京都大学のロゴ 第Ⅲ問(2) 和文英訳 京都大学 1998
京都大学 1998年度 前期日程 · 英語

第Ⅲ問(2) 和文英訳
解答と解説

野球の説明から始まり、子供が遊びの中で何を学ぶかへ話が進む文章です。差がつくのは、「隣の誰それさん」のくだけた響きを無理なく表すこと、「共同生活を送っていくすべ」をhow節に開くこと、そして「屈辱感を受け入れる訓練」を自然な動作として訳すことです。泥だらけになること、腕を比べること、負けを経験することのつながりを落とさず、やさしい動詞で説明してください。

難易度 ★★★★ 目安 22分 和文英訳 テーマ 野球を通じた社会性の学び
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問題

第Ⅲ問(2) 次の文を英訳しなさい。

野球は、アメリカの国民的スポーツのひとつである。多くのアメリカ人は、子供の頃、近所の野原で野球をして大きくなる。泥まみれになり、隣の誰それさんは自分より上手になったとか、ならないとかいいながら、他人と共同生活を送っていくすべを身につけていく。あるいは他人に打ち負かされるという屈辱感を受け入れる訓練を重ねていく。

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この問題で見られている力

  • 「国民的スポーツのひとつ」をone ofで正確に作れるか
  • 「野球をして大きくなる」をgrow up playingで表せるか
  • 「誰それさん」の軽い語感をsome boy or otherなどで処理できるか
  • 「共同生活を送るすべ」をhow people live with othersと節に開けるか
  • 「打ち負かされる屈辱感」を負けを認める経験として自然に言い換えられるか
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文ごとの解説

第 1 文

野球は、アメリカの国民的スポーツのひとつである。

つまずきやすいところ
  • one ofの後ろは複数形sportsです
  • national sportは政府が定めた競技という意味に限らず、国民に広く親しまれる競技にも使えます
  • Americaよりthe United Statesと書くと国名が明確です
  • ここでは断定文なので現在形isを使います
  • 冠詞aをnationalの前に置く形にはしません
発想の切り替え

「国民的」を一語で飾ろうとするより、「米国で最も広く親しまれている競技の一つ」と関係をほどくと安全です。one of + 複数名詞は入試で何度も使える基本形です。

訳例
標準

Baseball is one of the national sports of the United States.

別解

Baseball is one of the sports that are most widely loved in the United States.

この文でやりやすい誤り

one ofの後ろを単数形にする

減点 中
Baseball is one of the national sport of the United States.
Baseball is one of the national sports of the United States.

one ofは複数の中の一つを示すので、後ろの名詞は必ず複数形です。単数形では選ぶ集まりが作れません。

この文の言いかえ
国民的スポーツのひとつ
one of the national sports短く正確な基本形です
one of the sports people love mostnationalが出ないときの説明的な形です
a national sport of oneone ofの語順になっておらず使えません
第 2 文

多くのアメリカ人は、子供の頃、近所の野原で野球をして大きくなる。

つまずきやすいところ
  • ここが山場です。「して大きくなる」はgrow up playingと続けます
  • 「子供の頃」はwhen they are childrenでも書けます
  • fieldは野球場ではなく近所の空き地に近い意味です
  • many Americansを主語にして一般論の現在形にします
  • near their homesなら近所という範囲が伝わります
発想の切り替え

日本語の「野球をして」と「大きくなる」を別々の出来事にせず、grow up doingの形で一つにします。どのように育つのかをhow they grow upと説明する見方も役立ちます。

訳例
標準

Many Americans grow up playing baseball in fields near their homes.

別解

For many Americans, what they do as children is play baseball in open fields in their neighborhood.

この文でやりやすい誤り

grow upの後ろに動詞の原形を置く

減点 中
Many Americans grow up play baseball near their homes.
Many Americans grow up playing baseball near their homes.

grow upの後ろで「何をしながら育つか」を示すときはplayingという-ing形が必要です。原形をそのまま並べることはできません。

fieldを複数にせず一つの特定の野原にする

減点 小〜中
Many Americans play baseball in the field near their homes as children.
Many Americans play baseball in fields near their homes as children.

the fieldだと、全員が同じ一つの特定の野原で遊ぶ意味になります。原文は各地の近所の野原を一般的に述べています。

この文の言いかえ
野球をして大きくなる
grow up playing baseball継続する子供時代を一息で表せます
play baseball throughout their childhood期間を前面に出す言い方です
grow playing baseballupが欠けると「育つ」の句になりません
第 3 文

泥まみれになり、隣の誰それさんは自分より上手になったとか、ならないとかいいながら、他人と共同生活を送っていくすべを身につけていく。

つまずきやすいところ
  • 泥まみれはget covered in mudで動作にします
  • 「誰それさん」は固有名を立てずsome boy or otherとぼかします
  • 上手になったかどうかはwhether節でまとめられます
  • ここが山場です。「すべ」はwayという名詞よりhow to live with other peopleが自然です
  • 一連の経験をThrough such experiencesで受けると論理が見えます
  • 自分より上手はbetter than they areと比較します
発想の切り替え

細部を一語ずつ直訳すると主語が迷子になります。まず「子供たちは泥だらけになる」「近所の子との腕を話題にする」「その経験から他人との暮らし方を学ぶ」という三段に分け、最後をwhat they learnとhow節で結びます。

訳例
標準

They get covered in mud and talk about whether some boy or other next door has become better at the game than they are. Through such experiences, they learn how to live with other people.

別解

As they play, they become muddy and argue about how well this or that child in the neighborhood can play. What they learn in this way is how to get along with others.

この文でやりやすい誤り

泥まみれをmuddyでなくmudとする

減点 大
They become mud while playing baseball.
They get covered in mud while playing baseball.

become mudは人そのものが泥に変わる意味です。泥が体や服につく状態はcovered in mudまたはmuddyで表します。

whetherをif or notと二重に組み立てる

減点 中
They talk about whether if the boy next door is better or not.
They talk about whether the boy next door is better or not.

whetherとifはどちらも「〜かどうか」を導くので同時には置けません。一つだけを選びます。

比較のthanを落とす

減点 中
They say that the boy next door has become better themselves.
They say that the boy next door has become better than they are.

betterは比較級なので、誰より上手なのかをthanでつなぐ必要があります。この形ではbetterとthemselvesの関係が作れません。

「すべ」をmethod of livingと硬く直訳する

減点 大
They learn the method of living a joint life with strangers.
They learn how to live with other people.

joint lifeは共同住宅で暮らすような響きになり、野球仲間との付き合い方という意味から外れます。how節に開くと意図が明確です。

get alongの前置詞をtoにする

減点 中
They learn how to get along to other people.
They learn how to get along with other people.

「人とうまくやる」はget along withです。toにすると決まった結びつきが崩れます。

この文の言いかえ
泥まみれになる
get covered in mud状態になる動きまで出ます
get muddy短くて使いやすい形です
become mud人が泥に変化する意味なので使えません
隣の誰それさん
some boy or other next door名前をぼかす語感を残せます
this or that child in the neighborhood少し説明的ですが自然です
Mr. Somebody next英語の呼び名として成立せず位置も不明です
共同生活を送るすべ
how to live with other people名詞をhow節に開くおすすめの形です
how to get along with others人間関係に焦点を当てる言い方です
the art of social coexistence硬すぎます。知っていてもこの答案では狙わなくて大丈夫です
第 4 文

あるいは他人に打ち負かされるという屈辱感を受け入れる訓練を重ねていく。

つまずきやすいところ
  • あるいは別の学びを加えるorで受けます
  • 「屈辱感」を難しい名詞にせずhow bad it feels to loseと開けます
  • 打ち負かされるはbe beaten by another playerです
  • 訓練を重ねるはlearn little by littleと説明できます
  • 受け入れるはaccept the fact that they have lostが自然です
  • 一般論なので主語theyを保ちます
発想の切り替え

humiliationのような硬い名詞を探す必要はありません。「負けるとどんな気持ちになるか」とhow節に開き、その気持ちを受け止める練習だと書けば、原文の教育的な意味がはっきりします。

訳例
標準

They also learn, little by little, to accept how bad it feels to be beaten by someone else.

別解

Or they learn through repeated games what it is like to lose to another person and how to accept that feeling.

この文でやりやすい誤り

打ち負かす側と負ける側を逆にする

減点 大
They learn to accept the pain of beating other people.
They learn to accept the pain of being beaten by other people.

beating other peopleでは自分が相手を倒す側です。原文は他人に負かされる側の気持ちを述べています。

「訓練を重ねる」を一度だけtryすると訳す

減点 中
They try once to accept how bad it feels to lose.
They learn little by little to accept how bad it feels to lose.

onceでは、試合を重ねながら少しずつ身につける反復の意味が消えます。little by littleやthrough repeated gamesで過程を残します。

この文の言いかえ
打ち負かされる
be beaten by someone else受け身の向きが明確です
lose to another person最も簡単な語で同じ内容を出せます
lose another person人を失う意味になるのでtoが必要です
屈辱感
how bad it feels to lose難しい名詞を使わず感情を説明できます
the pain of losing短くまとめたいときに使えます
ignominy非常に難しい文語です。覚える必要はありません
訓練を重ねる
learn little by little経験を重ねる流れが自然です
learn through repeated games何を繰り返すかまで示せます
train it again and againtrainの目的語にitを置く形は不自然です
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模範解答

標準解

まずここを目標にhow節 ×3 / what節 ×185語

Baseball is one of the national sports of the United States. Many Americans grow up playing baseball in fields near their homes. They get covered in mud and talk about whether some boy or other next door has become better at the game than they are. Through such experiences, they learn how to live with other people and what it means to share life with them. They also learn how bad it feels to be beaten by someone else and how to accept that feeling.

grow up playingで子供時代の継続をまとめ、後半では「すべ」「屈辱感」という名詞をhowとwhatの節に開きました。野球技術の話ではなく、他人と暮らし、負けも引き受ける社会性の話だという軸を保っています。難しい名詞を使わなくても原文の内容は落ちません。まずは出来事の順番を守り、平易な動詞で最後まで書き切ることを目標にしてください。この答案を見直すときは、野球の説明だけで終わっていないかを確認してください。原文の中心は、泥だらけの遊びや腕比べを通して、他人と暮らす方法と負ける痛みを学ぶ点です。また、隣の「誰それさん」は特定の有名選手ではなく、ごく身近な子供をぼかして呼ぶ表現です。some boy or otherの軽さを保ち、勝敗の比較ではthanの後ろに同じ競技者同士の基準を置いてください。最後の訓練は一度の練習ではないため、little by littleで反復も残しています。さらに、第二文のgrow up playingは一度遊んだ話ではなく、子供時代を通じた習慣を表します。第三文のmud、腕比べ、共同生活はばらばらの例ではなく、仲間の中で自分の位置を知る一続きの経験です。第四文では勝つ喜びではなく、負けたときにどう感じ、その感情をどう受け入れるかへ話が進みます。この方向転換まで訳せているかを最後に確かめてください。

説明を足した解

書けなかったときの逃げ道how節 ×3 / what節 ×292語

Baseball is one of the games that people across the United States love most. Many of them spend their childhood playing it in open fields near home. They may be covered with mud and discuss how much better a child next door has become. As they do so, they find out how they should act when they are with other people and what they must do to live together. They also come to understand what it feels like when another person beats them and how they can accept the pain of losing.

こちらは「国民的」「共同生活」「屈辱感」をそれぞれ説明文にほどいた版です。語数は増えますが、知っている語だけで意味を確実に運べます。spend their childhood doingやfind out howの形は、抽象名詞が思いつかないときのよい逃げ道です。「訓練」をtrainingと置く代わりに、何度も経験して理解する過程まで言葉にしています。別解を使う場合も、野球が単なる遊びではなく社会の小さな練習場になっていることを落とさないでください。get covered in mudは身体の状態、argue aboutは子供同士の会話、learn throughは経験の結果を担当します。この三つを別々に置けば長い第三文も整理できます。負ける側はlose toまたはbe beaten byで示し、誰が誰を負かすのかを逆にしないことも最後に点検してください。

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他の問題にも使える形

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one of + the + 複数名詞最重要

複数の中の一つ

「代表的なものの一つ」はone ofの後ろを必ず複数形にします。冠詞と複数形をセットで確認してください。

国民的スポーツの一つ → one of the national sports
私の親友の一人 → one of my best friends
grow up doing最重要

〜しながら育つ

子供時代に繰り返していた行動を、二つの文に分けず一つにまとめられます。growの時制だけで全体の時間を調整できます。

野球をして大きくなる → grow up playing baseball
音楽を聞いて育った → grew up listening to music
whether S V or notよく使う

〜かどうか

二つの可能性を話題にするときの基本形です。ifと重ねず、whetherだけで節を始めてください。

彼が上手になったかどうか → whether he has become better or not
雨が降るかどうか → whether it will rain or not
how to + 動詞最重要

方法やすべを節に開く

「方法」「すべ」という名詞の英訳が硬くなるときは、how toで実際の行動に開くと意味が伝わります。

他人と暮らすすべ → how to live with other people
問題の解き方 → how to solve the problem
how + 形容詞 + it feels to Vよく使う

感情を説明する

感情名詞が思いつかないときに、「〜するのがどれほど…に感じるか」と説明できます。読み手にも感情の中身が明確です。

負ける屈辱感 → how bad it feels to lose
成功する喜び → how good it feels to succeed
learn through + 名詞よく使う

経験を通じて学ぶ

学びのきっかけをthroughで示す形です。抽象的なtrainingを置くより、実際に何を繰り返したかを書けます。

試合を重ねて学ぶ → learn through repeated games
失敗から学ぶ → learn through our mistakes
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この問題の語彙

表現意味ひとこと
national sport国民的スポーツone ofの後ろではsportsと複数形にします
grow up成長する、育つ行動を続けるなら後ろにdoingを置きます
field野原、運動場一般的な複数の場所ならfieldsで表します
be covered in mud泥まみれであるbecome mudでは人が泥に変わるので注意してください
neighborhood近所near their homesと言い換えても十分です
get along with〜とうまく付き合う前置詞はtoではなくwithです
beat〜を打ち負かす負ける側はbe beaten byまたはlose toで表します
little by little少しずつ反復して身につける過程を平易に示せます
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出題の傾向

1997年前期(2)では欧米の家を案内する習慣、1998年前期(1)では映画監督になったきっかけ、1999年前期(1)では英国人との交流が扱われています。この時期の京大は、身近な文化や体験を述べながら、その奥にある人間関係を平易な英語で説明させる問題が多いです。

学習の成果を喜ぶ Boost のキャラクター Boo

この問題を解いて添削してもらう

解説を読んだあとに自分の言葉で書き直すと、力のつき方がまったく違います。Boost アプリでこの問題を開けば、書いた答案をそのまま AI が添削します。

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