、how toで実際の行動に開くと意味が伝わります。
感情を説明する
感情名詞が思いつかないときに、「〜するのがどれほど…に感じるか」と説明できます。読み手にも感情の中身が明確です。
経験を通じて学ぶ
学びのきっかけをthroughで示す形です。抽象的なtrainingを置くより、実際に何を繰り返したかを書けます。
| 表現 | 意味 | ひとこと |
|---|---|---|
| national sport | 国民的スポーツ | one ofの後ろではsportsと複数形にします |
| grow up | 成長する、育つ | 行動を続けるなら後ろにdoingを置きます |
| field | 野原、運動場 | 一般的な複数の場所ならfieldsで表します |
| be covered in mud | 泥まみれである | become mudでは人が泥に変わるので注意してください |
| neighborhood | 近所 | near their homesと言い換えても十分です |
| get along with | 〜とうまく付き合う | 前置詞はtoではなくwithです |
| beat | 〜を打ち負かす | 負ける側はbe beaten byまたはlose toで表します |
| little by little | 少しずつ | 反復して身につける過程を平易に示せます |
1997年前期(2)では欧米の家を案内する習慣、1998年前期(1)では映画監督になったきっかけ、1999年前期(1)では英国人との交流が扱われています。この時期の京大は、身近な文化や体験を述べながら、その奥にある人間関係を平易な英語で説明させる問題が多いです。
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