幼児期を過ごした町を再訪し、記憶を頼りに場所を探す場面です。「機会に恵まれた」を大げさな語にせず happened to pass through と置くこと、「それらしい場所」を where I thought the place was と what/how 節を使って説明すること、最後の家について外見から過去を推量することが山場です。現在の景色と30年前の記憶を行き来するため、過去形と過去完了の役割も丁寧に分けます。
あるとき私は幼児期を過ごした町を通る機会に恵まれた。記憶のなかの光景をたぐりよせながら,なんとかそれらしい場所まで来たが,自信がない。周囲の町並は完全に変わってしまっていた。そこに建っていた家はいかにも新しく,30年前からそこにあったものとはとても思えなかった。
記憶の場面は、時制を一つ変えるだけで時間関係がずれます。幼児期・再訪・それ以前に完了した町の変化を三段に並べ、had spent / had changed / had been の基準を確認してください。「それらしい場所」と家の古さは事実ではなく話し手の判断なので、thought / was not sure / could hardly believe も落とせません。解説を閉じてから、what / how / where 節と過去完了を自分で選び直してみてください。Boost アプリなら、訳抜けや時制のずれまで答案ごとに確認できます。
アプリでこの問題を解く 無料で1日2回まで添削できますあるとき私は幼児期を過ごした町を通る機会に恵まれた。
日本語は「機会に恵まれた」と名詞で出来事を包んでいますが、英語では I happened to pass through と動詞で進めると自然です。町には where を付け、その町で何をしたかを節に開きます。こうすると chance や opportunity の選択に迷わず、偶然の再訪という場面も正確に出せます。
One day, I happened to pass through the town where I had spent my early childhood.
One day, I had a chance to go through the town where I lived when I was a small child.
pass the town は「町のそばを通り過ぎる」と読まれやすく、町の中を通った場面がはっきりしません。原文では町に入り、昔の場所まで来ています。
人が chance によって祝福されたという受け身になり、この偶然の再訪には重すぎます。自然な出来事として happened to を使います。
when は時を表すため、town を説明できません。「その町で幼児期を過ごした」ので場所を表す where が必要です。
記憶のなかの光景をたぐりよせながら,なんとかそれらしい場所まで来たが,自信がない。
「それらしい」は見た目が似ているというより、記憶を照合した結果「たぶんここだ」と判断した気持ちです。そこで where I thought the place was とします。「自信がない」も単独で終えず、whether I was right と判断内容を開けば、読み手が迷いません。
While trying to remember what the town had looked like, I managed to reach where I thought the place was, but I was not sure whether I was right.
I tried to recall how the area had looked and finally came to what seemed to be the right place, though I could not be certain.
現在の町の外見を思い出す文になっています。思い出しているのは幼児期の光景なので、過去の基準より前を表す had looked にします。
何かに似た別の場所へ来た意味になります。原文は探していた場所がここらしいと判断したので、自分の考えを節で示します。
manage は後ろに to不定詞を取ります。動名詞にすると動詞の形が壊れ、なんとか到着したという内容が伝わりません。
周囲の町並は完全に変わってしまっていた。
町並にぴったり合う難しい名詞を探すより、目に入る streets and buildings と分けるほうが安全です。再訪時点を過去の基準にして、それより前に町が変わったので過去完了を使います。この一文が次の「家も新しく見えた」という判断の土台になります。
The streets and buildings around me had completely changed.
Everything around the place looked different from how I remembered it.
語りの基準は過去の再訪時です。現在完了では今までの変化になり、物語の時間から急に現在へ移ってしまいます。
誰かが意図的に町並みを変更したという受け身になります。自然に姿が変わった話なので change を自動詞で使います。
そこに建っていた家はいかにも新しく,30年前からそこにあったものとはとても思えなかった。
「新しい」と「30年前からあった」を so ... that ... で結ぶと、外見が判断の理由だと明確になります。日本語の「もの」は訳さず、that the house had been there と内容を節で書きます。could hardly believe は「信じがたい」であり、事実を完全に否定してはいない点も原文に合います。
The house standing there looked so new that I could hardly believe it had been there for thirty years.
The house I saw there looked very new, and I could not imagine how it could have stood there for the past thirty years.
原文は外見から「いかにも新しい」と感じただけで、建築年を確認したわけではありません。look を使って話し手の見え方にします。
could の基準は過去の再訪時です。その時点まで30年間あったという内容なので has been ではなく had been を使います。
One day, I happened to pass through the town where I had spent my early childhood. While trying to remember what the town had looked like, I asked myself how closely the scene matched what I remembered. I managed to reach where I thought the place was, but I was not sure whether I was right. The streets and buildings around me had completely changed, and everything looked different from how I remembered it. The house standing there looked so new that I could hardly believe it had been there for thirty years.
「機会に恵まれた」を happened to、「記憶のなかの光景」を what the town had looked like、「それらしい場所」を where I thought the place was と、名詞のかたまりを節へ開いています。how 1回、what 1回に加えて、where節を2回使い、記憶の場所を説明しました。再訪より前の幼児期・町の変化・家の存在には過去完了を置き、時間関係を一本にそろえています。
One day, I had a chance to go through the town where I lived when I was a small child. I tried to recall how the area had looked and finally came to what seemed to be the right place. Still, I did not know whether I had found it. Everything around me was different from what I remembered. The house there looked very new, so it was hard to believe that it had stood in that place for the past thirty years.
こちらは、一文を短く切りながら判断の中身を補った版です。「自信がない」を I did not know whether I had found it と具体化し、「町並」を Everything around me と受けています。日本語の語順から離れても、何を思い出し、どこまで来て、何を疑ったかの順番を守れば内容は落ちません。長い修飾が苦手なら、この形で説明して大丈夫です。

偶然の出来事を動詞で進める
「〜する機会があった」を名詞で重くせず、偶然そうしたという一文にできます。過去の経験を自然に導入するときに便利です。
場所にそこでの経験を足す
場所を表す名詞のあとに where を置き、その場所で何をしたかを説明します。日本語の「〜した場所」に広く使えます。
過去の記憶の内容を節にする
思い出す対象が物なら what、様子なら how で開きます。語りの過去より前なら過去完了にすると時間差が明確です。
苦労した末の達成を表す
「なんとか〜した」を一まとまりで書けます。後ろは動名詞ではなく to不定詞ですので、形ごと覚えてください。
見た印象と判断を結ぶ
程度が大きいために、後ろの結果や判断が生じたと示せます。二文の因果関係を落とさずまとめられます。
過去の時点までの継続を示す
過去のある時点まで何年続いていたかを表します。現在まで続く現在完了と混ぜず、物語の基準時を先に決めてください。
| 表現 | 意味 | ひとこと |
|---|---|---|
| early childhood | 幼児期 | childhood だけでも書けます。early を付けると幼い時期だと明確です |
| pass through | 〜の中を通る | 場所の内部を通過するので through を落とさないでください |
| happen to | たまたま〜する | 偶然の一度の出来事に使います。機会という名詞を置かずに済みます |
| recall | 思い出す | remember に言い換えられます。後ろに記憶の内容を置きます |
| manage to | なんとか〜する | 後ろは必ず動詞の原形です。manage doing とはしません |
| be sure whether | 〜かどうか確信がある | 否定文では not sure whether とし、不確かな内容を続けます |
| completely | 完全に | change の程度を表します。語りの時制は動詞側で示します |
| hardly | ほとんど〜ない | can hardly believe で強い疑いです。hard と形が似ていますが意味が違います |
京大の和文英訳では、1998年前期(1)の映画監督へのインタビューや1999年前期(2)の早起きの随筆のように、身近な経験を自然な英語の時制で語らせる問題が続いています。2000年前期(1)では、記憶の中の町と目の前の町を比べるため、単語の難しさより時間関係の整理が得点を分けます。
記憶の場面は、時制を一つ変えるだけで時間関係がずれます。幼児期・再訪・それ以前に完了した町の変化を三段に並べ、had spent / had changed / had been の基準を確認してください。「それらしい場所」と家の古さは事実ではなく話し手の判断なので、thought / was not sure / could hardly believe も落とせません。解説を閉じてから、what / how / where 節と過去完了を自分で選び直してみてください。Boost アプリなら、訳抜けや時制のずれまで答案ごとに確認できます。
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