身近な題材ですが、「思い出が詰まっている」「処分する気になれない」「買い取って再生させる」といった、日本語では短く言える気持ちや動作を英語でどうほどくかが勝負です。特に、娘が成長した結果として誰も弾かなくなった流れと、持ち主が手放せない気持ちを混同せずにつなぐ必要があります。難しい名詞を探さず、what life used to be like や how it can be used again のように節で説明すると、内容を落とさず安定した答案になります。
我が家の古いピアノには懐かしい思い出がたくさん詰まっている。5歳からピアノを始めた娘もすっかり大人になり,今や誰も弾かなくなった。しかし,なかなか処分する気にはなれない。そういうピアノを買い取って再生させる会社があるらしい。プロの手で修理すれば,また美しい音を奏でることができるという。
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ピアノを主語にして holds many happy memories と置けば、ピアノが家族の過去を残しているという比喩が自然に伝わります。さらに what life in our home used to be like と開くと、何が懐かしいのかまで説明できます。
Our old piano holds many happy memories of what life in our home used to be like.
Our family has many warm memories connected with the old piano in our home.
これではピアノの内部に写真が入っているという物理的な話になります。原文の「思い出が詰まっている」は、ピアノを見ると家族の過去を思い出すという比喩です。
5歳からピアノを始めた娘もすっかり大人になり,今や誰も弾かなくなった。
娘を説明する who 節の中に、始めた年齢を置きます。その後を is now grown up, and no one plays it anymore と進めると、成長した結果として家で弾く人がいない現在まで一本の線になります。
Our daughter, who started learning how to play the piano at five, is now grown up, and no one plays it anymore.
Our daughter began piano lessons when she was five, but she is an adult now and the piano is no longer played.
has played since は娘が今まで弾き続けていることを表します。直後の「今や誰も弾かない」と内容がぶつかります。始めた時点だけを過去形で示す必要があります。
楽器を演奏するという一般的な言い方では、楽器名の前に the を置きます。日本語には冠詞がないため起こりやすいミスです。
adult を可算名詞として使うなら a が必要です。状態を表す grown up を使うと冠詞で迷いません。
この形ではピアノに演奏能力がなくなったという意味になります。原文は故障を述べているのではなく、娘が大人になり、家族の中に弾く人がいなくなったという生活の変化です。no one を人の主語にして、演奏者の不在を表します。
しかし,なかなか処分する気にはなれない。
物理的に捨てられないのではなく、思い出があるため決心できないという意味です。cannot bring ourselves to を使えば、そのためらいまで平易に表せます。
Even so, we cannot quite bring ourselves to throw it away.
Still, because of all those memories, we do not feel ready to get rid of it.
not able to は、重くて運べないなど能力や状況のため不可能だと読まれます。原文は思い出があり、気持ちの上で決心できないという話です。
そういうピアノを買い取って再生させる会社があるらしい。
日本語の「再生」を直訳しようとせず、show how they can be brought back to life のように、古いピアノがもう一度使える状態になることを節で示します。
I hear there are companies that buy pianos like ours and show how they can be brought back to life.
It seems that some companies buy old pianos of this kind, repair them, and make them useful again.
sell では会社が古いピアノを売ることになり、持ち主から「買い取る」という取引の向きが逆になります。
文法は整っていますが、原文の「らしい」という伝聞が消え、話し手が確認済みの事実として述べる強さに変わっています。
プロの手で修理すれば,また美しい音を奏でることができるという。
by professional hands と手を直訳するより、誰が修理するかを if a skilled worker repairs one と書くほうが自然です。one は同種の古いピアノを受けています。
They say that if a skilled worker repairs one, it can once again make a beautiful sound.
A piano like this can produce a beautiful sound again when it is repaired by someone who knows how to do the job.
repair はここでは人が物を修理する他動詞です。この形ではピアノが自分自身を修理する意味になってしまいます。
ここでは一台のピアノが出す美しい音を a beautiful sound と数えます。sound を単数の可算名詞で使うのに冠詞がありません。
Our old piano holds many happy memories of what life in our home used to be like. Our daughter, who started learning how to play the piano at five, is now grown up, and no one plays it anymore. Even so, we cannot quite bring ourselves to throw it away. I hear there are companies that buy pianos like ours and show how they can be brought back to life. They say that if a skilled worker repairs one, it can once again make a beautiful sound.
家族の過去から現在、そしてピアノの新しい可能性へという順序をそのまま保ちました。what life in our home used to be like で思い出の中身を説明し、how to play と how they can be brought back to life で、硬い名詞に頼らず動作を示しています。「らしい」と「という」は I hear と They say に分け、話し手が直接確認した事実ではないことも残しました。
Our family has many warm memories connected with the old piano in our home. Our daughter began piano lessons when she was five, but she is an adult now and the piano is no longer played. Still, because of what the piano means to us, we do not feel ready to get rid of it. It seems that some companies know how to buy old pianos, repair them, and make them useful again. People say such a piano can make a beautiful sound again if someone who knows how to repair it works on it.
比喩的な holds memories が出なければ、memories connected with the piano と関係を説明して大丈夫です。「処分する気になれない」も because of what the piano means to us を足すと理由が明確になります。長めですが、買い取り、修理、再利用という情報を一つずつ置いているので、原文の内容を落とさず採点者にも追いやすい答案です。

昔の様子を節に開く
「昔の生活」「かつての状態」を硬い名詞にせず、中身まで説明できます。人や町の変化を述べる問題にもそのまま使えます。
方法を学び始める
「〜を始める」を、何ができるようになる学習かまで開く形です。楽器や技能の話で使いやすいです。
気持ちの上でどうしてもできない
能力ではなく、ためらいや愛着のため決心できない場面に使います。oneself は主語に合わせて変えてください。
伝聞の「〜らしい」
自分で確認した事実ではなく、聞いた情報だという距離を簡単に残せます。
条件と可能性を結ぶ
ある処置をすれば可能になる、という因果を明確にします。日本語で省略された動作主も補えます。
今はもう誰もしない
物の能力が失われたのではなく、その行動をする人が現在はいないという変化を表せます。
| 表現 | 意味 | ひとこと |
|---|---|---|
| hold memories | 思い出を宿す | 写真などが物理的に中に入る意味ではありません。物が思い出を呼び起こす比喩として hold memories を使います |
| grown up | 大人になった | adult を名詞で使うなら become an adult と a が必要です。grown up なら be grown up の形で冠詞を避けられます |
| anymore | 今はもう | 否定文の末尾に置くのが基本です。肯定文で still と同じ位置に置かないようにしてください |
| get rid of | 〜を処分する | of まで含む形で、目的語を後ろに置きます。能力ではなく気持ちのため処分できないなら cannot bring oneself to を足します |
| repair | 修理する | 人 repairs a thing の他動詞です。物を主語にして the piano repairs とすると、ピアノが自分を修理する意味になります |
| skilled | 熟練した | professional hands と「手」を直訳せず、skilled worker のように修理する人を主語にしてください |
| make a sound | 音を出す | 一つの音として言うときは a sound と冠詞を付けます。make beautiful sound と無冠詞にしないでください |
| bring oneself to | どうしても〜する気になる | oneself は主語に合わせます。we なら ourselves、she なら herself とし、後ろには動詞の原形を置きます |
京大のこの時期の和文英訳は、2008年第(1)問の読書の記憶、2009年第(1)問のユーモア、2010年第(1)問の列車旅行の記憶のように、身近な経験から一般的な意味を語る文章が中心です。この問題も難語より、家族の時間の変化と話し手の感情を、英語の主語と時制で組み直せるかが問われています。
解説を読んだあとに自分の言葉で書き直すと、力のつき方がまったく違います。Boost アプリでこの問題を開けば、書いた答案をそのまま AI が添削します。
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