京都大学のロゴ 第Ⅲ問(1) 和文英訳 京都大学 2004
京都大学 2004年度 前期日程 · 英語

第Ⅲ問(1) 和文英訳
解答と解説

木の家具や道具を好む理由を、触れたときの心地よさと年月による変化から説明する文章です。「命あるものの独特のやわらかさ」は something that was once alive と開き、現在も木が生きているという誤解を避けます。人工素材は新品時が最良、木は新品時が出発点という対比が中心です。「味わい」は taste とせず character、「年月に磨かれる」は as the years pass and people use it と具体化してください。 「木は新品のときが出発点」は、品質が低いという批判ではありません。使い始めた後にも色や表面が変わり、良さが増すという時間の見方です。そこで only the starting point の後に as the years pass を置き、評価が上向く流れを示します。また「心地いい」は話者が触れたり部屋で使ったりした感覚なので、wood 自体が快適だとするより makes me feel comfortable と人の反応へ開くほうが自然です。人工素材についても必ず劣るとは言っておらず、新品時との比較だけに留めてください。 木の良さは完成時に固定されず、使う人と時間によって育つ、という話者独自の評価まで伝えてください。 この対比が答案の軸です。

難易度 ★★★★ 目安 23分 和文英訳 テーマ 時とともに美しくなる木
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問題

第Ⅲ問(1) 次の文を英訳しなさい。

わたしは,家具や道具はなるべく木の素材を選んでいます。木は命あるものの独特のやわらかさがあるので,心地いいんです。人工的な素材は新しい時が最高の状態だけれど,木は新品のときが出発点です。年月に磨かれて,味わいも美しさも増していく。そこが一番の魅力です。

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この問題で見られている力

  • furniture と wood を数えない名詞として扱えるか
  • 命あるものだった過去を once alive で示せるか
  • 心地よさを人がどう感じるかに開けるか
  • 人工素材と木の新品時の評価を対比できるか
  • 年月による味わいと美しさの増加を表せるか
  • そこが指す経年変化を what 節で受けられるか
2

文ごとの解説

第 1 文

わたしは,家具や道具はなるべく木の素材を選んでいます。

つまずきやすいところ
  • なるべくを whenever possible とします
  • 家具は数えない集合名詞 furniture です
  • 道具は tools と複数で表します
  • 木の素材を things made of wood と説明します
発想の切り替え

wooden materials のような名詞を重ねず、家具や道具が何でできているかを made of wood で示します。話者の習慣なので現在形を使います。「なるべく」は木製品しか使わないという断定ではなく、選べる場面では木を選ぶという控えめな方針です。そこで always ではなく whenever possible を文頭に置き、選択の条件まで残します。

訳例
標準

Whenever possible, I choose furniture and tools that are made of wood.

別解

For my furniture and everyday tools, I try to choose what is made from wood.

この文でやりやすい誤り

furnitureを複数形にする

減点 大
I choose wooden furnitures whenever possible.
I choose wooden furniture whenever possible.

furniture は品物をまとめる数えない名詞なので s を付けません。furnitures とすると基本的な名詞の扱いを誤った形になり、家具全般についての習慣を述べる答案として不安定になります。個々を数えるなら pieces of furniture が必要です。

木の素材をtree materialとする

減点 中
I choose furniture made of tree material.
I choose furniture made of wood.

tree は立っている木で、材料としての木には wood を使います。tree material では「木という植物についての材料」のように聞こえ、机や道具の材質を答えたことになりません。

なるべくをalwaysにして選択の余地を消す

減点 中
I always choose furniture and tools made of wood.
Whenever possible, I choose furniture and tools made of wood.

always は例外なく木製品を選ぶという強い習慣です。原文の「なるべく」は、価格や用途によって選べない場合もあるが、可能なら木を選ぶという意味なので、話者の方針を実際より強くしてしまいます。

この文の言いかえ
木でできた
be made of woodまずはこの平易な表現を目標にしてください
be woodenこの言い方でも内容を正確に伝えられます
be made of a tree意味や語法がずれるので使いません
なるべく
whenever possible選べる状況ではそうする、という原文の控えめな範囲を正確に残せます
as far as possible努力して可能な範囲まで、という言い方で、この文でも使えます
always例外なく選ぶ意味になり、「なるべく」より強いため使いません
第 2 文

木は命あるものの独特のやわらかさがあるので,心地いいんです。

つまずきやすいところ
  • 木を素材として wood と無冠詞にします
  • 命あるもののを something that was once alive と開きます
  • 独特のやわらかさを a special warmth and softness とします
  • 心地いい主体を it makes me feel comfortable と補います
発想の切り替え

living thing とだけ言うと切った後も生きているように聞こえます。was once alive と時間を明確にし、触れた人がどう感じるかを how it makes me feel で説明します。「やわらかさ」は硬さの数値だけでなく、木に触れたときの温かな印象も含みます。そのため softness だけで終えず warmth を並べると、なぜ心地よいのかが読み手にも見える答案になります。

訳例
標準

Wood feels comfortable because it has the special warmth and softness of something that was once alive.

別解

What I like about wood is how its warmth and softness remind me that it came from a living thing.

この文でやりやすい誤り

命あるものを今も生きているとする

減点 大
Wood is comfortable because it is a living thing.
Wood has the warmth of something that was once alive.

家具になった木材が現在も生物として生きているという断定になります。原文が言いたいのは、かつて生命を持っていた由来が今の温かさに感じられるということです。現在と過去の境目が消えると、その感覚の説明が別の主張になります。

心地よい主体をwood is comfortableだけにする

減点 大
Wood is comfortable in its mind.
Wood makes me feel comfortable.

in its mind を付けると木に心があり、その木自身が快適に感じているという意味になります。原文は木に触れる話者が心地よいので、人を感じ手にした makes me feel comfortable が必要です。

この文の言いかえ
心地よい
make me feel comfortableまずはこの平易な表現を目標にしてください
feel warm and gentleこの言い方でも内容を正確に伝えられます
make my mind easy意味や語法がずれるので使いません
第 3 文

人工的な素材は新しい時が最高の状態だけれど,木は新品のときが出発点です。

つまずきやすいところ
  • 人工的な素材は man-made materials とします
  • 最高の状態を look their best と動詞にします
  • 新しい時の対比を when they are new でそろえます
  • ここが山場です。木はそこから変化し始めると説明します
発想の切り替え

best condition は故障していない状態にも聞こえます。見た目や味わいの話なので look their best とし、wood only begins its story と平易な比喩で対比します。ここでは人工素材を批判しているのではなく、良さの頂点に達する時期を比べています。両方に when they are new をかけると、「人工素材には頂点、木には出発点」という対照が一読で伝わります。

訳例
標準

Man-made materials often look their best when they are new, but for wood, being new is only the starting point.

別解

Other materials may be at their best when first made, while wood begins to show what it can become only after that.

この文でやりやすい誤り

人工的な素材をartificial thingsと広げる

減点 中
All artificial things are best when new.
Man-made materials often look their best when new.

all artificial things では機械や制度、考え方まで含み、本文が比較する家具や道具の素材より範囲が広すぎます。その結果、あらゆる人工物は新品時が最高だという根拠のない一般論に変わります。

木が新品のとき最高だと逆にする

減点 大
Wood is at its best when it is new.
For wood, being new is only the starting point.

原文は新品を出発点とし、その後に味わいと美しさが増すと述べています。この文では新品を木の最高点にしているため、時間が木の価値を高めるという中心の対比が正反対になります。

この文の言いかえ
人工的な素材
man-made materialsまずはこの平易な表現を目標にしてください
materials made by peopleこの言い方でも内容を正確に伝えられます
artificial lives意味や語法がずれるので使いません
新品のとき
when it is newまずはこの平易な表現を目標にしてください
when first madeこの言い方でも内容を正確に伝えられます
in new意味や語法がずれるので使いません
第 4 文

年月に磨かれて,味わいも美しさも増していく。

つまずきやすいところ
  • 年月に磨かれてを as the years pass and people use it と具体化します
  • 味わいを character とすれば外見以上の良さが出ます
  • 美しさが増すを becomes more beautiful とします
  • 変化の仕方を how wood changes に開けます
発想の切り替え

polished by years は詩的ですが、実際には時間と使用によって表面や色が変わる話です。as the years pass と受け、character and beauty grow と並べます。日本語では変化の原因が「年月」にまとめられていますが、英語では and people use it と人の使用を補うと、単に古くなったのではなく、使い込むほど良くなるという方向まで明確になります。

訳例
標準

As the years pass and people use it, wood gains character and becomes more beautiful.

別解

Time and use bring out how warm and beautiful the wood can become.

この文でやりやすい誤り

年月をmany monthsと短くする

減点 中
Wood becomes more beautiful after many months.
Wood becomes more beautiful as the years pass.

months では長年使い込む経年変化が数か月の変化に縮まります。色や表面に人の使用が重なっていく時間の長さが失われ、単に購入直後より少し見栄えがよくなったという意味になります。

味わいをtasteとする

減点 大
Wood gains a better taste over time.
Wood gains character over time.

taste はこの形では食べ物の味に聞こえ、木材を口にした評価のようになります。ここで増すのは、色や表面に現れる風合いと個性なので character や a warmer look で視覚と触感の変化を示します。

この文の言いかえ
年月に磨かれる
grow better as the years passまずはこの平易な表現を目標にしてください
improve through time and useこの言い方でも内容を正確に伝えられます
be cleaned by years意味や語法がずれるので使いません
味わいが増す
gain characterまずはこの平易な表現を目標にしてください
develop a warmer lookこの言い方でも内容を正確に伝えられます
gain a good taste意味や語法がずれるので使いません
年月に磨かれて
as the years pass and people use it時間と使用の両方を平易な動詞で説明できるのでおすすめです
with age and use短くまとめても、古さだけでなく使用による変化を残せます
be burnished by time意味は近いですが burnish は難しい語です。知っていても覚える必要はありません
第 5 文

そこが一番の魅力です。

つまずきやすいところ
  • そこは前文の経年変化を指します
  • 魅力を attraction 一語に固定しなくてもよいです
  • what I find most attractive で内容を受けます
  • 話者の評価なので現在形です
発想の切り替え

That is its charm だけでも通じますが、what I like most about wood is how ... と、何が魅力かを節で再提示すると指示先が明確です。「そこ」が指すのは木そのものではなく、時間と使用によって美しさが増す性質です。how wood grows more beautiful with time まで書けば、最後の一文だけ読んでも評価の根拠が分かります。

訳例
標準

That is what I find most attractive about wood.

別解

What attracts me most is how wood grows more beautiful with time.

この文でやりやすい誤り

そこを場所のthereで受ける

減点 中
There is the greatest attraction.
That is what I find most attractive.

there を場所として読むため、「その場所に最大の魅力がある」という存在の文になります。原文の「そこ」は前文の経年変化を受けているので、that や what 節で内容を受けないと、何を魅力と評価したのかが伝わりません。

3

模範解答

標準解

まずここを目標にhow節 ×1 / what節 ×290語

Whenever possible, I choose furniture and tools that are made of wood. Wood feels comfortable because it has the special warmth and softness of something that was once alive, and I like how it makes a room feel gentle. Man-made materials often look their best when they are new, but for wood, being new is only the starting point. As the years pass and people use it, wood gains character and becomes more beautiful. That is what I find most attractive about wood and what makes it special to me.

標準解では how it makes、what I find、what makes の三つを使いました。人工素材の頂点と木の出発点を when they are new でそろえ、対比を見えやすくしています。「年月に磨かれる」は時間だけが物理的に磨くのではなく、人が使うことも含むので as the years pass and people use it と説明しました。furniture と wood は一般論では数えない名詞です。

説明を足した解

書けなかったときの逃げ道how節 ×2 / what節 ×293語

I try to use things made of wood when I choose furniture or tools. Wood has a kind of warmth and softness that comes from what was once alive, so touching it makes me feel at home. Things made by people may never look better than when they are new. Wood is different: its life as an object starts at that point. We can then watch how its color and surface change over the years and see how much more beautiful it becomes. This slow change is what I love most about it.

こちらは「味わい」を color and surface の変化へ具体化した版です。人工素材を悪いと断定せず、新品時が最良であるという比較だけを残しました。木について life as an object と書き、素材として使われ始める時点を示しています。抽象語が出なくても、見た目、触れた感じ、時間による変化を順に述べれば十分に原文を再現できます。

6

他の問題にも使える形

学習のコツを紹介する Boost のキャラクター Boo
what was once + 形容詞最重要

過去の性質を内容節にする

現在とは異なる由来を短く説明できます。

命あるものだった → what was once alive
静かだった場所 → what was once quiet
工場だった建物 → a building that was once a factory
how A makes B feel最重要

感じ方を節に開く

物の性質を抽象名詞にせず、人がどう感じるかで説明できます。

木が私をどう感じさせるか → how wood makes me feel
音楽が人をどう感じさせるか → how music makes people feel
その知らせが彼女をどう感じさせたか → how the news made her feel
look one's best when ...最重要

最良の時点を示す

外見が最もよい時を自然に表し、比較の基準を when 節に置けます。

新品時が最良 → look their best when new
朝が最も美しい → look its best in the morning
満開のとき最も美しい → look their best when fully open
as the years pass最重要

年月による変化を示す

長い時間に沿って状態が変化することを表します。

年月とともに美しくなる → become beautiful as the years pass
年を重ねて賢くなる → grow wiser as the years pass
年月とともに町が変わる → the town changes as the years pass
what S find most + 形容詞最重要

最大の評価点を受ける

そこ の指示内容を明らかにしながら評価をまとめられます。

一番魅力的な点 → what I find most attractive
最も難しい点 → what we find most difficult
彼女が最も役立つと思う点 → what she finds most useful
For A, B is only the starting pointよく使う

出発点とその後の変化を対比する

ある時点を完成ではなく始まりとして示し、その後の成長や変化へ話をつなげられます。

木には新品時が出発点だ → For wood, being new is only the starting point
合格は学びの出発点にすぎない → Passing the exam is only the starting point for learning
計画を立てるのは仕事の出発点にすぎない → Making a plan is only the starting point of the work
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この問題の語彙

表現意味ひとこと
furniture家具数えない名詞なので furnitures とはしません
wood木材tree は立っている木、wood は素材です。家具の材質を tree material としないでください
softnessやわらかさsoft の名詞形ですが、木の温かな印象まで softness 一語で表そうとしないでください。必要なら warmth と並べます
man-made人工のartificial things とすると制度や考えまで広がります。材料を比べるこの文では man-made materials と名詞まで書きます
starting point出発点start point ではなく starting point とします。at the starting point と、be the starting point の形も区別してください
character味わい、個性味わいを taste とすると食味になります。木の経年による風合いには gain character を使います
attractive魅力的なattracted は人が引きつけられた状態です。物の性質には attractive、人の感じ方には find A attractive を使います
whenever possible可能なときはいつでも、なるべくalways のような例外のない習慣ではありません。「選べるなら」という条件を残したいときに使います
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出題の傾向

2003年は旅や仕事への姿勢、2004年は木の素材とトマトの歴史、2005年は女性研究者や歯の健康が出ています。身近な対象を観察し、一般的な印象を別の角度から捉え直す流れが共通します。この問題では素材名の知識より、新品時と経年後をどう対比し、話者が何を魅力と感じるかを節で説明する力が重要です。

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