慎重さの大切さを認めたうえで、ときには失敗を恐れず進むことにも価値があると説く文章です。日本語のことわざを英語のことわざへ無理に置き換えず、失敗に備える大切さとして説明する判断が最初の鍵です。さらに「円熟味」「大きな武器」といった比喩を難しい名詞で処理せず、how much we grow、what helps us overcome difficulties のような節へ開くと、内容を落とさず安全な答案になります。
言うまでもなく,転ばぬ先の杖は大切である。しかし,たまには結果をあれこれ心配する前に一歩踏み出す勇気が必要だ。痛い目を見るかもしれないが,失敗を重ねることで人としての円熟味が増すこともあるだろう。あきらめずに何度も立ち上がった体験が,とんでもない困難に直面した時に,それを乗り越える大きな武器となるにちがいない。
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アプリでこの問題を解く 無料で1日2回まで添削できます言うまでもなく,転ばぬ先の杖は大切である。
英語に同じ形のことわざがあるかを考えるより、何が大切だと言っているのかを説明します。転ぶ前に杖を用意するとは、悪いことが起こる前に備えることです。what may go wrong と what 節に開けば、特定の失敗に限定せず原文の一般論を保てます。この文は慎重さを否定するのではなく、まず価値を認める役割です。先に prepare を置くことで、次の However が無謀さのすすめではなく、慎重さとの釣り合いを説く文だと伝わります。
Needless to say, it is important to prepare for what may go wrong.
Of course, we should think about what might happen and get ready before we act.
英語の読み手には、その stick が何を表すのかわかりません。元の形を保存するより、失敗が起きる前に備えるという意味を伝える必要があります。ことわざの絵だけが残り、慎重に準備するという主張が読み手に届かなくなります。
決まった形は Needless to say です。to が抜けると文のつながりが成立しません。「言うまでもなく」という譲歩の入口が壊れ、次の However との論理関係も見えにくくなります。
原文は「転ばぬ先の杖は大切」と最初に認めたうえで、ときには行動する勇気も必要だと述べています。この文では準備を無価値とし、しかも always を加えて、慎重さと勇気の釣り合いという中心の主張を極端な行動論へ変えています。
しかし,たまには結果をあれこれ心配する前に一歩踏み出す勇気が必要だ。
一歩を物理的な step として残してもよいですが、文の意味は行動を始めることです。before we worry too much about what may happen とすれば、「結果」を硬い consequences にせず、何が起こるかという節で書けます。前文との対比を消さないよう However を必ず置きます。「勇気」は性格の説明ではなく、心配より行動を先にする場面で示されています。そこで be brave とだけ言わず、take the first step まで書くと、必要な勇気の中身が見えます。
However, we sometimes need the courage to take the first step before worrying too much about what may happen.
Still, there are times when we need to be brave enough to act before we know how things will turn out.
worry を「〜を心配する」の意味で使うときは worry about ... とします。前置詞がないと不自然です。誰が何を心配しているかを結べず、「行動前に結果を案じる」という場面が成立しません。
courage は通常数えない名詞なので a を付けません。特定の行動を続けるなら the courage to ... が自然です。勇気を一個の物のように数えるため、精神的な力を述べる原文から不自然にずれます。
痛い目を見るかもしれないが,失敗を重ねることで人としての円熟味が増すこともあるだろう。
原文は失敗が必ず人を成長させるとは言っていません。may と sometimes を使い、可能性として述べます。「円熟味」は難しい訳語を探すより、失敗を通じて人として成長することだと説明すれば十分です。how much we can grow とすれば教材の方針にも合います。ここでは失敗そのものを美化せず、失敗から学ぶ場合に限って成長につながるという読みが大切です。can sometimes help と幅を残すのは、痛い目を見れば自動的に成熟するという誤解を避けるためです。
We may suffer because of our mistakes, but making mistakes again and again can sometimes help us see how much we can grow as people.
We may learn painful lessons, yet repeated failures can show us what we still need to learn and how we can become stronger.
原文は失敗によるつらい経験全般を指しています。身体が痛くなる話に限定すると意味が変わります。失敗による悔しさや損失まで含む表現が、けがをした場面だけに狭まってしまいます。
個々の失敗を重ねるという意味では make mistakes が自然で、make failures とはしません。can sometimes help と成長の可能性は正しく残っていますが、失敗を数える中心の語の組合せだけが不自然です。
あきらめずに何度も立ち上がった体験が,とんでもない困難に直面した時に,それを乗り越える大きな武器となるにちがいない。
Having tried again many times without giving up を主語にすれば、「体験」を独立した名詞にせず書けます。「武器」は戦いの道具ではなく、困難を越える助けや力の比喩です。must be what gives us the strength to ... と what 節に開くと、その働きまで明確になります。過去の再挑戦は思い出ではなく、将来の難局で使える根拠として働きます。そのため experience を置くだけでなく、gives us the strength と機能を動詞で示す発想になります。
Having tried again many times without giving up must be what gives us the strength to overcome even a very serious difficulty when we face one.
When we face a problem that seems far too hard, knowing how we stood up and tried again in the past will surely help us find what we need to overcome it.
ここで立ち上がるのは、転倒後に起立することではなく、失敗しても再挑戦することです。この文は確信と将来の力を正しく残していますが、過去の体験だけを物理的な起立へ変えたため、粘り強く再挑戦した内容が消えています。
原文の「武器」は、困難を越えるための心の支えという比喩です。この文では経験を人への攻撃に使う道具としており、困難に耐える力が他者を傷つける手段へ変わっています。何を可能にする経験なのかを help us overcome ... と説明してください。
may は助けになる可能性があるという控えめな判断です。原文の「にちがいない」は、何度も立ち上がった経験が必ず力になるという強い確信なので、可能性だけに弱めると文末の力点が消えます。must または surely を使ってください。
Needless to say, it is important to prepare for what may go wrong. However, we sometimes need the courage to take the first step before worrying too much about what may happen. We may suffer because of our mistakes, but making mistakes again and again can sometimes help us see how much we can grow as people. Having tried again many times without giving up must be what gives us the strength to overcome even a very serious difficulty when we face one.
ことわざは prepare for what may go wrong と意味を説明し、「結果」は what may happen、「円熟味」は how much we can grow as people、「大きな武器」は what gives us the strength と開きました。標準解には how節1個、what節3個があります。may、sometimes、must も原文の控えめな可能性と最後の強い確信に合わせています。比喩を英語の単語へ機械的に置き換えず、何をする力なのかまで書くのがこの問題の中心です。
Of course, we should think about what might happen and get ready before we act. Still, there are times when we need to be brave enough to act before we know how things will turn out. We may learn painful lessons, yet repeated failures can show us what we still need to learn and how we can become stronger. When we face a problem that seems far too hard, remembering how we stood up and tried again in the past will surely help us find what we need to overcome it.
こちらは take the first step や weapon に相当する比喩を使わず、act、try again、help us find と動作で説明した版です。結果の不確かさを how things will turn out、成長の中身を what we still need to learn と how we can become stronger で示しました。原文の対比は Of course / Still / yet で保っています。難しい名詞が出なくても、出来事を順番に書けば内容を落とさず訳せます。

不測の事態に備える
抽象名詞の risk を使わず、何か悪いことが起こる可能性に備えると what 節で説明できます。
行動より前の時点を示す
主語が同じなら before worrying、主語を明示したいなら before we worry と使い分けます。
成長の中身を節に開く
growth や maturity だけで済ませず、どのように成長できるかを how 節で説明します。
過去の経験を主語にする
「〜した経験」を experience of と固めず、過去に行ったこと自体を主語として置けます。
比喩の機能を説明する
「武器」「支え」のような比喩は、それが何を可能にするかを what 節で示すと自然です。
確信の強さを書き分ける
可能性には may や sometimes、強い確信には must を使います。原文の文末を落とさないための基本です。
| 表現 | 意味 | ひとこと |
|---|---|---|
| prepare for | 〜に備える | prepare for の後ろに備える対象を置きます |
| courage | 勇気 | 通常は数えない名詞なので a courage とはしません |
| take the first step | 最初の一歩を踏み出す | 行動を始めるという比喩にも使えます |
| suffer | 苦しむ、つらい目に遭う | 身体の痛みだけでなく、失敗による苦しさにも使えます |
| make a mistake | 失敗する | make a failure より、この形が自然です |
| give up | あきらめる | 目的語が代名詞なら give it up の語順です |
| overcome | 乗り越える | 他動詞なので overcome a difficulty と前置詞なしで続けます |
| strength | 強さ、力 | 物理的な力にも心の強さにも使えます |
京大の第III問では、2022年の車窓の文章や2023年の善意と見返りの文章と同じく、日本語らしい慣用句や比喩を英語で説明し直す力が問われます。2021年は「転ばぬ先の杖」「痛い目を見る」「立ち上がる」「武器」と比喩が多いため、単語の一対一対応より文脈上の意味を優先する年です。
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